雑居ビル
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雑居ビル(ざっきょビル)とは、不特定多数の業種、業態の店(テナント)が多数混在するビルのことである。
[編集] 実情
- 大都市の歓楽街の古いビルに多く、小規模な飲食店、金融業、風俗業などが集まる。特に風俗業の看板はビル全体に覆いかぶさり、強烈な文言と刺激的な映像で通行人の興味を引く。あまりに大きいので非常出口を兼ねた出窓をふさぐことから、内部は昼でも薄暗い。
- 飲食店も当然酒類の提供が中心である。金融業も違法金利営業が多い。異業種同士が利益をかけて結束する形態も常態化して、表面上は別経営であるが、実際はひとつの経営主体(多くは非合法集団)である。結果ビル全体が一つの支配下にある場合もある。
- テナントとして新しく規模の大きな会社が複数入っているビルも雑居ビルといえなくもないが、六本木ヒルズのような形態のビルを雑居ビルと表現する者は少ない(企業の本社や支社などの事務所が主に入居しているため、オフィスビルと呼ばれることが多い)。
- 「雑居」と呼ばれることに建物権利者は不快感を持つ。しかし営業形態が公然にできない業種の賃借人が多く、他者の関与を嫌う。通常の賃貸ビルなら貸主店子相互が一定の親睦友誼を図っているが、それができない以上「雑居」と称して他者の介入を拒んでいる。これがオフィスビルとの相違である。また違法営業について司法からの追求を逃れるために、自らの関与を否定することを狙い「雑居」としてもいる。
[編集] 問題点
雑居ビルでは、オーナー側が利益を優先して店子を選ばない結果になってしまう。このオーナーですら一定の利益を上げると建物を転売して行方をくらましてしまう。非公然業種が入居したビルに通常の入居者が現れることは難しいし、貸主もこうした借主と関係を持つことを忌避するからである。閉鎖的な業種が多くなるので、当然犯罪行為の温床であるし、建築物構造そのものや管理体制の面で、消防法に違反するものも多い。
- 特に消防法の違反事例は、非常階段に荷物・倉庫を置くなど雑居ビル火災時の避難を阻害しており惨事を招いている。
- 建物設備でも常軌を逸した営業同様に内装改造を供給事業者(電気ガス水道など)に無断で行っており、改修するにも設備図面自体がない。
- 極端な改造は建物老朽化を早めてしまうので改築する意味がない。外装だけ看板で擬装した古いビルが今なお営業している。
[編集] 大惨事
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