背泳ぎ
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背泳ぎ(または背泳・バックストローク)は、水泳で、仰向けの姿勢で泳ぐ泳ぎ方である。競泳では、スタート時とターン時の15メートル以外は潜ってはいけない。
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[編集] 歴史
1988年のソウルオリンピックで、鈴木大地が背泳ぎで日本初の金メダル獲得。これは、従来25m前後が主流だった※1バサロ泳法を、鈴木大地が決勝で30mに伸ばすという冒険に出た結果である。しかし、この直後のルール改正でバサロ泳法の距離は10mに制限された。1991年、この制限は15mに緩和され、現在に至る。
TVなどで背泳ぎでバタフライ・クロールなどをこなす選手が現われた。極めて奥深いものと思われる。
近年は、背泳ぎが本職の選手で、バタフライ・クロールなどを高いレベルでこなす選手が現われている。 ※バサロ泳法の語源はバサロ選手が最初に始めたのが語源と言われている
[編集] ルール
審判長の笛の合図の後、各コースに入水。専用のグリップに手をかけ、プールの壁に足をかける。この際、指先が水面から出ないようにしなければならなかったが、2006年の改正で「壁や溝等に足の指をかけないこと」となり、指先が水面から出ても良いことになった。国内ルールでは「つま先を含む足の位置は、水面の上下いずれに位置しても良いが、プールのへり、タッチ板の上端、排水溝より上に足の指が出てはならない。」と表現されている。 出発合図員の「Take your marks...(日本では、「よーい」)」で、体を壁にひきつけ構えた後は、号砲まで静止しなければならない。号砲後着水した後、15m以内に頭が水面上に出なければならない。超えると、失格。競技中はターン時を除いて常に仰向けの状態で泳ぐ。
なお、ターン時については 「折返しを行っている間に、泳者の身体の一部が壁に触れなければならない。」 「折返しの動作中は、肩が胸の位置に対して垂直に倒れ、その後は連続した一本の腕のかき、あるいは連続した同時の両腕のかきを、折返しの初期の動作に使用できる。一度でも身体が仰向けの状態でなくなったら、いかなる足のけりや腕のかきについても連続した折返し動作の一部でなければならない。足が壁から離れれば、仰向けの姿勢に戻らなければならない。」とされている。
なお、背泳ぎを含む種目(個人メドレーなど)では、両壁から5メートル地点に、フラッグがかかっている。
[編集] サバイバル術としての背泳ぎ
背泳ぎは速力が遅く、進行方向の確認ができない欠点がある。しかし、本来の背泳ぎは、水中に顔を入れることなく泳ぎ続けられる長所をもっている。このため、呼吸法を習得してない初心者にも受け入れられやすい。また、遭難者救助の場合は、遭難者の状況を見つつ、自らの呼吸も常に確保できる泳法である。救命胴衣を着用している場合は、うつぶせの泳ぎ方ができないため、必然的に背泳ぎとなる。また、船舶が沈没した際、重油まみれの海面を泳ぐ際も、顔を水に漬けない背泳ぎは有効である。競泳での背泳ぎはスピード向上の研究が図られているが、本来のサバイバル泳法としての意義も近年見直されている。
[編集] 記録
[編集] 50m背泳ぎ(長水路)
- 男子世界記録: 24秒80 トーマス・ルプラト(ドイツ) 2003年7月27日
- 男子日本記録: 25秒39 森田智己 2006年4月22日、古賀淳也 2006年6月20日
- 女子世界記録: 28秒16 レイラ・バジリ(アメリカ) 2007年3月28日 世界水泳メルボルン大会
- 女子日本記録: 28秒36 中村礼子 2007年4月7日 第83回競泳日本選手権
[編集] 100m背泳ぎ(長水路)
- 男子世界記録: 52秒98 アーロン・ピアソル(アメリカ合衆国) 2007年3月27日 世界水泳メルボルン大会
- 男子日本記録: 53秒85 森田智己 2006年4月21日
- 女子世界記録: 59秒44 ナタリー・コグリン(アメリカ合衆国) 2007年3月27日 世界水泳メルボルン大会
- 女子日本記録: 1分00秒29 中村礼子 2007年4月6日 第83回競泳日本選手権
[編集] 200m背泳ぎ(長水路)
- 男子世界記録: 1分54秒32 ライアン・ロクテ(アメリカ合衆国) 2007年3月30日 世界水泳メルボルン大会
- 男子日本記録: 1分57秒17 中野高 2006年9月1日
- 女子世界記録: 2分06秒62 クリスティーナ・エゲルセキ(ハンガリー) 1991年8月25日
- 女子日本記録: 2分08秒54 中村礼子 2007年3月31日 世界水泳メルボルン大会