狭角V型エンジン
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狭角V型エンジン(きょうかくぶいがたえんじん)とは、著しく小さい(15度程度)バンク角を持つV型エンジンのことである。
クランクシャフトの一つのピンから二本のコンロッドが生えている、狭義の意味でのV型において、通常使われるバンク角(例えばV型2気筒なら90°)よりも小さいバンク角を持つエンジンも狭角V型エンジンと呼ばれることもあるが、現在では、直列エンジンのシリンダー・ボア中心間隔をできる限り詰めるため、交互に千鳥配置としたものを指すようになった。
ここでは、そのような左右のバンクにおいてシリンダーヘッドが一体化されているものについて述べる。
古くはランチア、近年ではフォルクスワーゲンが自動車用エンジンとして採用している。直列エンジンより短い全長を持ち、通常のV型エンジンだとふたつになるシリンダーヘッドがひとつになる等の特徴を持つ。V型とはいうが極端に狭いバンク角のために外見は直列エンジンに近く、吸気、排気もそれぞれのバンクに分かれるのではなく直列エンジンと同じくそれぞれ1列に並んでいる。 フォルクスワーゲンから最初に発表された狭角V型6気筒エンジンは「VR6」と呼ばれた。VR6のVはV型エンジン、Rはドイツ語での直列型エンジン(Reihenmotor)の頭文字をとったことによる。現在は単にV型エンジンと表記されることが多い。
現在、フォルクスワーゲンが採用している狭角V型エンジンではカムシャフトは2本であり、1本が両バンクの吸気バルブ、もう1本が両バンクの排気バルブを駆動し、直列DOHCエンジンのようなカムシャフト配置となっている。これはかつてのランチアの狭角V型エンジンと同じ方式である。また、狭角V型エンジンをふたつ組み合わせたW型エンジンもフォルクスワーゲンは展開している。W型エンジンと言った場合、バンクが3つあるエンジンを指すこともあり注意が必要である。