種村有菜
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種村 有菜(たねむら ありな、1978年3月12日 - )は、日本の漫画家。本名も同名。愛知県一宮市出身。愛知県立一宮商業高等学校卒。血液型はA型。代表作に『神風怪盗ジャンヌ』『満月をさがして』など。りぼん誌上での愛称は『有菜っち』。姉・兄が居る。姉を「ゆきちゃん」、兄を「みっくん」と呼んでいる。
目次 |
[編集] 経歴
- 「りぼんオリジナル」(集英社)1996年6月号掲載の『2番目の恋のかたち』でデビュー。
- 「りぼんオリジナル」1996年10月号にて第2作『雨の午後はロマンスのヒロイン』を掲載。
- 「りぼん」1997年 2月号に3作目『かんしゃく玉のゆううつ』がりぼん本誌に初掲載される。
- 「りぼんびっくり大増刊号」1997年早春号に4作目『この恋はNONフィクション』が巻頭カラーで掲載される。
- 「りぼん」1997年6月号から初連載『イ・オ・ン』が開始される。
- 「りぼん」1998年2月号から『神風怪盗ジャンヌ』を連載。アニメ化。
- 「りぼん」2000年9月号から『時空異邦人KYOKO』を連載。
- 「りぼん」2002年1月号から『満月をさがして』を連載。再びアニメ化する。
- 現在は「りぼん」(集英社)にて『紳士同盟†』を連載中。この作品は、『神風怪盗ジャンヌ』『満月をさがして』の全30回を超え、種村有菜作品の中では一番の長編作品になる予定である。
[編集] 概要
小森まなみのラジオDJのファンとしても有名で、小森やmyco、桑島法子のラジオ番組に時々ゲストで出演することも。
りぼんっ子を自負する彼女は、初期(ジャンヌまで)の頃は少女ファン向けに夢を与える為に気負って可愛いキャラを作っており、かなり強気な(有名な『影響は受けない』発言もその時期、後にその発言については否定している)発言を行っていた。結果として読者の反感を買うなど様々な紆余曲折を経て、現在では読者の心を面白くする存在でありたいと語り、似顔絵も可愛い絵から『嫌な視線を放つ』物へ変わった。
独特の言動や、「りぼん」読者の年齢層にとっては難解ともされるテーマを扱う作風などを受け入れられず、批判する側に回る読者も少なくない。
『神風怪盗ジャンヌ』がアニメ化され、日下部まろん役の桑島法子とは同番組が縁でしばし交流もあった(今でも頻繁に電話を掛け合っている)。一方、『満月をさがして』の神山満月役のmyco・タクト役の斎藤恭央(現、桜塚やっくん)とは現在も交流があり、種村自身のブログにも度々登場する。
[編集] 作風
ここでは、作者の作品における作風の特徴について記述する。
- 描写能力もだが、多くのアシスタントを使っての、細かい背景、重厚かつ繊細なトーン貼りには定評がある(彼女が行うのは基本的には指定のみであるが、アシを手助けすることもある)。トーンの貼り方の几帳面さ(黒髪に設定されたキャラクターにも敢えて黒のトーンを貼る、など)は、彼女独自の厳しいアシスタント教育の賜物と思われる(りぼんは基本的には新人や投稿者をアシスタントとして使うことになっているが、りぼんでは恐らく彼女のみ、同人イベントで知り合った作家やそれを通じた紹介、誌面やブログによる募集により有能なアシスタントを厳選している)。
- しかし、ベタを殆ど使わないスクリーントーン重視の画風、基本的な画法を徹底的に追求した末に出来上がった線画のため、ゴテゴテし過ぎており見辛いという意見もある。また、頭身の違和感なども問題にあがるが、よく見ないとわからない程度には収められている。
- ストーリーの内容は、全体的にコメディ要素が多い。しかし主要キャラの死、信じていた者からの裏切り、両親の不在等のシリアスな要素を多用し、それらの困難を乗り越えてハッピーエンドで終わらせるという作風が連載では特に強く見られる。ギャグとシリアスの転換の仕方は上手いが、心理描写に関しては拙い面も見受けられる。
- 彼女の作品は、それまではファンタジー・現代ものなどジャンルは多かったが、基本的には柔らかいタッチ、背景描写など細かい部分に力を入れない画風、現代的でシンプルな細い主線を重視した作品が多かった当時の少女漫画に、太く濃い主線、派手なコマ割り、装飾過剰、スピードの速い展開など斬新な要素を付け加え、『神風怪盗ジャンヌ』以降の新人少女漫画家に、良い意味でも悪い意味でも大きな影響を与えた。
- 連載作品のタイトルは、主人公の名前が入っている、あるいは「××××(漢字)○○○○(非漢字)」(文字数は変動あり)という昔からアニメ作品に多く見られるパターンを踏襲しており、アニメ化への意識の強さがが伺える。
- 彼女の作品は、ファンタジー調コスチュームはもちろん、制服もリアリティより奇抜さが重視されており、コミケなどの同人イベントやコスプレイベントにキャラクターのコスプレをして参加するファンも少なくない。また、最近ではサイン会にコスプレで参加するファンも現れたようだ。(彼女自身もコスプレが好きなようで、まろんの制服のコスプレをしてサイン会を行ったこともある。また、あえてコスプレ映えするオタク受けする衣装を意図してデザインしている節もある)
- 上記に関連して、彼女の初のノンファンタジー連載である紳士同盟†ではノンファンタジー作品であるにも関わらずファンタジー調の扉絵が描かれることが度々あり、その際のファンタジー調コスチュームもコスプレされることがあるようである。
[編集] 同人活動について
ここでは作者の同人に関わる活動について記述する。
- アシスタント(聖☆アシスタンツ)のサークルの同人誌に原稿を提供している。これは「りぼん」の漫画家では珍しいことである。アシスタントとの関係は良好なようで、初期の活動では同人誌よりも封筒などのカットの参加が多かったらしい。その後多忙になったためか、96年頃から原稿執筆などの同人活動は休止していたようである(もっともサークルの応援などは行っていた様である)。
- その後2003年頃に再開し、その頃までは「えるせりあ」等の別名を用いてゲスト参加するのみだったが、2004年1月の実録本(アシスタント等との日常を、主にギャグ漫画として描いたもの)以降は「種村有菜」の名義で、ゲストのみではなく合同誌や個人誌も発行している。りぼんとの専属契約が切れたものと推察される(※公式発表ではない)。
- アシスタントの要望で非公式にBL同人誌原稿を執筆提供しているともいわれる(後述、ただ種村本人は連載作品やコメントなどからみてBLよりもGL好きの傾向の強さが窺える)。たまにアシスタントによって描かれた同人誌にも種村の様子を描いた『実録4コマ漫画』が掲載されている事がある。
[編集] 読者間の疑念
彼女の作品は何かと問題視されることが多い。以下にそのほんの一例を挙げるが、詳細に関しては下記のサイト(Dreamer's House)を参照の事。なお、ここに掲載されているものは信憑性はあるが、あくまでも問題視されているだけで、真偽は明確には不明だという事を、明記しておく。
通常の王道少女漫画に比べ、アニメディアなどのオタク向け雑誌のアンケートやネット上の投票などで彼女の作品を支持するファンは多い。その熱烈さゆえにファンを批判的な読者が指して信者と称されることも多い。反対に彼女を否定する読者も多く、そのような読者を一般にアンチと呼ぶ。
アンチになったきっかけは、通常は作品自体への嫌悪である場合が多い。作品の展開への不満(作品アンチ)や、主人公などの主要登場人物への不満(キャラアンチ)などが作者への不信感(作者アンチ)に転じるのが常だが、彼女の作品が批判される場合、殆どは作者と関連付けられて批判される。また、彼女独特のキャラクター構成を苦手とする読者も少なくはないが、あくまで苦手というレベルで、特定のキャラクターに対して、アンチになる程の嫌悪感を抱く読者はあまり見受けられない。
彼女の場合、作品自体への嫌悪感よりも、コミックスの柱(コメント部分)などの強気な発言による作者への反感が転じて作品も嫌いになったというケースの方が少なくないようである。彼女のアンチには彼女の元ファンや、ファンとアンチを両立しているものも少なくない。しかし中には、彼女のことをろくに知りもせずに、強気な発言や過去の発言との矛盾から受けるイメージから、憶測による批判をする者もいる。また、ネット事件に関する間違った知識やデマ(彼女が某匿名掲示板で暴言を吐いた、など)が広まっているので、注意が必要である。
なお、作品は好きだが作者のことは好きではない、という読者も少なくない。純粋に漫画を楽しみたいファンの中には、「イメージが崩れるのでコミックスの柱(コメント部分)は読まない」と宣言しつつ読んでいる者もいる。
[編集] 代表的な例(一部)
- 初期の頃に「影響はうけない」と強気にコメントした事により、逆に他作品の影響があるのではと疑われる一因になっている。
- 主に『神風怪盗ジャンヌ』『満月をさがして』『紳士同盟†』の3作品について、作中の不倫・自殺・性行為などの描写が、女子小学生を主な読者層とする「りぼん」に掲載するのにふさわしくないのでは、と言われている。しかし近年の少女漫画ではこれらの描写はあまり珍しくないものであり、これ自体を問題視する人は少ない。
- 『紳士同盟†』に同性愛者のキャラクターを出したことで、本人も腐女子(ボーイズラブが好き)なのではと疑問視する読者もいる。この疑惑はそれ以前の作品『時空異邦人KYOKO』などでも囁かれていたが、本人はコミック内のコメント欄で「友人に頼まれて書いたことはあるが、やおいにはまったく興味はない」と発言している。しかし、以前に『機動戦士ガンダムSEED』の18禁BL同人誌(「種村有菜の最初で最後のBL本」とされ、ファンの間ではプレミア物として高値で売買されている)を「ちろる」名義で出したことがある。
- 上に関連して、『紳士同盟†』の作中にて「ボーイズラブ」「腐女子」などの単語を出したことがあり、一部の読者から非難を受けた。
- 上に関連して、『紳士同盟†』コミックス内で潮と灰音の関係について、実体験したことでないと書けない事だと発言している。
- 元々本人が語るように同人活動に積極的であり、種村のアシスタントと共に「種村有菜オンリーイベント」を数回主催した。イベントでは実録本冊子や、種村のイラストを入れたミニタオルを販売していた。
- 同人活動の内容はパロディが多く、『新世紀エヴァンゲリオン』『FF6』などの便箋、『美少女戦士セーラームーン』の合同誌、『ガンダムSEED』のやおい18禁本、『名探偵コナン』の同人誌などが確認されている。そうした活動故かジャンヌ時代に『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の同人誌を作ったという噂が流れた為、アシスタントからそれを聞いた(同人誌の実録4コマより)後に、ジャンヌ2巻でかなり曖昧な表現でそれを否定(商業誌という性質上それは仕方ないのだが)した為、かなり長い事「同人誌活動の過去を否定した」と思われていた。ただ、インターネットでの発言において「同人活動はしたことがない、するなら「イ・オ・ン」か「ジャンヌ」をやりたい」などとも言っていること、発言の時期がアニメの開始時期であったことから、似ていると言われる『美少女戦士セーラームーン』の同人活動の発覚を恐れ、意図的に紛らわしい発言をしたのではないかとも噂されている。
- 上の『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』同人否定発言と同時期、「『神風怪盗ジャンヌ』が似ている、影響を受けていると言われた2作品は連載開始後に読んだので影響されたわけではない」という旨の発言をしているが、該当すると思われる作品である『美少女戦士セーラームーン』、『怪盗セイント・テール』のうち、『美少女戦士セーラームーン』についてはジャンヌ連載以前に同人仲間と同人誌を発行しており、その中のコメントで「セーラーVなども読んでいる」「画集も集めている」などと発言しており、発言の矛盾が問題となった。
[編集] 作品リスト
- 紳士同盟†(りぼん2004年9月号より連載中)
- 満月をさがして
- 吟遊名華
- 時空異邦人KYOKO
- 神風怪盗ジャンヌ
- イ・オ・ン(種村有菜初の単行本)
- この恋はNONフィクション
- かんしゃく玉のゆううつ(同名の短編集は、種村有菜の第二のコミックスで、デビュー作品などを収録している)
- 雨の午後はロマンスのヒロイン
- 2番目の恋のかたち(デビュー作)
[編集] イラスト集
- 満月をさがしてイラスト集 種村有菜COLLECTION
- 神風怪盗ジャンヌ―種村有菜イラスト集
[編集] アシスタント
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 有菜日記 作者本人によるブログ。
- りぼんわくわくステーション
- Dreamer's House 種村有菜関連の批評サイト。