禁書
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禁書(きんしょ)とは、時の権力を代表する政府、あるいは宗教的・イデオロギー的な権威によって出版や販売を禁止された書物である。
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[編集] 概要
禁書に指定される理由としては、その中に書かれた内容が宗教的なタブー(神や聖書の否定、支配的な宗派からの逸脱、異端)、あるいは文化的なタブー(食人、近親相姦など)に触れるものであったり、その国の体制を支えている政治システムやイデオロギーに対する批判となっていたり、性的な放埓(『O嬢の物語』、『ファニー・ヒル』など)や過激な残虐描写を描いていたり、否定的に評価される政治的指導者の著書(アドルフ・ヒトラーの『我が闘争』など)や政治犯の手記である、などといった理由が挙げられる。
その出版、販売に差しさわりのあるその国の制度は、国ごとに異なるため、ある国で禁書であっても、他の国では自由に読めるということは珍しくない。また選挙やクーデターなどで、国の体制が変われば、出版が許されるようになったり、これまでは許容されてきた分野の書物が禁書となるということも、ままあることである。レイ・ブラッドベリの小説「華氏451度」は、禁書が制度化された未来社会を描いて大きな波紋を投げかけた。
[編集] 宗教的禁書
中世においては異端審問によって異端とされた宗派の宗教書が禁書とされた。当時の教会では、信者に禁書とされた書物を読むことを禁じるために、そうした書目を集めた「禁書目録」が編まれている。
ニコラウス・コペルニクスの『天球回転論』などのように宇宙論を扱ったものも、科学的発見や仮説が教会の前提としている世界観に抵触する場合には、禁書に指定されただけでなく、著者を審問にかけ、投獄、あるいは教会から破門したり、本人が既に死去している場合には、墓から掘り出して遺体を火刑にといった場合もあった。またミシュレの『魔女』のように、かかる事態を怖れて、本人が死去する前には公表を禁じたというケースもある。
[編集] 歴史書の禁書
李氏朝鮮王朝はその成立において儒教とは相容れない問題があり、明で出版された「明紀輯略」等を禁書とし、国内への搬入を拒むほか明にその処分、訂正を外交的に要求していた。
[編集] 文献
- ニコラス・キャロライズ他『百禁書』