橋姫
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橋姫(はしひめ)は、
- 橋を守る女神。特に宇治橋のたもとの橋姫神社に祀られている「宇治の橋姫」を指す。
- 『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。巻名は、宇治に住まう二人の愛らしい姫君のことを指す。後述。
- 嵯峨天皇の代(786年-842年)、夫に裏切られて憎悪と殺意に駆られるあまり宇治川に身を浸し、生きながらにして鬼と化して願いを成就させたと伝えられる女性。『屋台本平家物語』『太平記』『橋姫物語』にその名が見える。丑の刻参り参照。「宇治の橋姫」とも。
- 能面のひとつ。復讐に燃える怨霊の女の形相を象ったもの。3.の伝説に基づいた能「鉄輪」において用いられる。
帖 | 名 | 帖 | 名 |
---|---|---|---|
1 | きりつほ | 28 | のわき |
2 | ははきき | 29 | みゆき |
3 | うつせみ | 30 | ふちはかま |
4 | ゆふかほ | 31 | まきはしら |
5 | わかむらさき | 32 | うめかえ |
6 | すゑつむはな | 33 | ふちのうらは |
7 | もみちのか | 34 | わかな(上下) |
8 | はなのえん | 35 | かしはき |
9 | あふひ | 36 | よこふえ |
10 | さかき | 37 | すすむし |
11 | はなちるさと | 38 | ゆふきり |
12 | すま | 39 | みのり |
13 | あかし | 40 | まほろし |
14 | みをつくし | 41 | くもかくれ |
15 | よもきふ | 42 | にほふみや |
16 | せきや | 43 | こうはい |
17 | ゑあはせ | 44 | たけかは |
18 | まつかせ | 45 | はしひめ |
19 | うすくも | 46 | しひかもと |
20 | あさかほ | 47 | あけまき |
21 | をとめ | 48 | さわらひ |
22 | たまかつら | 49 | やとりき |
23 | はつね | 50 | あすまや |
24 | こてふ | 51 | うきふね |
25 | ほたる | 52 | かけろふ |
26 | とこなつ | 53 | てならひ |
27 | かかりひ | 54 | ゆめのうきはし |
橋姫(はしひめ)は、『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。第45帖。第三部の一部「宇治十帖」の第1帖にあたる。
[編集] あらすじ
薫20歳から22歳までの話。
そのころ、世の中から忘れられた宮がいた。桐壺院の八の宮(第八皇子)で、光源氏の異母弟である。冷泉院の東宮時代、これを廃し代わりに八の宮を東宮に擁立せんとの弘徽殿大后方の陰謀に加担させられたため、時勢が移るとともに零落していったのである。今は北の方に先立たれ、宇治の地で出家を望みながらも二人の姫君(大君、中の君)を養育しつつ日一日を過ごしている。宇治山の阿闍梨から彼を知った薫は、その俗聖ぶりに強く惹かれ八の宮のもとに通うようになりますます傾倒してゆく。
通い始めて三年目の秋、八の宮不在の宇治邸を訪れた薫は、有明の月の下で箏と琵琶とを合奏する姫君たちを垣間見る。屈託のない、しかも気品高く優雅な姫君たちに、薫はおのずと心惹かれる。
薫は女房を介して大君に逢いたく思うが、代わりに老女房の弁が現れる。弁は故柏木の乳母子(めのとご、乳母の娘)で、今は八の宮の侍女である。弁は、薫の出生の秘密と柏木の遺言を伝えることを約束する。
京に戻ってから薫は大君と弁の言葉が気になって頭から離れない。薫は匂宮に宇治の姫君たちの存在を語り、匂宮はその話題にいたく興味を示す。
十月上旬、八の宮は姫君たちの存在を薫に打ち明け、死後の後見を託したいと願い出る。
その晩、薫は弁と昔語りをし、弁から手紙の束を入れた袋を受け取る。帰京後、開けてみると柏木と女三宮の手紙の束がひどい黴臭と共に出てきた。女三宮の出産を喜ぶ柏木の死の間際の筆跡のあまりのなまなましさに、薫はとまどいを隠せない。母女三宮を訪ねるが、無心に経を読む尼姿に接した薫は、秘密を知ったことを話す気になれなくなり、ひとり胸中に抱え込もうとするのだった。