簡易水洗式便所
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簡易水洗式便所(かんいすいせんしきべんじょ)は便所の形態の一つ。下水道の整備が十分でない地域に於いて、汲み取り式便所よりも衛生的であり、より水洗式便所に近い形であるため設置される便所である。
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[編集] 構造
- 排泄物を自由落下、残存物は少量の洗浄水にて洗い流し、便槽に貯留する構造となっている。便槽は浄化槽や下水道に連結せず、バキュームカーによる汲み出しを必要とすることから、広義の意味では汲み取り式ともいえる。
- 便器と便槽の間に弁を設けお釣りや臭気の逆流を防止する構造や、水鉄砲ににた洗浄ホースを付加し洗浄力を強化させるものなど、販売会社がそれぞれの製品で工夫を講じており、水洗便所に匹敵する機能を得ている。
- 一般には汲み取り式便所を改造して設置されることが多く、便槽は既設の便槽をそのまま残すか、簡易水洗式専用の便槽に改造して、簡易水洗式専用の便器に洗浄用の水道管を接続する。
- 下水道や浄化槽が設置できない場所では、新築物件でも採用されることがある。
- 仮設の便所として工事現場やイベント時に設置されることも多く、その場合、購入せずに土木工事用具をリースする会社から借りる場合が大半である。
[編集] 長所
- 水洗式のように便器が洗浄できるため汲み取り式よりも衛生面で優れており、加えて専用便器の仕組みにより便槽を密閉できるのでハエなどの病害虫の侵入を防ぐ効果がある。
- このような利点から公共下水道の整備が遅れている地域では汲み取り式から簡易水洗式に移行している自治体が少なくない。
- しかし、簡易水洗式の普及初期においては、既設の便槽に元来無かった洗浄水が溜まるため、容量オーバーによるトラブルが発生し、簡易水洗式を利用しないように勧告する地域もあった。
- 正しく操作し、必要最小限の水で洗浄した場合、既設の便槽でも十分に収容できるとして設計されていたが、利用者の不慣れな操作で過剰に洗浄水を使ったことも容量オーバーの原因として考えられる。
- 各メーカーとも温水洗浄便座を装備した機種を発売しており、いっそう水洗式に近い使用感が得られるようになった。
[編集] 短所
- 完全な水洗式ではないためバキュームカーによる定期的な汲み取りが必要となることに加えて屎尿の洗浄に水道水を用いる分、通常の汲み取り式よりも頻度が多くなる(水道水を使わず泡だった粘性のある薬液を用いて便器を洗浄する場合は、汲み取りの回数は変わらず、衛生面が向上する)。
- また、下記に紹介されている各種の洗浄方式により操作法が異なり、正しく行えなかった場合は汚物が残ったり、飛散することにつながりかねない。特に、水洗式便所しか経験したことのない人が簡易水洗式便所を利用する際、戸惑うことがしばしばある。
[編集] 洗浄方式
- ペダル式 : 簡易水洗式では多く使用されている。足元のペダルを踏み、便器を洗浄する洗浄方式。ペダルを踏むと同時に便器内のフラップ弁が開き、汚物を洗い落とす。
- レバー式 : 水洗式と同様にタンクのレバーを回して、便器を洗浄する洗浄方式。レバーを回すと水が便器を放射状に流れていき、底面のフラップ弁が開き、汚物を洗い流す。
- ピストル式 : 銃(水鉄砲)のような装置で便器を洗浄して、汚物を流す。水勢は厚い雑誌や新聞紙10枚を重ねても穴が開くほどの威力がある。(アサヒ衛陶などで多く見られる。)また、上記2方式と併用して流しきれなかった汚物を洗い流す目的にも使用される。
[編集] 使用時と清掃時の豆知識
- 大便を排泄する前にフラップの上にあらかじめ少量の水を流しておくかトイレットペーパーを敷いておくとフラップへの便付着を防止することができる。
- 便器に付着した便を除去する際に水鉄砲を使う際はトリガーを強く引かないようにする。そうすることで便器からの跳ね返りを防止することができる。
- 水鉄砲からの放水を便に直撃させてはならない。便より上のところに放水を当て、そこからたれ落ちる水の流れを利用することで便の飛散を防止することができる。
[編集] 製造メーカー
水洗式では6割以上のシェアを誇る東陶機器(TOTO)が参入していない代わりに、多くのメーカーが存在する。
- アサヒ衛陶
- 「サンクリーン」「ニューレット」の商品名で発売。簡易水洗式では生産量のトップメーカーであり、洗浄方式はピストル式が多い。
- INAX
- 「トイレーナ」の商品名で発売(現行機種は「ニュートイレーナR」)。レバー式
- ジャニス工業
- 「ジャレット」の名称で発売。
- 積水アクアシステム
- 「リブレット」の名称で発売。
- ダイワ化成
- 「ソフィアシリーズ」の名称で発売。業界初の幼児用簡易水洗便器も発売している。
- ネポン
- 「プリティーナ」(水洗式)、「パールトイレ」(泡洗式)の商品名で発売。パールトイレの泡は「ネポノール」の商品名がある専用の洗浄液を使用する。パブリック用にも途を開いた。
- 松下電工
- 「クリーンスイセン」の名称で発売。洗浄方式はペダル式とレバー式の2種類がある。
- ロンシール機器
- 「ロンクリーン」の名称で発売。将来水洗化された場合には、専用部品で水洗便器への変更も可能となっている。レバー式、電磁弁式、エアーフラッシュ式がある。