藪 (蕎麦屋)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
藪(やぶ)は、蕎麦屋の老舗のひとつ。藪蕎麦とも。蕎麦屋の老舗としては、砂場・更科とあわせて3系列が並べられることが多い。
[編集] 歴史
創業時期は不明だが、遅くとも1750年頃には「すでに長らく営業していた蕎麦屋」として「藪蕎麦」と呼ばれる店が存在していたらしい。また、1735年にはすでに営業していたとする文献もあるとされる(『拾遺続江戸砂子』)。ただし、この店は現代まで続く藪蕎麦の直系ではない模様。
1800年頃には、蕎麦屋の屋号として「藪」がポピュラーになり、各地に同名・類似名の店が登場していたとされる。
[編集] 現在の藪蕎麦
現在(2006年時点)では、「かんだやぶそば」「並木藪蕎麦」「池之端藪蕎麦」が「藪蕎麦御三家」とされている。
- 「かんだやぶそば」は、神田須田町にあり、1880年に創業。
- 「並木藪蕎麦」は、かんだやぶそばの主人堀田七兵衛の三男である堀田勝三(1887年(明治20年)-1956年(昭和31年)3月18日)が、1913年(大正2年)に浅草雷門前に創業。その後を、長男の堀田平七郎(1917年(大正6年)-(平成4年)12月13日)が継ぐ。
- 「池之端藪蕎麦」は、1954年(昭和29年)6月に並木藪蕎麦の主人堀田勝三の次男である堀田鶴雄がのれんわけで創業。上野池之端。
藪蕎麦系列の特徴は、江戸の風情を強く残す、からいそばつゆである。江戸っ子の蕎麦の食べ方は「つゆをちょっとだけつけて食べる」とされているが、そういった食べ方に適している。特に並木藪蕎麦のそばつゆはこの特徴が顕著である。
[編集] 参考文献
- 堀田平七郎『江戸そば一筋』(柴田書店、1995年)
- 岩崎信也『蕎麦屋の系図』(光文社新書) :ISBN 4-334-03211-7
- 藤村和夫『蕎麦屋のしきたり』(日本放送出版協会、生活人新書) :ISBN 4-14-088001-5