片仮名
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片仮名(かたかな)は日本で使われる音節文字の一つ。片仮名を片仮名で表記するとカタカナとなる。 平仮名・万葉仮名と併せて仮名と総称する。
日本語では主に次の様な場面で用いられる。
- 漢文訓読・注釈等にかかわる場合
- 漢文訓読における添え仮名(送り仮名)として
- 漢文作品の注釈を行う際、ひらがなの代わりに(訓点資料・抄物)
- ひらがなの代りに用いる場合
- 現在ではほとんどないが、中世ごろから戦前にかけては多く見られた
- 音を示すことを目的とする場合
- 一般と異なる表記にすることによる効果を目的とする場合
- 技術的な理由により使用可能な文字が極めて限られている場合
氏名や住所を記入する際、振り仮名欄にフリガナと表記してあれば、普通片仮名で書く。
また、近年ではアイヌ語の表記にも小文字や半濁音などで拡張されたカタカナを用いる。
片仮名は該当する音をもつ漢字の一部分を取り出して作られたもので、漢文訓読のために平安時代の初期に発明されたものである。ただし、現在の字形に定められたのは明治であり、それ以前は平仮名ほど多種多様ではないが複数の変体仮名(子=ネ、七=サ、\=キ、T=マ、ア=ミ、禾=ワ、等)が存在した。また、徳島文理大学の小林芳規教授は新羅の元曉大師『判比量論』に角筆で記されている「βリ」の如き記述に片仮名の起源が推測できると主張している。
[編集] 片仮名の一覧
あ段 | い段 | う段 | え段 | お段 | |
---|---|---|---|---|---|
あ行 | ア | イ | ウ | エ | オ |
か行 | カ | キ | ク | ケ | コ |
さ行 | サ | シ | ス | セ | ソ |
た行 | タ | チ | ツ | テ | ト |
な行 | ナ | ニ | ヌ | ネ | ノ |
は行 | ハ | ヒ | フ | ヘ | ホ |
ま行 | マ | ミ | ム | メ | モ |
や行 | ヤ | ユ | ヨ | ||
ら行 | ラ | リ | ル | レ | ロ |
わ行 | ワ | ヰ | ヱ | ヲ | |
ン |
- 「ヰ」「ヱ」は、現在歴史的仮名遣においてのみ用いられる。
- 「イ」「エ」を180度回転させた文字が、ヤ行の「イ」「エ」として用いられたことがある。(これは,江戸時代の音韻学の発展の結果,「ヤ行やワ行の「イ」「エ」にも独自の文字を割り当てるべきではないか。」という考え方が生じたために作られた記号であり,一般に通用する文字ではない。学者ごとに異なった記号を用いており,ここに示されたのは一例にすぎない。)
- 「ユ」は「由」の一部という説が現在は主流だが、「弓」の最初の2画から取られたとする説が以前からあり、そちらの方が筆の流れからは自然である。
- 「ヰ」は「井」を、「ヱ」は「恵」の草体を、それぞれ変形したものである。
- 「ワ」については「輪」の意で記号「○」を「()」と2画で書いたことから生まれたとの説もある。
- 「ン」については漢字起源ではなく撥音を表わす記号「V」が変化してできたという説も有力である。