間接民主制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
間接民主制(かんせつみんしゅせい)とは、民主主義における政治制度の一つ。代表民主制、代議制とも言う。議会制民主主義(Representative democracy)と同義である。
選挙等のある一定の方法によって代表者を選出し、自らの権力の行使をその代表者に信託することで、間接的に政治に参加しその意思を反映させる政治制度をさす。対になる概念として直接民主制がある。
もともと歴史的背景をみていくと、民主主義が発展していった国家では当初は直接民主制がとられていたが、国土や国民が肥大してくるにつれて「間接民主制」に移行し、発展してきたというものがほとんどである。
現在ほとんどの国が「間接民主制」である。
[編集] 直接民主制に対する正当化の仕方・短所
[編集] 正当化の仕方
- 構成員の限定・実質的な議論の可能性の確保
- 直接民主制は国民などの構成員が増加すると対象者がそのまま増加することから運用が困難になる。相反する意見が存在する中で実質的な議論を行うためには、議論の参加者を限定することがむしろ望ましい。
- 衆愚政治の防止
- 直接民主制だと、構成員個々のエゴが直接政治に反映するため、構成員全体を考えた政治が妨げられる。これを防ぐため、個々のエゴが反映されにくい多数代表の選挙制度で議会を構成し、この議会を中心に政治を行うもの。フランスが採用している。また、現在のドイツでは1930年代にナチスが国民投票・住民投票という形で合法的にヒトラーによる独裁政権の確立や領土の併合を進めたことへの反省から、直接民主制の要素を一切排除している。
- 政治の専門家の確保
- 直接民主制だと、議員の人数が国民の人数と等しくなるので、議員に歳費を割り当てる事が出来ない。このため、議員は生計を立てるために何らかの副業を営まければ成らず、複雑な政治課題の調査に専念する事が出来ない。間接民主制なら、議員の数を大幅に減らせるので、給料を支給して政治に専念させることができる。
[編集] 短所
- 民意の反映精度に支障
- 直接民主制は構成員から直接意見を収集するため、手間はかかるが収集洩れが無いことが保証される。間接民主制では、この作業は収集数・収集範囲を含め議員の裁量に任される。民意の反映精度は、議員そのものを更新する時に選挙(直接民主制)を使い、選挙での議員(と議員候補)との間の自由競争によって確保する。
- 議会選挙のルールについて正当化が必要
- 議会選挙のルールを操作する事によって、選出議員の民意反映特性が変わる。
- 区割りのある選挙制度(少数代表)を使えば、アメリカ大統領選(国民が直接選ぶのは、大統領選挙人)のように、直接制での多数決と間接制での多数決が異なる決定を下すこと(逆転現象)が起きる。また、区割りを地域で区切るか、年齢で区切るか、職業で区切るかなど、区割り方法を操作する事で、議会に持ち込まれる対立の種類が変わる。
- 多数代表の選挙制度を使えば、ある政治問題で少数派の民意を反映する議員候補は、その問題で多数派に属する候補に破れるため、主要な政治問題全てで多数派に属する者しか議員になれない。このため、少数派との議論を議会で行えなず、多数派同士では、意見が一致しているため、議論が起こらない。
- 比例代表の選挙制度を使うと、直接制に似た振舞いの議会が出来、小党乱立が起きる。
- 議会構成に使う選挙制度を決めていないと、時の為政者の都合で選出議員の民意反映特性が操作される事になる。
カテゴリ: 民主主義 | 議会 | 政治関連のスタブ項目