自治寮
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自治寮（じちりょう）は、大学の学生寮の中で寮生が自ら管理・運営している寮のことで、自治寮には必ず学生自治組織が存在する。大学が寮運営を全面的に管理している寮を管理寮（かんりりょう）と言う。以下において学生自治組織を寮自治会とする。
目次 |
[編集] 自治寮の意義
大学が設置した学生寮の運営をなぜ学生が自治するのか。これは設置した大学が学生寮を単なる経済的に苦しい学生のための施設としてだけでなく、集団生活を通しての協調性や人間性の育成に寄与する一種の教育の場として考えているからである。また大学側の事情として、大学が寮内の詳細について把握することが出来ず、詳細を良く知る寮生に管理を委託しているという側面もある。自治寮だからといって全ての寮内業務を学生が行っているわけではない。現実に大学の専門職員や寮父・寮母が寮に常駐していることは普通であるし、自治寮といえども大学の管理下にあることは間違いない。寮自治会はそのような人の指導鞭撻を受けながら寮運営を行っている。
[編集] 自治寮の過去と現在
寮によっては過去において学生運動の拠点として使用された事も有り、現在もなお影響の残る寮も存在する（学生自治会、全日本学生自治会総連合等を参照。東北大学有朋寮(2006年に廃寮)が最近の良い例）。 ただし現在では学生運動の反省から基本的には自治寮では政治・宗教・人種に関することはタブーとされていることが多い。その場合、寮は個人の信条に立ち入ることはないが、他人にそれを勧誘したり押し付けることは固く禁じられている。
[編集] 寮自治会
自治寮には必ず寮自治会が存在する。 寮生は入寮と同時に寮自治会に自動的に加入する。 寮自治会は基本的に直接民主制をとっている。 また自治寮には寮自治会運営のための規約が存在している。 これは寮によって内容は異なるが、寮役員や選挙規定などが明記されてある。 寮生は自治会規約を遵守せねばならない。 寮自治会では以下のような組織構成がなされているのが一般的である。
[編集] 寮自治会の最高議決機関
寮自治会における最高議決機関が寮生大会(寮によっては寮生総会などとも称される)である。国政における国会がこれにあたる。 これには全寮生の出席が義務づけられており、寮生は寮生大会で決まったことは遵守せねばならない。
[編集] 寮役員
自治寮には寮生によって互選された寮役員が存在する。 寮役員は寮生の信任と委託によって寮自治の運営を行う。 寮役員はその役職に値する手当金を寮の財政から受け取っていることが多い。 国政に例えれば、寮役員会は内閣、寮長が総理大臣、副寮長が官房長官、専門役員が大臣に相当する。
[編集] 寮自治会役員
[編集] 寮長
寮自治会の長。寮自治運営の責任者である。寮生活における説教役である。
[編集] 副寮長
寮長を補佐することで寮運営に寄与する。対外的な交渉は副寮長が行うことが多い。
[編集] 書記
寮生大会や寮自治会役員の会議の記録を取り、また管理する。寮長、副寮長、書記を三役と呼ぶ。
[編集] 専門役員
三役とは異なり、寮における専門的かつ具体的な役務を担当する。 各寮で異なるが、一般的には
- 会計
- 厚生
- 文化体育
- 広報
- 寮内LAN運用
が主な役職である。 しばしばこの役職は「会計局」「厚生局」といったように「局」という形で存在している。
[編集] 寮自治会役員以外の役員
その他寮自治会役員以外の役員として、議長(団)、選挙管理委員会、会計監査委員会がおかれている。国政における同名の機関にそれがあたる。 また寮によっては国政の司法にあたる懲罰委員会が存在することもある。懲罰委員会が存在しない寮は、寮役員会や寮生大会が司法機関にあたる。
[編集] 生活単位による組織
寮によっては寮生大会の下位機関として寮内の生活単位(階や棟などで分かれている単位)で区分された組織がある場合がある。 国政に例えれば地方自治体にあたる。 その場合、生活単位にはそれを代表する代議員がおり、代議員の総会である代議員会が存在する。 またその生活単位内の問題はその構成員による会議で決定される。 代議員会が存在する場合、代議員会は各生活単位の問題を寮役員に伝え、また寮役員を監視する。 寮生大会で扱うまでもないような議題に関しては代議員会で審議し、可決すれば施行することの出来る制度の寮もある。
[編集] 寮の行事
さまざまな行事が行われるのが自治寮の大きな特色のひとつである。
- 新入寮生歓迎行事 (新歓)
- 寮祭
- 追い出しコンパ (追いコン)
はどの寮でも行われている一般的な行事である。その形態は寮によって様々であり、その寮の性格をよく表すものとなっている。 基本的に寮生は寮内は世間とは隔離されていると考える者が多く、寮の外部でやるとひんしゅくを買うようなことが堂々と行われているのが常である。 特に新入寮生歓迎行事は、新入寮生の寮自治体制への理解を深め、新入寮生同士及び先輩寮生(寮によっては寮OBOG)との交流を深めるという意味で重要視されており、 その目的の達成のために練られた寮独特の行事が行われている。以上の理由から基本的に新入寮生は新入寮生歓迎行事に参加することを入寮時に義務づけられていることが多い。
[編集] 主な自治寮
[編集] 国立大学・独立行政法人
- 北海道大学恵迪寮
- 北海道教育大学紫藻寮
- 室蘭工業大学明徳寮
- 北見工業大学北苑寮
- 東北大学に存在する（した）全ての学生寮
- 弘前大学北溟寮
- 弘前大学北鷹寮
- 弘前大学朋寮
- 富山大学新樹寮
- 山梨大学芙蓉寮
- 信州大学こまくさ寮
- 信州大学思誠寮
- 東京大学駒場寮 (現在は廃寮)
- 京都大学吉田寮
- 京都大学熊野寮
- 九州大学田島寮
- 九州大学六本松地区近くにある。学部1.2年生及び六本松地区に大学院がある大学院生が中心である男子寮であるが、最近は全学的に解放された。伊都地区への移転で間もなく廃寮の予定。
- 九州大学箱崎地区近くにある。箱崎地区に学籍がある男子学部生・院生が中心。ただし医学部・歯学部・薬学部の学生も住むことが出来る。ほとんどが田島寮出身者である。
- 九州大学箱崎地区近くにある。全学を対象とした九州大学唯一の女子寮である。
- 九州大学大橋地区近くにある。九州芸術工科大学の井尻寮を前身としている。大橋地区及び筑紫地区に学籍がある学部生・大学院生の寮。九州大学の寮で唯一入寮に学籍制限がある。
[編集] 私立大学
[編集] 日本四大自治寮
一般的に
を日本四大自治寮と称している。
