発車標
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発車標(はっしゃひょう)は、旅客駅において、乗客に対して列車の発車時刻や接近案内、遅延情報通知などを行う案内表示装置、電光掲示板のことである。
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[編集] 概要
表示素子にLEDを用いた電光掲示板が主流だが、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイが用いられている例もある。以前は反転フラップ式(いわゆるパタパタ式)のもの、字幕式のものもあった。
LEDの場合、16x16ドット文字、24x24ドット文字の場合がある。首都圏のJRの場合、いわゆるATOS制御されており16x16ドット文字が使われているが(JR横浜駅を除く)、複雑な漢字の視認性に欠ける。近年、青色LEDの実用化によりフルカラーLED製品が登場しているが、それらは24x24ドット文字の製品が使用されている。
[編集] 表示コンテンツ
- 改札口、コンコース設置 = 電車種別、発車時刻、行き先、のりば(番線)、停車駅 等
- ホーム設置 = 電車種別、発車時刻、行き先、電車の接近案内 等
LED式、液晶式などでは、日本語表記を数秒、英語表記を数秒というように交互に表示される。(反転式では無理な芸当)。この場合、日本語の方が長い秒数に設定される事がほとんどである。
3色LEDでは、文字通り3つの色の中から選択されるため苦しい運用がせまられる。重要度の高い情報には赤色が選択される。
- ホーム上での電車の接近案内には赤文字で表示される。
- 特急に赤色が使われる。
[編集] 筐体
表示面(LEDそのもの)を目立たせるため、筐体色は伝統的にグレーなどくすんだ色が用いられる事が多い。近年は白など明るい色が使われだしている。デザインは鉄道会社毎にある程度統一されているが、会社によっては設置時期に差があるなどして、統一感の無い場合もある。表示面の反対側(裏面)を広告掲示などに使われる場合もある。 時計と一緒に設置される、もしくは時計を製品そのものに組み込む場合も多い。
[編集] 通信インフラ
従来から使われる3色タイプLEDでは、低速(19200bit/sec程度)なRS-485回線のものが多い。フルカラーLED製品では大きなデータサイズに対応するため、イーサネットが用いられている。
(注)RS-485自体が低速なのではない。距離が数メートル程度なら10Mbit/secの転送レート可。発車標インフラは時に1km近くにも及ぶため、低速でしか運用できない。
[編集] コスト面
フルカラー製品が使われ始めているとはいえ、コスト制約により、列車種別部分のみフルカラーを使い、行き先その他は従来の3色LED(赤緑橙)を使うという混在例が多い。この場合、かえって製品としてチグハグで貧相なイメージを与えるが、それでも種別を多彩な色分けにて表示する事で乗る電車の識別をしやすい事には変わりない。
首都圏のATOS発車標は、導入台数も極めて多いため、コストの安い16x16ドットがほとんどである。この場合、英語表記などが非常に窮屈で読みづらい場合がある。
上記に関し、JR横浜駅はATOS管轄だが、当初より24x24ドット製品を用いている。横浜という土地柄か、外国人(英語圏)に配慮した好例と言える。
[編集] 欠点
LED式、液晶式等のディスプレイに共通していえるのは、ホーム上など日差しが差し込む場合、極端に見づらくなる。 これはかつての反転式ではありえなかった欠点である。
[編集] 寿命
スイッチング電源で使用される電解コンデンサの寿命、LED素子の輝度低下などが製品の寿命を左右する。いずれにせよ周囲温度の影響を大きく受ける。寒冷地である北海道地区では同一製品が10年を超えて使用される場合が多々見られる。
[編集] 普及
首都圏、関西圏などの鉄道会社、駅においては概ね普及している。一方で地方においては、その中心となる駅以外での普及が遅れている。
[編集] メーカー
専業で発車標のみを作るメーカーはない。大抵の場合、信号系、駅名標、その他広告関連の掲示板など兼ねて営業展開している。
[編集] 文献
鉄道ジャーナル 2004年9月号 特集「LEDとLED表示装置がもたらしたもの 電気と光のインフォメーション」
[編集] 関連項目
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