球面調和関数
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球面調和関数(きゅうめんちょうわかんすう、spherical harmonics)は、3次元のラプラス方程式の解を球座標で書いたときの角度部分の関数。
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[編集] 定義
球面調和関数 Ylm (θ, φ) は、次の式で表される関数である。
ここで、l は非負の整数、m は -l ≤ m ≤ l の整数である。Plm はルジャンドル陪関数である。
[編集] 関連する微分方程式
3次元のラプラス方程式
の、球座標 (r, θ, φ) による表式
に対し、u (r, θ, φ) = R (r )Y (θ, φ) と変数分離して、その分離定数を λ とおくと、微分方程式
が得られる。λ = l (l + 1) のときの、この方程式の解が、球面調和関数である。
[編集] 具体例
いくつかの球面調和関数の具体的な表式を示す。
[編集] 量子力学での応用
量子力学で、球対称なポテンシャル V (r )に対する1粒子シュレーディンガー方程式 (代表的なものは水素原子におけるシュレーディンガー方程式)
を解いたときに、球面調和関数が現れる。量子力学では、 Ylm の l を方位量子数、m を磁気量子数という。
球面調和関数は軌道角運動量 l と密接な関係がある。球面調和関数は l2 と lz の同時固有関数になっており、その固有値はそれぞれ 、
である。すなわち
となる。また、上昇下降演算子 l+、l-を球面調和関数に作用させると
となる。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 小出昭一郎『量子力学(I) (改訂版)』裳華房<基礎物理学選書>、1990、ISBN 4-7853-2132-6。pp.89-96.
- L. I. Schiff, Quantum Mechanics, 3rd ed, Singapore etc.: McGraw Hill, 1955, ISBN 0-07-085643-5. pp.79-80.
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