神はサイコロを振らない
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『神はサイコロを振らない』(かみはさいころをふらない)は、大石英司の2004年発表の小説である。略称は「神サイ」。2006年に放送されたテレビドラマについては神はサイコロを振らない_(テレビドラマ)を参照。
目次 |
[編集] あらすじ
1994年に行方不明になった宮崎発羽田行きの報知航空の旅客機が、10年後の2004年に羽田に着陸した。10年前と変わらぬ姿で現れた旅客機の乗員乗客と、失われた10年で大きな変化を体験した遺族が、3日という期限付きで再会する。
[編集] 登場人物
[編集] 報知航空402便乗客及び乗員
- 甲斐航星
- 402便帰還に関する論文をトンデモ扱いされ失職した加藤の研究室に所属する物理学者。彼の残した未発表の論文を柴崎が利用した。
- 興絽堅
- 父親の汚職事件に関わり自殺した後輩の親の仇討ち為に上京しようとして事故に遭う。彼の死を理由とした検察の捜査打ち切り後に、典型的な地方出身の政治屋から次期首相候補と呼ばれる様になった父親の変貌に驚く。
- 阿川沙耶
- そこそこ売れていたアイドル、所属事務所に言われるまま地域限定飲料水のCM撮影を名目に鹿児島に行き、地元の暴力団関係者の結婚式に出席し事故に遭遇、公安による軟禁から解放後に、ある目的で関係のあったテレビ局プロデューサーの自宅へと向かう。
- 祝迫守男
- 神降竜三・栄子
- 後藤留璃子
- チェリスト、甲斐航星の父親や阿川に阿川沙耶より芸能人らしいと言われる。死後母親の金儲けの道具にされる。
- 田中次郎
- 身元不明者、彼の存在が公安部出動の原因となる。
- 小里英俊
- 次の選挙に出馬する為の根回しで、鹿児島に向かい帰京時に事故にあった。米粒程も無い10年後の世界での生存を前提とした出馬工作に奔走。
[編集] 警視庁
- 佐竹徹
- 捜査1課特殊捜査班(SIT)の警部、『10年前に発生した強盗事件』の犯人が報知航空402便に乗っている可能性があると判断し、自己判断で捜査を再開する。
- 小林晋
- 捜査一課特殊捜査班の巡査部長、佐竹が『10年前に発生した強盗事件』の犯人が宮崎出身者であると断定して、宮崎の土地勘のある人物として特殊捜査班に引き込んだ。
- 寄近恵
- 上杉静夫
- 公安部付きの警部、田中次郎の確保を目的に佐竹より先に羽田空港に機動隊付きで現れ、乗客を足止めする。ある指示が原因で、興絽惣一郎に灰皿で頭部を強打された上、小笠原諸島を管轄とする警察署へ即時転勤する。
[編集] タイトル
タイトル「神はサイコロを振らない」はアルベルト・アインシュタインの言葉でもある。1926年12月、アインシュタインからマックス・ボルンに送られた手紙の中で、"Der Alte würfelt nicht." 日本語訳、「神は賽を投げない」と不確定性原理への反論に使っている。