水銀電池
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水銀電池(すいぎんでんち)とは、乾電池(一次電池)の一種である。酸化水銀電池、ルーベン電池とも呼ばれる。特性が優れているため、古くからボタン型電池として、1970年代までのカメラ(露出計や電子シャッターなど)や補聴器用などに広く用いられてきたが、地球環境保護の観点から水銀の使用を廃止する傾向にあり、国内では1995年から製造を中止している。使用済みの水銀電池は小売店により回収されリサイクルされる。入手は困難になってきている。
[編集] 原理
正極に酸化水銀(II)、負極に亜鉛、電解液として水酸化カリウムに酸化亜鉛を溶解した溶液を用いる。
[編集] 特徴
一次電池としては最も放電特性が優れており、放電末期まで端子電圧がほとんど変化しない。公称電圧は1.35Vである。
[編集] 代替製品
現在では、カメラ用などに用いられた水銀電池は、酸化銀電池などで代替せざるを得なくなっている。酸化銀電池の公称電圧は1.55Vであるため、電圧を正しく合わせたい用途には、酸化銀電池にゲルマニウムダイオード、ショットキーバリアダイオードなどを接続して0.2V程度の電圧降下を得る。小型の酸化銀電池を差し込み、水銀電池と同様の形状で使用するためのアダプターが市販されている。ただし、水銀電池と酸化銀電池の電圧特性が異なるので、表示された露出に対して撮影時の露出設定を補正する必要がある。
補聴器用には空気電池が使われている。