銀色の髪のアギト
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『銀色の髪のアギト』(ぎんいろのかみのアギト)はGONZOによる長編劇場アニメ作品。2006年1月7日公開。
また、日本の劇場アニメ作品として初めて中国での公開が決定している。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
300年後の未来、遺伝子操作の失敗によって意思を持った森が、人と都市を襲うようになってしまった世界で、その中でも森と比較的友好的な関係を築けている中立都市でアギトは暮していた。そこには、そのような世界であっても力強く愉快に日々を生きる人々の姿があった。アギトは、友人・カインと遊んでいる最中、偶然、ステイフィールド(永久生命維持装置)の中で眠る300年前の少女、トゥーラを目覚めさせた。運命的な出会いを遂げたアギトは、彼女に一目惚れをしてしまう。トゥーラは中立都市に滞在することとなる。彼女とアギトは愉快な仲間達と過ごしていくうちに、互いが互いに特別な感情を抱いている事に気付く。
トゥーラはある使命――― 人間世界を再び復活させるという使命を背負っていた。アギトと過ごしていくうちに徐々にその決意を固めていく。そうして彼女はアギトに、森が人を襲わず、安心して生きれる世界がどれほど素晴らしいのかを語ると、シュナックとともにアギトのもとを去る。シュナックについていった彼女は、自身の父親が作り上げた環境デフラグメント・システム、イストークを起動させ、それによって環境を元に戻そうとする。それはいったん、森の全てを焼き払う事によって、後は環境自体の自然治癒能力によってもとの状態、つまり遺伝子操作の失敗以前に戻そうとするものであった。
アギトは、トゥーラを取り戻すため、そして守る為、森から禁断の力を手に入れようと、強化体の儀式を受ける。強化体となった銀色の髪のアギトは、トゥーラとシュナックのあとを追う。ところで、強化体となった者にはある使命が森より託される。それは、森を護るということ。
二つの相反する使命が交錯するなか、運命の歯車が大きく廻り始める。森は彼らを何処へ導くのだろうか。彼らは、何処へ行こうとしているのだろうか。
「行こう。僕たちの未来のために!!」
[編集] キャラクター
- アギト(Agito)
- 中立都市にすむ少年。ステイフィールドに眠っていたトゥーラを目覚めさせた。トゥーラをシュナックにさらわれると、自ら強化体となり、彼女を助けようとする。純粋無垢である。父親を誇りに思っている。小説ではシュナックを少なからず恨んでいる面が見える。
- トゥーラ(Toola)
- ステイフィールドの中で眠っていた300年前の人間の女の子。すこし冷めた感のする。植物に襲われ、人々が細々と生きているという現実を目の当たりにし、大きく落胆した。森を正常に戻すため、シュナックと手を組む。父親は地球緑化プロジェクトの責任者。
- ヨルダ
- 中立都市の代表者。強化体でもある。小説ではアギトの母親という設定。ハジャン・アガシと共に中立都市を建設した。
- カイン
- アギトの友人であり、兄代わりでもある少年。
- ミンカ
- カインの妹。アギトに片思いをしているため、トゥーラをライバル視することがある。
- ハジャン
- カインとミンカの父親。強化体。
- シュナック
- ラグナの軍人であり、階級は大佐。過去から来た人間である。トゥーラの五年程前に覚醒した。300年前の地球緑化プロジェクトを失敗させたことによって多くの人々と文明を失わせ、また森に意思を持たせることになる。覚醒後は強化体となり、森を焼き払おうと画策する。
- ジェシカ
- ラグナの軍人であり、中央からシュナックの監視のためトリアシティに派遣される。小説では、シュナックへの信頼とと中央からの指令とに挟まれ思い悩んでいた。
- アガシ
- アギトの父親である。過去に強化体としての力を使いすぎたため(小説ではシュナックとの激しい戦闘のためと書かれている)、体の大部分が木化(木になってしまうこと)してしまった。
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
- 監督:杉山慶一
- 原案:飯田馬之介
- 脚本:椎名奈菜、柿本直子
- キャラクターデザイン:緒方剛志
- アニメーションキャラクター設定:山形厚史
- メカニックデザイン:安藤賢司、前田真宏
- 作画監督:山形厚史、恩田尚之
- エフェクト作監:増尾昭一
- 音響監督:若林和弘
- 音楽:岩崎琢
- 制作:GONZO
- 製作:銀色の髪のアギト製作委員会(メディアファクトリー、GDH、松竹、YAHOO! japan、テレビ朝日、電通)
- 配給:松竹
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ「調和 oto ~with reflection~」
- エンディングテーマ「愛のメロディー」
- 作詞・作曲:KOKIA/編曲:澤近泰輔/歌:KOKIA
[編集] 備考
本作はGONZOにとっての初めての劇場作品ということもあって、長編の内容としてはやや不慣れを感じる部分があり、公開当時はアニメーション製作会社としての名前も一般人にあまり知られていなかった。にも関わらず大掛かりな企画や宣伝をしなかった為、話題にはならず興行収入的には失敗であった。しかし、制作費が少ないこともあって大きな赤字は出ていない。