観光協会
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観光協会(かんこうきょうかい)とは観光地と呼ばれる地域内の観光産業の振興を目的とした任意団体である。都道府県単位の協会および市町村で構成される協会がある。都道府県団体の上部組織として、社団法人日本観光協会がある。都道府県名を冠した観光協会は大抵の場合、市町村が設置する観光協会の上部組織と思われがちだが実際には個々に独立した組織である。
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[編集] 事業
事業の大半は、都道府県や市町村などの当該地方自治体、その他公共団体からの事業の請負(運営委託金)であり、その他会費収入等がある。 主な活動として、地域内の清掃活動、公衆トイレの運用、観光イベントの開催及び共催、他団体からの依頼による観光誘致活動、自主的な観光客の誘致活動、マスメディアへのプレゼンテーション、各種メディア・旅行業者への情報提供、宿泊施設の案内、観光名所の案内、交通機関の案内など観光を目的とする旅行者の利便を図ると共に、観光地の整備事業を行っている。
[編集] 財源
主な財源は国及び地方自治体からの補助金、会員からの会費、観光イベントなどに於ける収入、各種団体からの観光を目的とした事業の委託等により賄われている。
実際に観光施設や駐車場などの運営事業を持っている場合は、当該事業から黒字が出ている限り、観光協会の自主財源ができるため、組織運営は安定する。しかし、赤字に陥った場合、会社組織に比べて意思決定機構が複雑で、極端な場合、当該組織では意思決定できず、管掌する行政の指導・助言を仰いだりする場合もある。この場合、行政と観光協会とで責任の擦り付け合いになり、組織としての意思決定が遅れ、結果として思い切った構造改革ができず、赤字累積となる危険性もはらんでいる。
[編集] 名称
都道府県単位のものについては、「○○県観光協会」のほか、「観光連盟」「観光コンベンション協会」「観光コンベンションビューロー」などとなっているものもある。 従来は圧倒的に「観光協会」という名称であったが、「観光」に換えて「ツーリズム」を用いる例も増えてきた。この事情については「観光」の項参照。
[編集] 組織形態
公益的な団体であるので、社団法人又は財団法人という法人形態にしている所が多い。
独自の例では、南信州地域では、「株式会社南信州観光公社」と、飯田市や下伊那地域の町村と地元民間企業が出資した株式会社組織としている。また、千葉県印旛郡栄町の栄町観光協会はNPO法人の形態をとっている。
[編集] 情報の有用性
情報提供事業は観光協会の重要な事業の一つであるが、以下の問題も指摘される。
- 公益性から生じる限界
- 公益的団体であるため、原則として特定の宿泊施設・観光施設・飲食施設を取り立てて推奨することはしない。ただし案内を行う施設、宿泊施設は観光協会の会員に限られ、会員となっていない施設は案内することはない。この為、会員以外の施設には案内を行うことは希である。しかし、零細で有ってもパンフレットなどに施設名が記されるため、殆ど観光関係の店舗、宿泊、娯楽施設は会員となっていることが多い。
- 情報の陳腐化
- パンフレット等は年度毎又は在庫がなくなった際に更新を行うことが多く、情報が陳腐化することが多い。このため、制作時期はに留意する必要がある。
- 反面、インターネットによる情報発信はリアルタイムな更新が行えるため、更新の頻度によっては最新のものを手に入れることもできる。また、観光協会が発送する物の中にはイベント主催者が発行する物があり、これらの多くは情報に期限が付くため、陳腐化することは少ない。