等価原理
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等価原理(とうかげんり、Equivalence principle)は、物理学における概念の1つで、慣性質量と重力質量が同一である、という原理。アルベルト・アインシュタインが一般相対性理論の構築するときに用いられたほか、異なる座標系での物理量測定の一致性についての議論でも登場する。歴史的には、コペルニクスによる「物理法則は宇宙のどこでも同じでなければならない」という考えにまで遡ることができる。現在では、次の3種類に大別されている。
- 弱い等価原理:自由落下する物体の加速度は、物体の種類によらず一定である。
- アインシュタインの等価原理:無限小の領域では、運動の加速度と重力加速度は区別できない。
- 強い等価原理:小物体の重力的運動は、初期位置と初速度にのみ依存する。
等価原理は、実験・理論とも現在も研究が続けられており、いまだ未解決のテーマであるといえる。
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[編集] 弱い等価原理 (The weak equivalence principle)
弱い等価原理は、自由落下の一般性 (the universality of free fall) としても知られている。
自由落下する物体の軌道は、初期の位置と速度にのみ依存し、物体の種類によらない。
または、
与えられた重力場において、 時空のある一点で発生する加速度は、物体の種類によらず一定である。
ここでの物体は、それ自身が潮汐力を受けない程度に小さなものであることを仮定している。潮汐力が作用すると重力場自身の作用が変わるからである。アインシュタインの等価原理は、この弱い等価原理を結果として示唆するものである。
[編集] 弱い等価原理の検証実験
エトヴァス (Loránd Eötvös) による1908年の実験が有名である。同じ質量の2つのおもりを天秤にかけ、重力加速度と地球の回転による加速度の違いで生じる天秤のねじれを利用して等価原理を検証しようというもので、その結果は、1/1,000,000,000 の精度であった。
現在でも米国ワシントン大学(ワシントン州)を中心として、1987年からEöt-Wash実験が続けられている。 およそ、1/1,000,000,000,000 の精度で等価原理が確かめられている。
[編集] アインシュタインの等価原理 (The Einstein equivalence principle)
アインシュタインは、弱い等価原理を仮定した上で、さらに、
慣性系にある実験室での、重力に起因しない実験結果は、実験室の速度や位置に依存しない。
という原理をおいた。ここでの実験室のサイズも、また実験結果も、潮汐力を受けない程度に小さいことが必要である。
[編集] アインシュタインの等価原理の検証
検証の手段としては、次元をもたない物理定数の定数性の確認がある。Oklo における構造微細係数の定数性の確認(1976-) では、10 − 7 の精度、クェーサーによる電子・陽電子質量比の測定 (2002-) では、10 − 1 の精度で、定数性が確認されている。
[編集] 強い等価原理 (The strong equivalence principle)
小さな物体の重力場中で運動は、初期位置と初速度にのみ依存し、物体の種類によらない。
または、
慣性系にある実験室での実験結果は、重力に起因するものであっても起因しないものであっても、 実験室の速度や位置に依存しない。
[編集] 強い等価原理の検証実験
検証の手段としては、重力定数 の宇宙全体における一定性、または基本粒子の質量の等価性がある。太陽系内での観測や宇宙初期の元素合成の研究では、重力定数の変化は現在値よりも10%以内であることが確かめられている。
[編集] 重力質量と慣性質量
において現れる質量のm1 やm2 である。G は万有引力定数。 r は質点間の距離。
慣性質量 mi はニュートンの運動方程式
で物体に働く力 F と加速度 a の比として定義される量である。
※参考1:重力質量と慣性質量の間の比例係数が1となるように万有引力定数の値が与えられます。
※参考2:ケプラーの法則を、運動方程式と万有引力の法則の組み合わせとして 定式化する過程で「弱い等価原理」が必要となります。 ニュートンの研究において、弱い等価原理が成り立つことは、 振り子を振らせたときの周期の測定と、天体の運行の観測データが根拠となっています。
[編集] 参考文献
Test of the Foundations of Gravitational Theory (Clifford M. Will 氏の文献紹介/日本語) http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/obscosm/resume/Rinkou2005/shirata_gravity.pdf
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