白骨温泉
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白骨温泉(しらほねおんせん)は、長野県松本市安曇(旧国信濃国)にある温泉である。
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[編集] アクセス
- 鉄道:松本電気鉄道上高地線新島々駅よりバスで約60分。
[編集] 泉質
- 胃腸病、神経症、婦人病、慢性疲労などに効能があり、その昔「白骨の湯に三日入ると三年は風邪をひかない」とも言われた。
- 湧出時には透明な温泉が、時間の経過によって白濁する。白濁の要因は、温泉水中に含まれている硫化水素から硫黄粒子が析出すること及び重炭酸カルシウムが分解し炭酸カルシウムに変化することである。
[編集] 温泉街
北アルプスのふもと、山と渓谷に囲まれたところにある。乳白色の湯として全国的に知られ、多くの旅行雑誌などに取り上げられている。
近くには、上高地や乗鞍高原があるため、その観光客で賑わっている。 また、近くにスキー場もあるため、冬場もたくさんの人で賑わっている。
県道白骨温泉線の終点付近にある観光案内所周辺が温泉地の中心部であり、このエリアに10軒の旅館、ホテルが存在。
また1kmほど南に下った、上高地乗鞍スーパー林道B線の起点付近に3軒の旅館が存在する。近くに泉がある。
温泉地の「白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」は、1922年に国の天然記念物、1952年には国の特別天然記念物に指定されている。
[編集] 歴史
温泉宿としては元禄年間に信濃の人・斉藤孫左衛門により開かれた。
温泉の名は、古くは2つの名前が存在し、それぞれの由来は以下のとおりである。
- 白骨温泉
- 成分中の石灰質が、湯船に落ちる木の枝を真っ白に染め、人骨のように見えたことによる。
- 成分中の石灰質が、沈殿・凝固し、浴槽や床に様々な紋様を描いた様子が、人骨に見えたこと。
- 白船温泉
- 成分中の石灰質で湯船の内側が白くなることによる。
大正時代に中里介山の長編小説『大菩薩峠』で白骨温泉の表記が登場してからは、呼称は「白骨」で統一されるようになっていった。
他の文人ともゆかりが有り、若山牧水はこの温泉を好んで訪れた。
[編集] 入浴剤問題
2004年7月、日帰り浴場の「野天風呂」をはじめ、一部の旅館やホテルで入浴剤(草津温泉ハップ、610ハップ)を混ぜていたことが発覚した。その中に当時の安曇村村長が経営していた旅館も含まれていたことから、この村長は責任を取って辞職した。(1996年頃より十数ヶ所ある源泉の一部において白濁が薄くなったことに起因する。)
また白骨温泉の騒動をきっかけに、日本中で温泉の利用表示などについての問題が発覚し、一連の温泉偽装問題として大きくニュースで報道された。騒動以降日帰り浴場の「野天風呂」は閉鎖されていたが、2005年4月28日に営業を再開した。
一連の問題への対応として、長野県では温泉の信頼回復を図るために「安心・安全・正直」な信州の温泉表示認証制度 を2004年11月に創設した。