魏 (戦国)

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魏（ぎ　紀元前453年あるいは紀元前403年 - 紀元前225年）は、中国戦国時代に存在した国。戦国七雄の一つ。紀元前453年に韓、趙と共に晋から独立し、その地を三分した。このため、この三国のことを三晋という。また魏は、東西に領土が広がっていたため東に斉、西に秦、南に韓と楚、北東に趙と国境を接していた。首府は安邑、のちに遷都して大梁。

三晋地図

[編集] 歴史

魏の始祖は周の武王の弟である畢公高（ひっこうこう）である。父文王を初めとした周歴代の君主の遺体が埋葬された畢に封じられたために畢公の高（名前）と呼ばれる。その後春秋時代に入り、子孫の畢万が畢を奪われた後に晋まで一族を率いて流れてきた所を晋の献公に拾われて、軍功を挙げた事で魏の地に奉ぜられ、以後畢万は魏万と名乗るようになった。

その後、魏家は徐々に晋の中で力を持つようになり、紀元前500年頃になると文官である西門豹により開墾の大工事が成功し富国となり春秋末期には政治を行う大臣の六家の一つとなり、紀元前453年に同じく晋の大臣の一族である智氏を滅ぼして、韓・趙と共に晋から独立した。

[編集] 戦国の覇者

紀元前424年に文侯が即位する。文侯は内政面では李克、軍事面では呉起・楽羊らを登用し、周辺諸国を討って国力盛んとなり、七雄の中の最強国となった。紀元前403年、韓・趙と共に諸侯の列に加えられた。これより戦国時代が始まる。

紀元前387年に文侯が没し、子の武侯が立つ。武侯が立つと河西の太守をしていた呉起は楚に逃げて宰相となった。武侯も優れた君主であり、魏は強勢を保つ。しかしこのころより回りに新規開拓の余地が無くなり、領土を広げるためには他国へ攻め入るしか無くなってきた。戦争が絶え間なくなり、国家財政に負担がのしかかってきた。

[編集] 東西の圧力と信陵君

紀元前371年、武侯が没し、子の恵王が立つ。治世中に斉の孫臏に大敗し（馬陵の戦い）、更に秦が商鞅の変法により急激に国力を増大させ、紀元前340年に商鞅率いる軍に大敗して黄河以西を失い、秦の圧力を恐れて安邑から、東方の大梁（現在の開封）へ遷都した。これ以降は国の名前を梁とも呼ばれる。ここで文侯以来保ってきた覇者の座から滑り落ちた。

その後、魏の宰相の魏斉が食客の范雎を辱め、のちに范雎が秦の重臣となり秦に圧迫され、苦しい状態が続くが、公子無忌が現れ、紀元前247年には秦の侵攻軍を五か国連合軍を率いて破った。公子無忌は信陵君と呼ばれ、戦国四君の一人である。しかし戦後は勝手に軍を動かしたとして趙に身を隠し、のちに魏に戻されるが王に猜疑されて要職からは遠ざけられ、酒びたりになり、そのまま死去した。信陵君の死後、魏は秦に抵抗できず、次々と領土を削られる。更に秦に秦王政（後の始皇帝）が立ち、秦の圧力は強力になり、紀元前225年に秦の王賁将軍に攻められて滅亡した。

のちに項羽が弱体化した秦を打ち破った後に、魏王の子孫である魏豹を魏王として復興した。詳しくは西魏を参考。

また、のちの漢の皇帝となった文帝の母薄氏は魏王家出身であった。