沖積平野
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沖積平野(ちゅうせきへいや)は、第四紀の主に沖積世の海水準変動に伴う海進期の堆積作用により土砂が堆積することで形成された平野地形。
沖積低地とも言われることがある。
形成年代が若く締め固まっていないため、軟弱地盤と呼ばれる軟らかい地層が分布する。一般に肥沃で平らであるため、多くの文明が沖積平野で発祥している。
日本においては、狭義の沖積平野だけでなく、完新世において海に土砂が堆積しそれが隆起してできた海岸平野も含めて沖積平野という。
[編集] 災害に脆弱な沖積平野
日本においては人口の大部分が沖積平野に集まっているにもかかわらず、災害に対して脆弱な地形である。
- 地盤沈下が発生しやすい地質状況である。地下水利用に限らず、トンネルなどの地下掘削に伴う揚水においても、沈下現象が発生しやすい。
- 昭和50年代頃までに発生した地盤沈下によりゼロメートル地帯となり、このため水害が発生しやすい状況にある地域がある。
- 地震の際には地盤の液状化が発生しやすい地質状況にある。新潟地震の際には、海岸に近い場所で液状化現象が発生し、建築物の倒壊がおきた。
- 地震の際に揺れが大きくなることから火災の発生が危惧されている。関東大震災の際には、下町地域(沖積平野)で大規模な火災が発生した。
[編集] 軟弱地盤の発見
はじめて関東平野に大規模な軟弱地盤が拡がっている事が発見・確認されたのは、関東大震災の復興局による調査からである。復興局はボーリングマシンを輸入し、「突下数(とっかすう)」と言われる現在の標準貫入試験の原形の調査により、詳細な埋没谷(第四紀海水準変動により形成)と沖積層の分布図が作成された。