煙突効果
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煙突効果(えんとつこうか)とは、流体が煙突状の物体の中で起こす熱対流の性質である。
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[編集] 概要
異なる温度の流体があった場合、温度が高く密度の低いものほど上昇し、温度が低く密度が高いものほど下降する性質がある。 両端が解放されている煙突状の空間内部で流体が暖められて上昇していくとき、下部には負圧が働いて流体が流入する。 煙突の断面積が広いほど、長さが長いほどこの効果は高まる。 また、まっすぐであるほうが流体の流れがスムーズに保たれ効果を損なわない。
[編集] 応用例
工業分野では煙突の長さを調整して、流入する空気量を加減し、最適な燃焼状態を保つために利用される。
建築分野では、省エネルギーを目的として、特に高層建築物において煙突効果が利用されることがある。 低層階から高層階にかけて吹き抜けをつくり、建物内部における自然な熱対流を利用して換気や空調、排熱を行うのである。しかし、逆に冬季においては、煙突効果が建物の外から冷たい空気を呼び込み空調エネルギーの損失を生む原因となるため、回転ドアなど気密性の高い建具を使用して、空気の流通を抑える必要がある。
[編集] 煙突効果と火災
煙突効果は、つまるところ空気の対流を促進させるものである。 煙突効果が高層建築物で火災が発生すると、火災自体の発熱によって空気が暖められ急速に広まってしまうことがある。 また、建物内部に設置されている階段やエレベーターシャフトが煙突の役割を果たし、煙や有毒ガスが急速に充満してしまって避難に支障をきたすこともある。 このような事態を抑えるためには、階段等を防火壁・防火扉でしっかりと隔離したり、こまめに窓を設けて煙突効果を軽減させたりするなどの対策が必要である。