羅生門 (小説)
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『羅生門』(らしょうもん)は芥川龍之介による初期の短編小説。また、物語の舞台となる門。高校の教科書などにもとりあげられている。
『今昔物語集』の「羅城門登上層見死人盗人語第十八」を題材にしており、1915年(大正4年)に雑誌「帝国文学」に発表された。生きるための悪という人間のエゴイズムを克明に描き出し、又、作者の解釈を加えた作品として著名である。
現在、物語は「下人の行方は、誰も知らない。」で終わっている。しかし、非常に表現に気を遣った芥川は、この部分を何度か変更している。
なお、黒澤明により映画化もなされた映画『羅生門』の原作は、同じ芥川の短編小説『藪の中』である。映画は本作品から舞台背景、着物をはぎ取るエピソード、(映画では赤ん坊から)を借りている。テーマ的には芥川の『羅生門』へのアンサーソングともなっている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
主人に暇を出されたある下人が、羅生門の下で途方にくれていた。いっそこのまま盗賊になろうかと思いつつも踏み切れない。羅生門の中へ入ると、人の気配がする。それは悪事であると認識してはいるが、生活の糧を得るために死人の髪を抜く老婆であった。彼女はそれを、自分が生きるためであり、この死人も生前生きるための悪を働いたから、髪を抜くことは許されるであろうと言う。老婆の行為に対し正義の炎を燃やしていた下人だったが、その言葉に決心し、老婆の着物をはぎ取る。そして「己(おれ)もそうしなければ、飢死をする体なのだ。」と言い残し、漆黒の闇の中へ消えていった。