睡眠時無呼吸症候群
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睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん、sleep apnea syndrome;SAS)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気である。
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[編集] 病気の定義(概念)
夜間睡眠中に「無呼吸」が30回以上あるか、「無呼吸・低呼吸指数」(apnea hypopnea index;AHI)が5以上の場合を睡眠時無呼吸症候群とする定義が多い。
ここでは
- 無呼吸
- 口、鼻の気流が10秒以上停止すること。
- 低呼吸
- 10秒以上換気量が50%以上低下すること。
- 無呼吸・低呼吸指数
- 1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせたもの。
を指す。
[編集] 分類
睡眠時無呼吸症候群は、次の3種類がある。
- 閉塞型睡眠時無呼吸症候群
- 上気道の閉塞によるもので呼吸運動はある。肥満者に多い。
- 中枢型睡眠時無呼吸症候群
- 呼吸中枢の障害により呼吸運動が消失するもの。
- 混合型睡眠時無呼吸症候群
- 閉塞型と中枢型の混合したもの。
ほとんどは閉塞型で中枢型は少ない。
[編集] 原因
- 閉塞型睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道を閉塞することが主な原因である。
- 中枢型睡眠時無呼吸症候群
- 脳血管障害などによる呼吸中枢の障害で呼吸運動が消失するのが原因である。
[編集] 症状
- 強い眠気
- 抑うつ
- 頻回の中途覚醒
- 集中力の低下
- (家族などが気づく)睡眠時の呼吸の停止
- (家族などが気づく)大きな鼾(いびき)など
家族などの同居者がいない場合、この病気の発見は非常に遅れる。特に自覚症状が弱い場合は誰にも発見されないため、その状態が徐々に悪化して深刻な問題を起こしてしまう。よくある深刻な問題の例は、自動車の運転中に強い眠気が発生し運転操作を誤って人身事故になることである。そしてこういう事故をきっかけにこの症状を知るというケースが目立つ。
また、同居者がいてもこの病気に関する情報を持っていなければ、単に「いびきをかきやすい性質」としか認識されず、治療開始が遅れることもありえる。
睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきは、普通の「すーすー」「ぐーぐー」「くーくー」といった、音の長いものではなく、「・・・・・・(しばらく無音の後)ぐばあっ!」という衝撃の伴うような特徴を持っている。水中に長く潜っておき、急浮上して息を吸い込むときの音色に近い。どちらもその直前まで呼吸をしていないことが共通している。
[編集] 検査
[編集] 睡眠ポリソムノグラフィ検査
睡眠ポリグラフ(PSG)とも呼ばれる。入院して下記のようなデータ収集を行なうものである。アプノモニターのような携帯型の簡便な装置で在宅検査を行なう場合もある。
- 脳波、眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージ
- 口・鼻の気流、胸・腹部の動きによる呼吸パターン
- パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)
[編集] 治療
[編集] 閉塞型睡眠時無呼吸症候群
[編集] 減量療法
患者が肥満者の場合、減量により上気道周辺の脂肪の重さによる狭窄を改善する。
[編集] 持続陽圧呼吸療法
CPAP(continuous positive airway pressure ; シーパップ)装置よりチューブを経由して鼻につけたマスクに加圧された空気を送り、その空気が舌根の周りの空間を広げ吸気時の気道狭窄を防ぐ方法。
CPAP装置には大きく分けて2タイプあり、ひとつは固定CPAPと呼ばれ、もう一つはオートCPAPと呼ばれる。いずれも日本国内では保険診療として認められており、一般的な給与所得者にとって大きな負担と感じられない程度の費用で利用することができる。保険診療扱いで、「装置をレンタルして使う」ようなスタイルのため、症状の有無に関わらず一ヶ月に最低1回は担当医師の診察が必要である。特に固定CPAPを用いる場合、その設定値に対する検証が必要となり、医師に現状を話して設定変更の必要性を定めなければならない。
固定CPAPは、患者があらかじめ検査入院するか計測器を自宅で取り付けて適切な圧力を測定し、それを医師が装置に設定し、患者が使うものである。設定値が高い場合、患者の入眠が妨げられることもあるため、始動時からある程度の時間は弱い圧力で作動し、徐々に設定した圧力に変わるようになっているものがある。
オートCPAPは設定を必要とせず、患者の状態に合わせてリアルタイムで圧力が変化するようになっている。また、オートCPAPにはデータを記録するための機能を持っており、そのデータを医師が回収して分析することも可能である。
CPAP装置から鼻マスクへ送出される空気の気圧は、症状や体格により異なるが、おおむね2~10hPa程度である。どうしても処方直後は不快感を感じやすく、睡眠中無意識に鼻マスクを外してしまうことがある。機種によっては、このような場合に警告音を鳴らすことができる。CPAPの普及に伴い、不快感を減少させるための工夫が年々行われている。どのような形式の鼻マスクであれ、調整用のバンドが付いているので快適な装着感が得られるまで調整を繰り返し、できるだけ早く慣れるように試みるのが基本である。骨格などの関係で、どうしても不快感が残る場合は医師に相談し、サイズ・形状の異なる鼻マスクの提供を受けるのがよい。
鼻マスクは、あえて空気が漏れやすい構造になっている。作動時は常にシューという空気の摩擦音が発生するが、これは異常ではない。潜水用の酸素マスクのような、呼吸に連動して作動するバルブは付いておらず、息を吐き出したらスムーズにマスクの外へ流れるようになっている。機種によっては、息を吐く時だけ圧力が下がるものがある。
特に冬季は、冷たい室内の空気が加圧されて送られるため、冷たさや乾燥を伴うことがある。CPAPの機種によっては(オプションパーツの場合も含め)加湿器・加温器を備えているものがある。これを用いることで不快感を減らすことができるが、過度に加湿・加温した場合かえって不快感が発生することがある。その場合はCPAP側で対応するのではなく、寝室の空調で対応すると解決しやすい。
CPAPにはコンパクトで効率の高いエアフィルターが付いている。花粉やハウスダストなどによるアレルギー症状を持つ患者には、オプションパーツとしてアレルゲン対応のエアフィルターが提供される。どのようなエアフィルターを用いる場合でも、定期的な洗浄・清掃は不可欠である。装置が提供された際はその方法についての説明をよく聞いておくのが得策である。
CPAPの利用者は、宿泊を伴う移動の際は必ずこの装置を携行しなければならない。そのため、CPAPは携行の便を考慮したリュックサックやショルダーバッグのようなケースに収めて提供される。特にビジネス目的の移動では、装置を携行しなかったために移動先での活動が不十分になってしまうようなリスクに留意する必要がある。重さはだいたい2~3キログラムである。どうしても携行しにくい場合は、精密機器扱いの宅配便で目的地に送っておくなどの工夫が望ましい。
[編集] スリープスプリント(マウスピース)療法
スリープスプリント(マウスピース)を用いて下顎を前進させた状態を固定し、気道の狭窄を防ぐ。
[編集] 外科的治療(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)
口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除し、気道を広げる。
[編集] 中枢型眠時無呼吸症候群
- 原因となる脳疾患などの治療
- 在宅酸素療法
[編集] 「腹臥位療法」 うつぶせ寝健康法
うつ伏せで眠る動物の中で、人類があお向けに眠るようになったため出現した腰痛、イビキ、睡眠時無呼吸症候群、酸素不足による脳卒中、不眠等が考えられる。
特に、あお向け寝は、舌が重力でノドにずり落ち(舌根沈下)、気道を塞ぎます。気道が狭くなると、呼吸が難しくなり、息が無理やり通過する時におきるのが「イビキ」です。 さらに舌で気道が完全に塞がれると呼吸が出来なくなります。これが「睡眠時無呼吸症候群」です。
体をうつぶせ寝にすると、舌が重力で歯の方にずり落ち、気道が確保され、息がラクになります。 しかし、腰痛の人が普通にうつぶせ寝をすると、腰椎が落ち込み痛みが生じます。
そこで、カラダが地面に着かない隙間の部分(頭・お腹・足)に、うつぶせ寝用枕(ピローオハラ)やクッション等で隙間を埋めることにより、腰椎の前湾曲(ぜんわんきょく)を防ぎ、腸腰筋(ちょうようきん)の緊張も緩和され、背骨や椎間板に腰の筋肉へのストレスを緩和します。
[編集] 合併症
肥満、高血圧、多血症、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病など。
[編集] 診療科
耳鼻咽喉科、呼吸器科などが適している。 軽度の場合は、医科からの紹介により歯科・口腔外科でスリープスプリント療法が行われることがある。