生産緑地地区
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生産緑地地区(せいさんりょくちちく)とは、市街化区域内の土地のうち、一定の要件を満たす土地の指定制度(生産緑地地区制度)に沿って管轄自治体より指定された区域のことで、都市計画上、農林漁業との調和を図ることを主目的とした地域地区のひとつであり、その要件等は生産緑地法によって定められている。
また、この制度により指定された土地または森林のことを生産緑地(せいさんりょくち)と呼ぶ。
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[編集] 概要
昨今、大都市圏など一部地域において都市化が急速に進んでいるが、いっぽう緑地が本来持つ地盤保持や保水などの働きによる災害の防止、および農林漁業と調和した都市環境の保全などのため、将来にわたり農地または緑地等として残すべき土地を自治体が指定することにより、円滑な都市計画を実施することを主目的としている。
また、大都市圏の一部自治体においては、生産緑地指定を受けることで固定資産税の税率が農地並みになる措置が受けられる意味もある。
なお、一旦指定を受けた土地は、一定の要件を満たす場合の外は原則として解除できない。
[編集] 農地課税の扱いが異なる自治体
主に市街化区域内の農地の宅地転用を促す目的で、大都市圏の一部自治体においては、市街化区域内の農地について固定資産税および相続税の税率が宅地並みに引き上げられたが、しかしながら農地や緑地の持つ前述の役割が都市部においても変わるわけではなく、また生産緑地地区については従前どおり農地並みの税率が適用されるため、この制度による指定を受ける農地が増加した。
なお、該当する自治体は次のように定められている。
- 東京都特別区(いわゆる23区)
- 首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市
- 首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法に規定する一定の区域内(中部圏の場合は都市整備区域内)にある市
[編集] 要件
生産緑地に指定する(または地権者等が要望して生産緑地としての指定を受ける)際には、生産緑地法により定められている次のような要件を満たすことを、所轄自治体が審査する。
- 主な要件
- 農林漁業などの生産活動が営まれていること、または公園など公共施設の用地に適していること。
- 面積が 500m2以上であること(森林、水路・池沼等が含まれてもよい)。
- 農林漁業の継続が可能であること(日照等の条件が営農に適している等)。
- 当該農地の所有者その他の関係権利者全員が同意していること。
[編集] 生産緑地になると
[編集] 受けられる措置
- 生産緑地であることを示す標識が設置される。
- 固定資産税が一般農地並みの課税となる。
- 相続税の納税猶予の特例などが設けられている。
- 農地等として維持するための助言や、土地交換のあっせんなどを自治体より受けることができる。
- 死亡や身体障害等により農業等の継続が困難になった場合には、自治体等に時価での買い取りを請求することができる。自治体等が請求に応じない場合には、当該生産緑地における建築等の制限が解除される。
[編集] 制限される行為
- 当該土地の所有者または管理者等に、農地としての維持管理を求められる。
- 農地以外としての転用・転売はできない(農地としての転売については農地法による手続きにより可能)。
- 宅地造成、建築物等の新築・増改築などはできない(農業用ビニールハウスなどは、自治体首長の許可により建設可能)。
- 土石の採取、水面の埋め立て、干拓などが制限される。
- 上記に違反した場合、原状回復命令が出されることがある。