W型エンジン
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W型エンジンは、シリンダーを扇状に3列以上配置したレシプロエンジン。3列以上でも放射状に配列したものは星型エンジンとなる。
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[編集] 特徴
V型エンジンなどに比べてクランクシャフトが短くてすみ、横幅もV型エンジンより少し幅広になるだけなので多気筒のエンジンがコンパクトにできる。
[編集] 歴史
歴史上では最初に3バンクのW型エンジンが登場し、今日ではフォルクスワーゲンが狭角V型エンジンを組み合わせたW型エンジンが製造されている。
[編集] W型エンジンの原型
1909年に初めてドーバー海峡を横断飛行したブレリオのアンザニエンジンは3気筒エンジンで、V型2気筒エンジンに1気筒足したような形状であった。このような3バンクのW型エンジンは多気筒化した場合に中央のバンクの排気系の取りまわしの困難、冷却性の問題から多気筒化は放射状に気筒を配列した星型エンジン、もしくはそれの複列化、または水冷V型エンジンが主流となった。戦後もレース用や試作車での採用例はあるが成功したと言えるものはない。
[編集] 今日のW型エンジン
現在、市販車に搭載されているW型エンジンは狭角V型エンジンをふたつ組み合わせることによって実現されている。このようなW型エンジンの場合、排気系および吸気系の取り回しはV型エンジンと同様になり、3バンクのW型エンジンのような問題は生じず、クランクシャフトの全長の短縮によるエンジン長の短縮のメリットが享受できる。
[編集] モータースポーツ
1990年、F1コンストラクターのライフが自社製のW12気筒エンジンを用いてF1に参戦。しかし、全戦予備予選落ちを喫したためF1の公式記録には記載されていない。なお、シーズン途中にレイトンハウスより譲渡を受けたジャッドエンジンに変更するも、最終戦を待たずしてF1から撤退した。
[編集] 利用
今日のW型エンジンはフォルクスワーゲングループのみで採用されている。
- フォルクスワーゲン パサート(W型8気筒)
- フォルクスワーゲン トゥアレグ(W型12気筒)
- フォルクスワーゲン フェートン(W型12気筒)
- アウディ A8(W型12気筒)
- ベントレー コンチネンタルフライングスパー(W型12気筒)
- ブガッティ ヴェイロン (W型16気筒)
[編集] 関連項目
- ネイピア・ライオン(航空機用エンジン)
- カマタ・アンジェラス-リッジレーサーに登場するW型エンジンマシン。