禁色
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禁色(きんじき)
- 服制によって一定身分以下は着用が制限されている色、また、転じて、服制によって着用を制限されている衣装全般も含む。以下、この項目で詳述。
- 三島由紀夫の小説。
[編集] 色彩の禁色
基本的に自分の位階より上の位の色は禁色となるが、典侍や六位の蔵人が青色を着ることを特に許されていたように慣例による例外もあった。
天皇の御袍にのみ用いられる黄櫨染(こうろぜん)は天皇以外誰も使用することが出来ないので例外として
青(青白橡)、赤(赤白橡)、黄丹、深紫・支子・深緋・深蘇芳の七色、及び文様を織り出した織物が特に「禁色」の対象である。
これらの色・模様は「禁色聴許の宣旨」を受けることによって着用できる。
青は天皇の御袍、黄丹は皇太子、赤は上皇、深紫は一位の公卿の袍の色として服制で定められており、支子は黄丹、深緋・深蘇芳は深紫に紛らわしいことからみだりに着用することを禁止された。
明治以降は規制が緩和され、天皇の黄櫨染と皇太子の黄丹の二色を誰も使用することが出来ない絶対禁色とし、ほかの色の規制は解かれた。
[編集] 織物の禁色
浮織物や「青の唐衣」「赤の唐衣」が有名。青・赤の唐衣は染色ではなく織色で微妙な色彩を表すもの。
[編集] 染色の禁色
「地摺りの裳」が最も有名。地摺りとはステンシルの要領で草木の汁などで模様を染め出したものだが、宮中では金泥・銀泥を用いた豪奢なものであったという。