餃子の王将
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餃子の王将(ぎょうざのおうしょう)は、京都市山科区に本社を置く王将フードサービスが京阪地区を中心に全国展開する、大阪風の餃子を売りにした中華料理チェーンの名称。通称は「王将」、「京都王将」である。
関西圏を中心に、「大阪王将」との名のつく中華料理店が存在するが、これはイートアンドが展開する店で別系列である。王将フードサービスの創業者の一族が独立して始めたものだが、その後のチェーン展開で競合しかけたため問題となった。詳細は、後述の「のれん問題」を参照。
2005年8月には初海外進出として大連へ出店を果たした。本場中国に和風中華料理を逆輸入する形で話題にもなった。CMからのキャッチフレーズである「食は万里を超える」を実践する意気込みである。
なお、日本における本場の民族料理は中華料理ではなく、中国料理と指すことが多い。
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[編集] 店舗
1967年に京都市の四条大宮にて開業し、その後全国に展開中。70年代後半からは東京地区に積極的に出店している。出店概要は、繁華街・駅前型から郊外型など幅広いエリアに出店している。店も小さなタイプから一級国道沿いのSAのようなロードサイドの大型店舗など幅広い。また、かつては和食部門にも進出していたが、現在は縮小して、中華料理一本への体制になっている。ただし現在も「いけすの王将」として僅かながら和食部門が残っている。また、回転寿司を中華料理と併設している店舗がある。
[編集] 特徴
低価格を武器に、一般的な中華料理を手軽に食事できる、ファミリーレストランタイプの中華料理店である。
業態はセントラルキッチンシステムで餃子の餡や皮、ラーメンの麺などが供給されるが(皮に包むのは各店で行っている)、餃子以外のメニューは各店舗に裁量が認められているため、店舗によってメニューがかなり異なる。
餃子と名のつくだけに、焼餃子が看板である。味は大阪一口餃子を連想する、ニラよりにんにくを利かせた餃子で、肉のボリュームとキャベツなどを細かく刻み、食べた時に肉汁の出るその美味しさは、関西で「餃子といえば?」と聞くと「王将」と言われるぐらいに支持されている。安くてボリュームがあるため、若者からの支持が高く、特に京阪神地区で学生時代を過ごした男性にとってはソウルフード的な存在である。また、生餃子を店舗で購入して自宅で焼いて味わう者も少なくない。
各自店の特徴は様々であり、本拠地の京都では「京都=学生」という形で、貧乏学生に対しては様々な商品を提供している。ボリュームの多い定食はもちろんの上、制限時間内無料(所謂早食い)や、皿洗いを30分することを条件でタダで食事ができたり、大学限定メニュー(学生証の提示要)なども存在する。
ビジネス漫画「取締役島耕作」で、留学生として同志社大学卒業という設定の中国家電大手出発集団の孫鋭と島耕作が京都での会議の途中に出町の食堂を訪れるという場面がある。孫鋭が貧しかった留学生時代にお世話になった店で、「皿洗いを30分することを条件でタダで食事ができる」伝統が続いており、ふたりは食後にわざと皿洗いをする。この食堂は、餃子の王将出町店をモデルにしているといわれている。
飲料会社のアサヒビール・アサヒ飲料と提携している。そのため、アルコール類やソフトドリンクなどのブランドはアサヒである。
[編集] 会社概要
本社は京都市山科区にある地元有力企業。直営店が約90店と大半を占めFC店は10店ほどしかない。従業員数は1200名あまりで、平均年齢は28.7歳。平均年収は492万円とされている。1993年3月16日に店頭登録にて株式公開を行った。その後、大証2部・京証に上場し、現在は大証1部上場企業である。
[編集] 関東地区
東京及び首都圏では、東京ラーメンが一般メニューに加わっている。また、餃子や一品などの料理の値段が割高である。それは、関西に比べて物価が高いことから影響していると思われるが実際は都市部に限ると物価の差はほとんどなく、東京だから高くしても客は文句を言わないという安易な発想が垣間見れられる。例)餃子180円(189円)が200円(210円)。炒飯350円(367円)が400円(420円)である。(括弧内は、消費税等込価格) また、残念な事に飲み水に浄水器を用いていない事から、店舗により非常にまずい水道水が出され、スープ系の味にも影響が出ている。
[編集] 会員カード
「ぎょうざ倶楽部」というカードがある。これは、秋頃に500円に付き1ポイント押されるスタンプカードを20個(10,000円相当)を集めれば、会員になれるというものである。会員カードを入手するには「試練」を越える必要がある。かつてはプラチナカード、ゴールドカードという、何回行っても餃子が1~2人前タダとなるカードも存在した。これに関しては20個以上ためる必要がある。この試練を物語ったファンサイトも存在する。
現在は会員になると、5%OFFと誕生日月は1,000円の食事が無料というのが定着している。有効期限は1年内で、更新の場合に限り原則、試練はない。(04年以降は更新がなく、登録のやり直し(試練)が必要である)
[編集] 無料券、割引券
創業間もない頃、餃子1人前無料券を繁華街で配布して、集客と知名度向上を図っていた。現在は、餃子無料券を含む5枚綴りの割引券があり、店舗の周辺で配布又は住宅に投函される。また、新聞の折り込みチラシに無料券や割引券がついてくることがある。
王将フードサービスの株主には株主優待券が年1回、6月下旬頃に郵送される。株主優待券は500円額面の金券扱いで、有効期限は翌年の6月30日までである。
[編集] 王将用語
中国語をベースにした独特の厨房用語がある。一般に王将用語と呼ばれる。常連ならば意味がわかるが、注文にそれを使うことはない。一例として次のような用語がある。
- 餃子=コーテル(語源:鍋貼児:グオティエ)
- 鶏の唐揚げ=エンザーキー(語源:炸鶏腿:ジャージートゥイ)
- 一個=イーガー(語源:一個:イーガ)
- 酢豚=クールーロー
[編集] 展開状況
直営店311店、FC店182店(2006年9月30日現在。中国における直営店2店舗を含む)東北、北海道エリアには未進出である。関東、東海エリアへの新規出店を積極的に行っている。
西日本地区と東日本地区の分水嶺は静岡県にあり、浜松店までが西日本メニュー、焼津店からは東日本メニューとなっている。メニュー設定、キャンペーンや価格が多少異なる。
[編集] のれん問題
王将フードサービスとは別に、大阪王将(現:イートアンド)が展開する「大阪王将」と名のつく中華料理店が存在する。大阪王将は王将フードサービスの創業者の一族が独立して始めたもので、大阪王将がチェーン展開を始め、京都に出店した際、事態を重く見た王将フードサービスは「王将」の使用をさせない旨の提訴に踏み切った。しかし、裁判所の勧めにより、結局和解。
和解の内容については、王将フードサービスは「餃子の王将」として、大阪王将は、「大阪王将」または「中華王将」としてそれぞれ「王将」を使用できるものとなった。こういった店名や商品名などの商標に関する裁判のケースは少なくない。
[編集] タイの“餃子の王将”
2006年9月17日、「餃子の王将タイランド」という店がバンコク、スクンビットにてオープン予定だった。この店は王将フードサービスとは無関係に、同社の元従業員が独立して設立したコスモフーズが展開する店であるが、店のロゴや店名が「餃子の王将」と酷似していたため、王将フードサービスは当惑し日本もニュースになった。
王将フードサービスはタイの「餃子の王将」を「偽物」と断じているが、本家本元の「餃子の王将」は日本国外で商標登録を行なっていないので、どうすることもできないという。
この店のサイトの会社情報には、京都からライセンス契約がある(原文は英語)とのことだが、詳細は不明である。(削除済み)
結局「タイ王将」として開店したが、その数ヵ月後再び「餃子の王将」としての宣伝活動が目立ってきている。