末摘花
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末摘花(すえつむはな すゑつむはな)とは、
- ベニバナの古名。茎の先端につく花を摘み取って染色に用いることからこう呼ばれる。(染色に花弁そのものを用いるのはほとんど紅花と露草のみ)
- 似実軒酔茶編集の川柳集『誹風末摘花』。1776年~1801年刊行。
- 『源氏物語』五十四帖の巻の一つ。第6帖。『若紫』の並びの巻の一つで光源氏の18歳ごろの恋の遍歴を描く。名前の由来はこの巻で登場する下記の姫君のあだ名から。
- 『源氏物語』で光源氏と関係をもつ女性の一人。解説は下記。
- 4.を基にした歌舞伎の演目の一つ。中村勘三郎の依頼をうけ北条秀司が台本を書いた。
[編集] 末摘花 (源氏物語)
帖 | 名 | 帖 | 名 |
---|---|---|---|
1 | きりつほ | 28 | のわき |
2 | ははきき | 29 | みゆき |
3 | うつせみ | 30 | ふちはかま |
4 | ゆふかほ | 31 | まきはしら |
5 | わかむらさき | 32 | うめかえ |
6 | すゑつむはな | 33 | ふちのうらは |
7 | もみちのか | 34 | わかな(上下) |
8 | はなのえん | 35 | かしはき |
9 | あふひ | 36 | よこふえ |
10 | さかき | 37 | すすむし |
11 | はなちるさと | 38 | ゆふきり |
12 | すま | 39 | みのり |
13 | あかし | 40 | まほろし |
14 | みをつくし | 41 | くもかくれ |
15 | よもきふ | 42 | にほふみや |
16 | せきや | 43 | こうはい |
17 | ゑあはせ | 44 | たけかは |
18 | まつかせ | 45 | はしひめ |
19 | うすくも | 46 | しひかもと |
20 | あさかほ | 47 | あけまき |
21 | をとめ | 48 | さわらひ |
22 | たまかつら | 49 | やとりき |
23 | はつね | 50 | あすまや |
24 | こてふ | 51 | うきふね |
25 | ほたる | 52 | かけろふ |
26 | とこなつ | 53 | てならひ |
27 | かかりひ | 54 | ゆめのうきはし |
常陸宮と呼ばれる皇族の娘だが、現在は困窮していると言う設定で描かれている。
父の遺した館に年をとった女房達とともに暮らしており、極端に世間知らずで頑固な性格の持ち主であったが、その一途さゆえに幸福をつかむ。
源氏物語で最も細かく容貌を描写された女性であるが、「座高が高く雪のように寒々と青白い肌、象のような鼻の先が紅でもつけたように赤い」と高貴な身分に関わらず容姿はきわめて悪く描かれている。この時光源氏が彼女につけたあだ名「末摘花」は、彼女の"鼻が紅い"こととベニバナの"花が紅い"ことをかけたしゃれ。
雨夜の品定めの後、理想の美女を探す光源氏は「皇族の娘ながらあばら家に住む女性」の噂を聞いて食指を動かす。親友の頭中将が同じ女性を狙っていることもあって、光源氏は積極的に言い寄り、遂に関係を持つことに成功した。ある雪の朝、彼女の顔をのぞき見た光源氏はその醜さに仰天するが、あまりに困窮した様子に同情して生活を援助するようになる。
後に光源氏が須磨・明石に下ったあとも彼を一途に待ち続けるが、僧侶である兄からの援助もなく、叔母には従姉妹の召使にされかけるなど苦難を重ねた。再会の後、光源氏の邸の一つ、二条院に引き取られて妻の一人としての扱いを受けるようになった。
おとなしく実直だが、昔気質で気の利かない性質の為引き取られてからも源氏を「こちらが恥ずかしくなる」と度々閉口させた。