連帯債務
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連帯債務(れんたいさいむ)とは、数人の債務者が、同一の内容の債務について、独立して全責任を負う債務である。連帯債務が念頭に置いているのは金銭債務であり、債権者は各債務者に対して債務の全額を請求をすることができる(民法432条)。
債権が独立のもので、主従の差がなく、債権者は、一人に対する債権を譲渡できる点で保証債務とは異なり、保証債務より強力な担保となる。
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[編集] 概要
連帯債務の機能は、債務者を増やすことによって債権回収の確実性を担保することにある。その意味で、連帯債務は、人的担保の一種としての機能を果たしているといえる。
各債務者は、それぞれ全額の弁済義務を負い、誰か一人が全額を弁済すれば、他の債務者の債務も消滅する。しかし、各連帯債務者に対する債権は別個のものであるから、弁済等の一定の絶対的効力事由を除けば、債務者の一人について生じた事由は、他の債務者に影響を与えない(相対的効力の原則)。
一方、連帯債務者の内部では各自の負担部分が定まっており、一人が弁済したときには、一定の条件のもとで他の債務者に対して求償することができる。
[編集] 連帯債務の成立
連帯債務は、意思表示又は法律の規定によって成立する。
- 意思表示による連帯債務の成立
- 民法は分割債務を原則としているから(第427条)、連帯債務を成立させるためには当事者の意思表示(特約)が必要である。
- 法律の規定による連帯債務の成立
- 民法や商法等の規定によって連帯債務を負うこととされている例がある。
[編集] 債権者と連帯債務者との間の効力
[編集] 基本的効力
債権者は、連帯債務者の一人に対し、又は全員に対し、全額の弁済を請求することができる(民法432条)
- 破産の場合
- 破産財団の配当加入は債権の行使にほかならないから、債権者が連帯債務者の一人に対しその債権の全額を行使することができる(第432条)とされていることからすれば、当然の規定である。この規定の意味は、連帯債務者の無資力の危険は、債権者ではなく、他の連帯債務者が負担するということにある(破産法第104条3項ただし書、同条4項参照)。
[編集] 相対的効力の原則
連帯債務は同一の内容の債務をその目的とするが、その契約は各債務者ごとにそれぞれ独立のものであるから、各債務者に生ずる法的効果は原則として相対的効力しか生じない(民法440条。相対的効力の原則、債務者独立の原則)。
例えば、債務者の一人について法律行為の無効又は取消原因があっても、他の連帯債務者の債務の効力に影響を及ぼさない(民法433条)。また、債権者は連帯債務者の一人に対する債権を分離して譲渡できると解されている。
また、請求以外の時効中断事由(承認等)も、相対的効力しかない。
[編集] 絶対的効力事由
- 連帯債務においては、債務者の人数は増えても債権者が最終的に受けるべき弁済額が増えるわけではないから、連帯債務者の一人が債務全額を弁済すれば債務はすべて消滅し、その効力は他の連帯債務者にも及ぶ。
- また、連帯債務者の一人が債務の一部を弁済したときは、他の連帯債務者との関係でもその弁済額の限度で債務が消滅する。
- 連帯債務は債務者間に一定の人的関係があることを前提としているので、債権者の便宜と公平の観点から、請求について例外的に絶対的効力が認められている(民法434条)。
- 債権者が連帯債務者の一人に対しその債務を免除した場合にも、その連帯債務者の負担部分の限りで、他の連帯債務者にもその効力が及ぶとされている(民法437条)。
- この規定の趣旨としては、
- 債権者が連帯債務者の一人に対しその債務を免除したのならば、債権者はその連帯債務者の負担部分についてはもはや請求しないことにしたというのが、そこから推認される債権者の合理的意思であると考えられること
- 連帯債務者の一人に免除にしたのに、他の連帯債務者に債務全額の請求ができるとすれば、他の連帯債務者の負担の下に連帯債務者の一人のみを利することになりかねないこと
- 債務免除は債権者の責任においてなされるものであるから、その不利益は債権者が負担すべきであって、それを他の連帯債務者に転嫁するのは公平でないこと
- などが挙げられる(なお、一部免除の場合には、何が債権者の合理的意思かが必ずしも明らかでないので、その効果について学説上争いがある)。
[編集] 連帯債務者間の効力(求償関係)
連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する(民法442条1項)。ただし、弁済する前及びその後に通知を怠った場合は、求償に制限を受けることもある(民法443条1項、2項)。
連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する(民法444条本文、過失ある求償者について同条ただし書)。
[編集] 連帯の免除
連帯の免除(れんたいのめんじょ)とは、債権者が、連帯債務者の1人(又は数人)の債務を、負担部分までの分割債務とすることをいう(相対的連帯免除)。
連帯の免除を得た債務者は、自己の負担部分についてのみ弁済すればよいこととなる。しかし、それ以外の連帯債務者は連帯債務を引き続き負担するので、債権者に対して全額弁済する必要がある。
ただし、残った連帯債務者の中に弁済をする資力がない者があるときは、連帯の免除をした債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担しなければならない(民法445条)。
以上に対し、すべての連帯債務者について連帯の免除をし、完全な分割債務とすることを絶対的連帯免除という。
[編集] 不真性連帯債務
[編集] 関連項目
- 債権
- 分割債権・分割債務の原則
- 不可分債務
- 連帯債権
- 保証(連帯保証)