補聴器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
補聴器(ほちょうき)とは、聴覚障害者の聞き取りを補助する補装具である。
補聴器は原理的には、音を拡大する機能だけである。マイクで音を集めて、アンプで音を増幅し、スピーカーで音を発生させる。これを小型化したのが補聴器。個人個人の聴力や使用状況にあわせた補聴器を専門店や医療機関で調節したほうがよい。
- 補聴器は精密なため、非防水の腕時計と同様に、汗や雨などによる水分侵入に弱い。(一部には、防水の補聴器もある。)
目次 |
[編集] 補聴器の種類
補聴器は、パワーを上げ、なおかつ、小さくなるように進歩している。それは、電子工学の進歩と歩調をそろえている。
- 初期(1960年代)の補聴器は、弁当箱ぐらいの大きさだった。1970年代ぐらいになると、タバコ箱ぐらいの大きさになった(『ポケット型補聴器』という)。いずれも、受信部、バッテリーが収まった箱をポケットに入れていた。そして、イヤモールドとよばれる、耳あなにはめ込む樹脂殻と細いケーブルでつながっていた。
- 1980年代は、外耳の上部に引っ掛けるような形の補聴器(『耳かけ型補聴器』という)が現れた(外耳の上部に引っ掛ける機具の中に、受信部・バッテリーが入った。これらとイヤモールドは短いチューブでつながっていた。)。
- 1990年代になると、耳の内部に入れるタイプの補聴器(『耳あな型補聴器』という)が現れた(イヤモールドの中に、受信部・バッテリーなどが全て入った。)。
- 2000年代になると、今までのアナログ補聴器とは異なるデジタル補聴器が現れた。(アナログ補聴器は、基本的に入った音を全て拡大する。なので、雑音も拡大されてしまう。デジタル補聴器は、人の声を拡大し、雑音をなるべくおさえるように細かく調節できるタイプの補聴器。しかし、最先端の補聴器のため価格がアナログ補聴器と比べて高い。)
現在使われている補聴器の比率は、耳かけ型補聴器が約30%、耳あな型補聴器が約60%。ポケット型補聴器が約10%を使っている。
デジタル補聴器の使用状況は60%ぐらい。
- 補聴器には、電話の声が聞きやすくなるよう、受話器のスピーカが発する磁気を受信し、その信号を増幅する機能がついているものがある。(この機能がついている補聴器には「T」(テレフォン)という切り換えスイッチがついている。「T」に切り換えると、内蔵マイクからの音声を拾わなくなるため、雑音が低下し声が聞きやすくなる。また、最近では磁気誘導ループという磁界を発生させる装置もあり、そのサービスを提供してもらえる場所では、同じく「T」に切り換えることでクリアな音声を得られる。また、モノラルイヤホンの振動板を抜くなどの改造をして、補聴器用イヤホンとしてiPodなどで音楽を聞く人もいる。
- 現在、補聴器の電源として、主に空気亜鉛電池が使用されている。