死の猟犬
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『死の猟犬』(しのりょうけん 原題:The Hound of Death)は1933年に発表されたアガサ・クリスティ作のホラー小説及び推理小説の短編集である。作品としては1953年に戯曲化もされた『検察側の証人』が知名度が高い。
[編集] 収録作品
- 死の猟犬(The Hound of Death)
- 奇妙な縁から、怪奇現象を起こしたと噂される修道女に会う気になったアンストラザーは、彼女を診ているという医者に会う。アンストラザーは医者と共に、絶壁に存在する彼女が住む医者の持ち家を訪ねた。
- 赤信号(The Red Signal)
- 晩餐会の席で予兆や直感の話しで盛り上がる一同。ダーモッドは自分の身に危険が迫った時に感じる予兆についての話をした。そしてダーモッドはその場でその予兆を感じていた。
- 第四の男(The Fourth Man)
- 汽車へと乗ったパーフィットはそこで三人の男性と一緒になる。パーフィットは顔見知りの弁護士とその連れの医者と雑談を始めた。三人がある女性の奇妙な症状について話し合っていると四人目の男が笑い出した。
- ジプシー(The Gipsy)
- マックファーレンに自分がなぜジプシー嫌いになったのかを話す友人。彼によると小さな頃から夢に登場するジプシーに悩まされ、また現実でジプシーに会った際には予言的な忠告をされ、それは現実のものとなったのだという。そして知り合いの家を訪れた際そこにいた夫人から同じように忠告を受けたのだとも彼は語った。
- ランプ(The Lamp)
- 長い間誰も住んでいなかった貸家を訪れたランカスター夫人と不動産屋。家賃がこれだけ安いのは何かあるのではと聞いた夫人に、餓死した子供の泣き声が聞こえると噂なのだと不動産屋は答える。それでも夫人はこの家を借りることにした。
- ラジオ(Wireless)
- ハーター夫人を診察した医者は彼女とその甥に生活上の注意、何よりも精神的な気晴らしが大切だと説明した。甥のチャールズは夫人に気晴らしのため部屋にラジオ受信機を設置してはどうかと提案する。
- 検察側の証人(The Witness for the Prosecution)
- 親しくしていた年輩の女性を殺した容疑で捕まった青年。弁護士のメイハーンは彼の無実を証明しようとする。青年によれば妻がアリバイを証明してくれるという。しかし、アリバイを証明してくれるはずの青年の妻は、あろうことか彼に不利な証言をすると言い出した。
- 青い壺の謎(The Mystery of the Blue Jar)
- 趣味のゴルフをするためにゴルフ場へやってきたジャックはそこで「人殺し」と叫び、助けを呼ぶ女性の声を聞く。付近に一軒しかない家へ駆けつけたジャックだったが、そこにいた女性は声などあげていないし聞こえもしなかったという。
- アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件(The Strange Case of Sir Arthur Carmichael)
- 心理学者カーステアズ博士は一通の電報で友人に呼び出される。文にはカーマイクルの名が書いてあり、カーステアズはアーサー・カーマイクル卿とは面識があり、彼に息子がいることも知っていた。駅で出迎えてくれた友人によるといたって普通の上流階級の青年だったその息子が一晩にして狂人になってしまったのだという。
- 翼の呼ぶ声(The Call of Wings)
- 晩餐会の帰りに知人の牧師と幸福について語り合う百万長者のヘイマー。牧師と別れたヘイマーは路上で奇妙な楽器で奇妙な曲を吹く男に出会う。その曲を聴いているうちにヘイマーは上へと引っぱられていく感覚を覚える。
- 最後の降霊会(The Last Séance)
- 霊媒として有名なシモーヌに会いにいったラウール。シモーヌはこれ以上霊媒となるのを嫌がったが、ラウールはこれで最後とするから今日の降霊会はやってほしいと頼む。もうすぐその依頼人がやって来る時間である。
- S・O・S(S・O・S)
- 四方に何もない場所に住むディンズミード一家のもとに珍しく訪問者が現れる。訪問者は道に迷っていたモーティマーという人物だった。モーティマーはもてなされ泊めてもらうことになったが、彼は眠ることになった部屋のテーブルの上の埃の中にS・O・Sの文字を発見する。