阪堺電気軌道351形電車
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モ351形電車(も351がたでんしゃ)は、阪堺電気軌道が保有する電車である。
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[編集] 概要
南海電気鉄道時代に最後に製造された車両であり、当時老朽化が目立ち始めていた大型木造車であるモ101形(当時15両在籍)の淘汰、置き換え(当時不燃化や安全性向上を目的として運輸省から木造車の追放が指導されていた)を目的として帝国車両で1962年に351・352の2両が、1963年に353~355の3両がそれぞれ製造された。
[編集] 車体
モ501形とほぼ共通設計の全金属製車体を備える。
但し、モ353~355については折り返し時に乗務員が運転台へ出入りしやすい形状とするため、運転台の出入り口付近の部分の座席が1名分少ない6人掛けの座席となっており(これ以前の車両は7人掛けで運転台後部に座席が密着している)、このために座席定員もモ501形やモ351・352と比べて2名少ない36名となっている。
1986年以降、モ501形と共に順次冷房改造されている。
[編集] 主要機器
台車は枕バネにベローズ式の空気バネを使用する1自由度系軸箱梁式台車である汽車製造KS-69(351・352)、帝国車両TB-58(353~355)をそれぞれ新造して取り付けられているが、主電動機はモ101形の流用品であるゼネラル・エレクトリックGE-247-I(端子電圧600V時定格出力30kW)を従来通り吊り掛け式で装着した。但しこれは後にモ161形との機器の統一を図るため、同じ形式のモーターを装備していたモ301形(現在は廃車)から捻出された芝浦SE-104-B(GE-247-1のスケッチ生産品で、性能も同一)に取り替えられている。また、制御器は東芝製PM-2A2油圧多段カム軸式間接自動制御器が新製搭載された。
[編集] 運用
モ501形に続く新車として歓迎されたが、主電動機以外のほとんどの部分を新造しての置き換えは製造コスト等の面で難があったため、モ101形の残り10両については半鋼製車体であった元大阪市電1601形の車体を流用し、これにモ101形の電装品一式を取り付け改造したモ121形を充当することとなり、本形式の製造は合計5両にとどまった。
もっとも、本形式は製造コストは高価であったが、空気バネ装着車であるが故にその乗り心地は傑出しており、現行最新のモ701・601形と比較しても何ら遜色はない。
なお、本形式はゼネラル・エレクトリック社の技術に由来するPM系油圧カム軸式制御器を搭載する、日本に現存する最後の形式である。
[編集] 保有車両の塗装
- モ351・352は雲電車(青)
と呼ばれる標準塗装を、
- モ353はフランスの有名デザイナーがデザインした特別塗装
- モ354は堺のチンチン電車を愛する会
- モ355は岡崎屋質店
の各広告を塗装している。
[編集] 余談
なお、なぜか東京の都電旧38系統の廃線跡の公園にあるトイレには、この351形が描かれている。
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