泣いちゃいそうだよ (小説)
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『泣いちゃいそうだよ』(ないちゃいそうだよ)は、小林深雪による青い鳥文庫の作品。作画している画家は牧村久実。シリーズとして、泣いちゃいそうだよ、もっと泣いちゃいそうだよ、いいこじゃないよの三冊がある。主人公の思想を中心に展開している話や、同世代の学生読者達からの共感もあり、圧倒的な人気を誇り、書店に行っても三冊も置いていないほど。特に泣いちゃいそうだよはなかなか手に入らない。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
中学生の小川凛(おがわりん)が主人公となっている。泣いちゃいそうだよシリーズ二冊では、凛が主役を務めていたが、いいこじゃないよでは、番外編として、凛の妹である小川蘭(おがわらん)が主人公となっている。今時の中学生少女の悩みや青春を、主人公の思想を中点に描いた物語で、10代少女読者から人気を博している。
また、小川蘭が主人公のいいこじゃないよは、ベネッセ進研ゼミの中学二年チャレンジ組で2006年4月号から2007年2月号にかけて一ヶ月毎に三頁ずつ連載された(3月号では、明依編の番外編が連載された)。これをおおまかに編集し直し、一冊の本となって発売された。
全く似ていない姉妹の姉妹愛も見所。
[編集] あらすじ
- どこにでもいるごく普通の中学生の少女、小川凛を視点に、勉強、部活、そして恋の悩みを忠実に描く。おっちょこちょいで何かと目が離せない小川姉妹の姉・凛の中学生活や、優等生として悩みを抱える妹・蘭の、波乱の十二ヶ月を描いた感動と共感がたくさん詰まった物語。小川姉妹と同期の読者にも好評を博している。
[編集] 登場人物(泣いちゃいそうだよ)
それぞれ、凛、蘭を中心に記述する。
[編集] 小川凛(おがわりん)
- 4月22日生まれ。
- この物語の主人公。ごく普通の中学生。成績はいまいちだが、明るく元気で誰とでも仲良くなれる性格。アフロ寸前の天然パーマだが、そのコンプレックスを乗り切って広瀬と交際している。広瀬の恋人だけあって、広瀬のクラスの女子には嫌な目で見られることもある。何かと広瀬に絡んでくる真緒を苦手にしているが、湾岸高校に合格した際に、その底知れぬ根性と努力を認めてもらい、和解する。
- 大食いで、趣味と宣言するほど食べる事が大好き。最初に踏ん張っては挫折する質で、妹の蘭とは正反対の為親にも何かと心配されている。数学などが苦手で英語が得意。
- 吹奏楽部に所属しており、フレンチホルン担当。その明るく穏やかで面白い性格から後輩にはとても慕われている。ピアノをやっていた時期もあったが、妹の蘭に追い越されるのに絶えられず、やめてしまったという過去を持つ。後輩からは「凛ちゃん先輩」と呼ばれている。
- 広瀬と一緒の高校に行きたいというのと、校風に惹かれて、難関の湾岸高校を目指す。とてつもない苦労の中、受験の為、いつもの彼女には考えられないような猛勉強をし、推薦には落ちたものの、試験を受けて見事合格した。
- 河野を嫌っていたが、突然彼が転校した事で、河野の事を気にしていた。修学旅行で再開出来た事を、とても嬉しく思っている。
- 漫画とお菓子が大好きで、その知識は蘭も負けるほど。背が多少低く、妹の蘭とほぼ同等。修学旅行や普段のお菓子の食べすぎでダイエットを試みるものの、いつも挫折に終わっているらしい。ドジな面があり、よく転ぶ。雪が降った日には雪に滑って広瀬を巻き込んで転んでしまった。
- 何かとおっちょこちょいで、頼りないところもあるが、世渡り下手な妹の蘭の良き理解者であり、そこのところは姉らしい部分を持つ。妹とは違うと理解しており、それでも憎まない心を持つ非常に妹想い、人想いな性格。妹の蘭曰く「誰よりも優しい」。
- 髪に、中学二年時のバレンタイン・デーに広瀬に貰ったヘアピンをつけている。
- 広瀬崇(ひろせたかし)
- 凛の同級生。眉目秀麗で成績優秀のサッカー少年。女子からとてつもなく人気を誇っているが、本人は自覚していない。後にサッカー部の部長を務めるほど、サッカーが上手い。サッカー部の男子にも慕われる。真緒を振って凛を選び、校内では話題になった。両親は仕事が忙しく、いつも小学生の弟と留守番している。大きなマンション住まいで、リビングは凛曰く二十畳はあるらしい。
- 凛のコンプレックスである天然パーマを「可愛い」と誉める。普段は冷静だが、意外と照れ屋でヤキモチ焼きで、凛が三島や河野と少しでも仲良くしていると、心配したり、怒ったり誤解したりする。心が広く、思いやりのある凛を何よりも大切に思っている。
- 真緒に何かと絡まれているが、本人は凛が本命の為、全く興味を示していない。友達としか思っていないらしい。
- 凛と共に湾岸高校に進学。
- 川上真緒(かわかみまお)
- 凛の同級生。広瀬とお似合いの美人。それ故に校内の男子には人気で、少し猫をかぶっている傾向がある。原宿でモデル事務所にスカウトされた事があるらしい。広瀬とは幼馴染で、広瀬の住むマンション7階の下である6階に住んでいる。料理上手。広瀬とは名前で呼び合うほど仲が良く、幼少時代からよく遊んでおり、広瀬に好意を寄せているのだが、広瀬が凛を選んだ為、凛を激しく敵視している。広瀬の前と凛の前とでは、人格が全く違う。高飛車で意地の悪い性格だが、本当は気が強いけど傷付きやすく、素直な少女。凛に激しい暴言を吐いたこともあるが、推薦に落ち、一人になりたがっている凛を気遣うなど、凛とはすれ違うも形の違う優しさを持つ。天然パーマの凛とは違う、さらさらの長い髪を持っている。広瀬への思いが消えず、凛と広瀬が恋人になっても広瀬に絡んでくる。親が離婚寸前にまでいっており、それが本人の心の傷となっている。
- 永井萌(ながいもえ)
- 凛の同級生、親友。凛の良き理解者で、誰よりも凛と広瀬の恋路を応援している。小柄で可愛らしくショートカットの少女。基本的に引っ込み思案で大人しい性格だが、河野が凛に好意を寄せていたことを蘭に話してしまう等、いたずら好きな面もある。控えめな性格なので友達が少なく、人気者の真緒に好かれる為に二年の時、つい真緒の前で本心でもない凛の悪口を言ってしまい疎遠になった事もあったが、和解する。それ以後、本当の親友となった。それ以来性格の方も徐々に冷静でマイペースと化して来た。推薦で緑山女学院へ進学。
- 麻美(あさみ)
- 凛の同級生、友人。普段はおしゃれに夢中。高校の事だけでなく、大学の事まで考えているという、前向きな少女。仲間と恋人同士。
- 仲間(なかま)
- 凛の同級生。麻美の恋人。修学旅行で凛達と同じ班だった。中学二年時に麻美に告白する。それ以来麻美とは恋人同士で、非常に仲が良い。大学まで一緒にしようと決めているらしい。
- 河野(こうの)
- 凛の中学二年時のクラスメイト。凛の髪型をからかい凛を泣かせたこともあり、凛には嫌われていたが、凛を意識しての行動だった。しかし、本心は彼女に優しくしたい気持ちでいっぱい。体育祭の練習に参加せずに母親の入院している病院に看病に行く等、親思い。福岡に転校し、三年の修学旅行で凛と偶然再会する。広瀬曰くかっこいいらしい。
- 吉田先生(よしだ)
- 凛の担任の教師。生徒と平等に接し、理解しようとする優しい男の先生。難関の湾岸高校を目指す凛を気遣い、同時に応援もする凛の理解者。蘭の事を「優秀だから、受験は安心だ」と評した。
- 村上(むらかみ)
- 河野の友人。河野の良き理解者で、凛との恋路も男子達と応援したりした。凛と河野が修学旅行で会ったことを広瀬に話し、誤解を生んだ。
- 純ちゃん(じゅん)
- 凛の友人。
- 広瀬家
- 大きなマンションに住む。母は本社がパリにある会社でファッションデザイナーの仕事をしており、大変多忙である。長身で美人だが、息子達とはそんなに食事をとれないらしい。父は凛が家を訪ねた際にアメリカに行っていた。弟は広瀬のミニチュアみたいで、とても可愛らしい容姿をしている。小川家のクリスマスパーティに兄と共に訪れた。小学生。
[編集] 吹奏楽部
- 神長先生(かみなが)
- 吹奏楽部の顧問。凛の本質を見抜き、彼女を部長にしたかったと思っている。
- 伊藤(いとう)
- 吹奏楽部部員で凛の一つ年下の後輩。フレンチホルン担当。一年の時は、中学の部活という初めての感覚で凛とわだかまりもあったが、今は凛を慕っており、仲が良い。凛が受験のために吹奏楽部を辞めるのではないかと心配し、友人と共に凛を引き留めた。
- 三島弦(みしまげん)
- 凛の後輩でサックス担当。詳しくは後述。
- 真実(まみ)
- サックス担当。一年の時に、サックスの腕を買われソロを任されたが、可愛い容姿をしているらしく、他の女子から激しく反抗された為に、部活をやめると宣言したので、凛の自宅まで来て彼女が3時間説得した。二年の女子に、三島に好かれているのでは、と噂されていたが、ガセ情報。
- 藤井彩(ふじいあや)
- フレンチホルン担当で、凛とは親しい一年生。蘭にも憧れていた。可愛らしい少女で、三島とも親しかった。
[編集] その他
- 凛・蘭の両親
- 娘たちの事を第一に考える優しい両親。父はとんでもない親バカで、ピアノコンサートでは客席で立って観ていた。家族で男一人故に感じる寂しさもあるらしい。娘たちには「パパ」と呼ばれている。
- 母は通販マニアで、流行のものはとことん買ってしまうらしい。参観会で携帯で凛の写真を撮り先生に注意された事もある。凛が受験生の時、買い物中に交通事故にあって病院に搬送された事がある。
- 蘭を信頼してはいるが、それ故に東京で一番偏差値の高い高校に行かせたいと考えており、蘭と対立したこともある。どうやら近所では娘の自慢話ばかりをしているようだ。
- 非常に料理が上手で、朝食も一番に朝早く起きて作っている。娘たちには「ママ」と呼ばれている。
[編集] 登場人物(いいこじゃないよ)
[編集] 小川蘭(おがわらん)
- この物語のもう一人の主人公。小川凛の妹。真緒の右に出る程の中学一の美少女で、何でもこなす優等生。心優しく篤実な性格だが、自分の気持ちを内に閉じ込めてしまう面を持つ。引っ込み思案で頼まれたら断れない質。普段は真面目で控えめだが、たまに感情を爆発させてしまう事もある。学校ではスポーツ万能の為テニス部に所属しており、ピアノが得意。本当の自分を見てもらえない事で、他人との距離を作りがちであり、先生受けがよく成績優秀な為、一部の女子からは敬遠されており、それが大きな悩みとなっている。しかし、教師や親からの信頼は厚い。品行方正。
- 姉の凛とは正反対に大人しい為、親にも信頼され不満を持たれていないが、内心では自分の事も気にかけてほしいと思っている。親に心配され、誰にでも好かれる姉の凛を羨ましく思っていた。姉妹の仲はとても良く、毎年恒例の夏休みの家族旅行に凛が行かないと行った時は、彼女が一番残念がっていた。
- いろいろな理由があいまって疎遠される事があるが、明依とは後に和解し、最終的には親友となった。彼女も姉の凛に負けず劣らず心が広いので、反発している他人とも心通わせる事ができる暖かさを持つ。
- 作文コンクールで賞を受賞し新聞に載るほど、普段は活躍の場が広い。また、クラスでは学級委員長を担っており、「委員長」とクラスで呼ばれる事を良く思っていなかった。博識で、凛に「クイズに出られる」と言われた。夏でも上着を羽織る。手足がすらっとしており、スタイルがいい。職員室でも彼女の事は話題らしい。親に反抗する事はない。京都や奈良など、歴史的な雰囲気が好きで、憧れている。
- 実は広瀬に想いを寄せていたが、広瀬が凛を選んだ為、身を引いたという過去を持つ。
- 誰にも自分の本当の気持ちを理解してもらえない事に悩んでいたが、相談に乗ってくれたり自分の気持ちを考えてくれた三島に、想いを抱き始める。
- テニスラケットを持つ手や、カップを持つ手から、完全な両利きだと思われる。
- 三島弦(みしまげん)
- 二年の蘭のクラスメイト。吹奏楽部に所属しサックスを担当する凛の後輩。清潔感があり真面目な美少年で、女子から人気がある。何かと悩みがちな蘭を励ます良き理解者。
- 人の気持ちを考えられ、正しい事を言える優しい性格だが、蘭や明依の想いに全く気づかない等、かなりの鈍感な面を持つ。しっかりとしているが、明依に借りた本を失くす等、たまに失敗をする。
- 実は凛に好意を抱いており、広瀬がいることで想いを伝える事を避けていたが、蘭の助言で告白する。凛の相談にも何かと乗っており、嫉妬した広瀬にサッカーボールを思い切り顔面にシュートされた事もある。
- 凛に振られてからは、蘭と共にいる楽しさを大切に思えるようになり、蘭に想いを抱くが、姉である凛への思いが届かないなら妹の蘭に、という考えに対してどうしていいかわからず、蘭が告白してきた後も、しばらく返事をする事が出来なかった。しかし、最終的には名前で呼び合うほどになり、恋仲になる。
- 石田明依(いしだめい)
- 二年の蘭のクラスメイト。派手な女子グループの中にいて、何でもできて三島と仲の良い蘭に敵対心を抱いていたが、養護老人ホームでの活躍ぶりを蘭に誉められ、蘭が本当は素直で優しい事を思い知り、それ以後蘭に協力するようになる。成績はあまりよくなく、母に注意されているが、明依が介護している家で寝たきりの祖母には、「自慢の孫」と言われており、仲が良い。一年の時から三島に淡い好意を抱いているが、三島が蘭を選んだ為に身を引く。最終的には蘭と名前で呼び合うほどの親友になり、三島を諦めた後は、修治に好意を向けるなど、前向き。5月に生まれた為、英語で5月という意味の『MAY』から名付けられた。
- 因みに、進研ゼミチャレンジ組に連載されていた頃、5月号で三島に庇われている蘭を睨む明依が小さく描かれているが、そのデザインと後の10月号に再びアップで登場した彼女のデザインが全く異なっている為、本になった際に修正されており、睨む彼女も少しアップになっていた。
- 沙絵(さえ)
- 一年と二年での蘭のクラスメイトで親友。器用で、字を書くのが得意。
- 友紀代(ゆきよ)
- 一年と二年での蘭のクラスメイトで親友。調理部に所属している。明依が蘭に暴言を吐いたときには注意する勇気を持っている。
- 太宰修治(だざいしゅうじ)
- 蘭と同学年。蘭と同じピアノ教室に通う友人。マイペースで飄々とした性格だが、天才ピアノ少年の異名をもつほどピアノが得意で、楽譜を少し見ただけでどんな曲でも弾けるほど。テレビで取材もされ、追っかけまでおり、少女たちから絶大な人気を誇っている美少年。サインをする時は照れる事無く堂々とするが、昔は泣き虫だったらしく、ピーマンが嫌いだった。綾乃に何かと泣かれていた。発表会でトリを勤める。何が本音なのかわからないような発言をする。母親は派手らしい。音楽大学付属高校に進学しようと考えている。
- 幼稚園時代から蘭に好意を抱いており、ピアノコンサートで告白するが、理由が不純な為振られる。定期入れに蘭の写真を入れている。しかし、蘭が三島を選んだ為、身を引く。
- 綾乃(あやの)
- 蘭と同学年。蘭と同じピアノ教室に通う友人。気が強く男勝りな性格で、小さい頃は修治をいじめて泣かせていたが、実は修治に好意を持っている。修治と同じ音大付属高校に進学しようと思っており、蘭を誘う。
- 蘭の良き理解者で、姉の凛とも仲が良いようだ。髪型はショートカット。
- 明依も修治に好意を抱き始めた為、綾乃と明依が激しい争奪戦になるのではないかと、蘭はハラハラしている。
- 平井(ひらい)
- 蘭のクラスメイトの男子。誰とでも仲良くなれる性格。蘭を戒めていた明依をからかいながら注意するなど、人の事を考えられ、協力する心を持っている。
- 村上先生(むらかみ)
- 蘭のクラスの担任教師。数学を担当する若い男の先生で、生徒からも人気者。