池田晶子
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池田 晶子(いけだ あきこ、1960年 - 2007年2月23日)は、日本の哲学者、文筆家。東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。
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[編集] 来歴・人物
港区立御田小学校、港区立港中学校(現:三田中学校)、慶応義塾女子高等学校を経て慶應義塾大学文学部哲学科卒業。埴谷雄高との交流をきっかけに活動を始める。処女単行本『最後からひとりめの読者による埴谷雄高論』(1987年河出書房)を上梓するも、かつて全共闘であった担当編集者と喧嘩をし、自ら絶版にする。言葉と精神の仕事のはずの言論出版界の陰険さに失望するとともに、数年間文筆業界では「干された」状態にあった。
その後『事象そのものへ!』(法蔵館、1991年)の連載で復帰し、専門知識や用語に頼ることなく、日常の言葉によって「哲学するとはどういうことか」を語ることで、多くの読者を集める。現代の思潮や流行している解釈に迎合せず、自分の考え、自分の言葉だけで存在と宇宙について思考をめぐらし、その執筆活動は哲学エッセイというジャンルの草分け的存在にもなっている。
古代ギリシアの哲学者ソクラテスの対話篇を現代に復活させた『帰ってきたソクラテス』(新潮社)シリーズや、中学生・高校生向けに語りかけ的文体で書いた哲学の入門書『14歳からの哲学―考えるための教科書』(トランスビュー)などが話題を呼んだ。また文芸批評家の小林秀雄をこよなく尊敬し、2004年には、彼の著作タイトルを拝借して『新・考えるヒント』(講談社)を書き下ろしで発表した。
晩年は『週刊新潮』の『人間自身』(以前は「死に方上手」というタイトルだった)、『サンデー毎日』で『暮らしの哲学』を連載するほか、『HANAKO』で人生相談の回答者としても登場していた。 また、『14歳からの哲学―考えるための教科書』の出版を機に、中学校や高校に赴くなどして、存在について、考えるということについて、講演を行った。
彼女の著作のほとんどが、絶版されずに版を重ねている。 2007年2月23日、腎臓ガンのため46歳の若さで死去。
[編集] 備忘録
[編集] 主な著書
- 最後からひとりめの読者による埴谷雄高論(河出書房新社、1987年)
- 事象そのものへ! (法蔵館、1991年)
- メタフィジカ! (法蔵館、1992年)
- 考える人 口伝西洋哲学史 (中央公論社、1994年)
- オン! 埴谷雄高との形而上対話 (講談社、1995年)
- 睥睨するヘーゲル (講談社、1997年)
- 残酷人生論 あるいは新世紀オラクル (情報センター出版局[1]、1998年)
- 2001年哲学の旅 (新潮社、2001年)
- 帰ってきたソクラテス (新潮社、2002年)
- ロゴスに訊け (角川書店、2002年)
- ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け(新潮社、2002年)
- 14歳からの哲学―考えるための教科書 (トランスビュー、2003年)
- あたりまえなことばかり (トランスビュー、2003年)
- 新・考えるヒント (講談社、2004年)
- 41歳からの哲学 (新潮社、2004年)
- さよならソクラテス (新潮社、2004年)
- 勝っても負けても 41歳からの哲学 (新潮社、2005年)
- メタフィジカル・パンチ! (文藝春秋、2005年2月)
- 人生のほんとう (トランスビュー、2006年)
- 知ることより考えること (新潮社、2006年)
- 君自身に還れ―知と信を巡る対話 (共著/本願寺出版社[2]、2007) ISBN 4894163772
他多数