調和の霊感
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
『調和の霊感』(ちょうわのれいかん, L'estro Armonico)作品3は、アントニオ・ヴィヴァルディが1711年にアムステルダムで出版した、全12曲からなる協奏曲集。
目次 |
[編集] 各曲について
[編集] 第1番 op3-1 ニ長調 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲
-
- 3楽章形式の協奏曲。この作品は『調和の霊感』の中でも比較的初期に作られたものである。四台の独奏ヴァイオリンの使用がそれを裏付けている。
楽章ごとの解説
一楽章 導入部の終わりの部分でチェロのソロが加わる。solo-tuttiが頻繁に繰り返される楽章である。
二楽章 平行調であるロ短調に転調する。スピッカート用法を用いる。
三楽章 ヴァイオリンパートは9/8拍子、伴奏パートは3/4拍子という奇妙な曲。楽章のほとんどが八分音符で形成されている。中間60小節-63小節間に小規模な転調があり、最終部90小節-98小節にかけても転調がある。(どちらも短調への転調)最後はユニゾンで華やかに終わる。
[編集] *第2番 op3-2
ト短調 2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲
-
- 緩・急・緩・急の形をとっている4楽章形式の協奏曲(コンチェルト・ダ・キエーザ)。この作品と第11番の2曲は、17世紀末に現れた2本のヴァイオリンとチェロのための協奏曲である。
[編集] *第3番 op3-3
ト長調 ヴァイオリン協奏曲
[編集] *第4番 op3-4
ホ短調 4つのヴァイオリンのための協奏曲
-
- これも第2番と同じ緩・急・緩・急の形をとっている4楽章形式の協奏曲である。この協奏曲はコンチェルト・グロッソからソロ・コンチェルトへの移り変わりを顕著に示している協奏曲の1つである。四楽章と解した場合の第3楽章のアダージョはきわめて短く、前後の早い楽章をつなぐ意味しかないものと思われる。このようなものはコレッリの協奏曲などによく見られるものである。
[編集] *第5番 op3-5
イ長調 2つのヴァイオリンのための協奏曲
-
- 3楽章形式の協奏曲。第1楽章冒頭の主題はその後幾度か使用される。第3楽章はトゥッティ主題とソロ部が交代を繰り返して、華やかに終わる。
[編集] *第6番 op3-6
イ短調 ヴァイオリン協奏曲
-
- 3楽章形式の協奏曲。この曲はコンチェルト・グロッソへと発展した古典的な独奏楽器と合奏のための協奏曲の中で最も古い。この曲は少し難しく編曲されてされて、学習教本に載っており、ヴァイオリンを学習する上で重要な曲目となっている。
[編集] *第7番 op3-7
へ長調 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲
-
- 5楽章形式とも解される協奏曲。コレッリのコンチェルト・グロッソに似ている点から、この作品はかなり早く作曲されたものだろう。少なくとも、この『調和の霊感』の中で最も古い作品であることは間違いない。
[編集] *第8番 op3-8
イ短調 2つのヴァイオリンのための協奏曲
[編集] *第9番 op3-9
ニ長調 ヴァイオリン協奏曲
-
- 3楽章形式の協奏曲。第1楽章は美しい旋律を歌うアレグロである。
[編集] *第10番 op3-10
ロ短調 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲
[編集] 第11番 op3-11 2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ニ短調
3楽章形式、または5楽章形式と解される合奏協奏曲。J.S.バッハはこれを「オルガン協奏曲 ニ短調 BWV596」に編曲した。第4楽章はとても美しいシチリアーナ。J.S.バッハもこれにはほとんど手を加えていない。三楽章のフーガ(フガート)は、バッハに似た雰囲気を持つ。
楽章ごとの解説(五楽章と解して)
第一楽章 Allegro、2台のヴァイオリン[[]]によるソロが続いた後、チェロのソロが始まる。
第二楽章 Adagio Spiccato(e tutti)、わずか三小節の楽章であり、全員が同じリズムで演奏する。
第三楽章 Allegro、最初にチェロがフーガ(フガート)の主部を演奏し、次にヴィオラが、ヴァイオリンⅡ、ヴァイオリンⅠというように入っていく。最後の部分ではヴィオラが大活躍する。
第四楽章 Largo e Spiccato、見てのとおりスピッカート奏法で演奏するシチリアーナ。ソロの部分は第一ヴァイオリンだけが担当し、ほかは八分音符で刻むのみである。トゥッティは伴奏に多少の変化が現れる。
第五楽章 Allegro、これも一楽章と同じく、2台のヴァイオリンによるソロが続いた後、チェロのソロが始まる。十六分音符が多い活発な曲で、華やかに終わる。
[編集] *第12番 op3-12
ホ長調 ヴァイオリン協奏曲
-
- 第3楽章形式の協奏曲。J.S.バッハはこの作品をチェンバロ用とオルガン用に編曲した。
[編集] 特徴
この協奏曲集はヴィヴァルディの様々な意図がある。例えば、曲の配列においても、長調→短調→長調……となるような工夫がなされている。但し、長調でこの曲集を完結させるという意図があり、第10・11・12番は短調→短調→長調となっている。
[編集] コレッリの影響
ヴィヴァルディは、この協奏曲集において、コレッリのコンチェルト・グロッソに似た作品を残している。それが第一番、第二番、第四番、第七番、第十番、第十一番である。この作品3以外でもヴィヴァルディはコレッリの作った曲に似た作品を残している。特に第七番は、コレッリ[[]]の作品6の協奏曲と非常によく似ている。ヴィヴァルディとコレッリは歴史から見ると、活躍期がほぼ同じ人物であるが、実際はコレッリのほうが先輩であり、合奏協奏曲の集大成をなした人物ともいえるだろう。これは、ヴィヴァルディのソロコンチェルトの製作にも関わっている。
カテゴリ: クラシック音楽関連のスタブ | 協奏曲 | ヴァイオリン協奏曲 | ヴィヴァルディの楽曲