鳥獣保護区
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鳥獣保護区(ちょうじゅうほごく)とは、鳥獣の保護繁殖を図るために、鳥獣保護法に基づき設定される地区である。
鳥獣保護区では鳥獣の捕獲が禁止されるほか、特別保護地区では埋め立て・干拓や伐採、工作物の設置などの野生動物の生息に支障をきたす恐れのある行為についても事前の許可が必要となる。
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国設鳥獣保護区・特別保護地区(環境省設定)の標示
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都道府県設鳥獣保護区(神奈川県設定)の標示
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目次 |
[編集] 概要
環境大臣が設定する国設鳥獣保護区と、都道府県知事が設定する都道府県設鳥獣保護区の 2種類があり、特別保護区を指定することも可能である。
一般に、国設鳥獣保護区には下記のような代表的な渡来地・繁殖地が指定され、それ以外は都道府県設鳥獣保護区として設定される。
- 国立公園、国定公園などの大規模な生息地
- 国際条約により保護対象となっている渡り鳥等の渡来地
- 代表的な大規模繁殖地
- 代表的な希少鳥獣の生息地
[編集] 歴史
- 狩猟規則が制定され、それまで野放しであった狩猟の制度化とともに保護鳥獣が指定される。
- 狩猟法制定(狩猟規則の法律化)。
- 鳥獣の保護繁殖を目的とする禁猟区(きんりょうく)制度が創設される(狩猟法の改正により)。
- 狩猟法全面改正。このとき、現行法まで引き継がれる鳥獣保護区の基本理念が確立する。
- 鳥獣保護区制度(現在の特別保護地区制度。捕獲規制に加え、開発行為が規制される)が創設される。
- 「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」(現在の「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」)に改称され、従来の禁猟区が廃止され鳥獣保護区になる。
- また旧鳥獣保護区は特別保護地区になる。
- 「日米渡り鳥条約」締結。
- その翌年に「日ソ渡り鳥条約」、翌々年に「日豪渡り鳥条約」、1981(昭和56)年に「日中渡り鳥協定」が締結される。
- 国設鳥獣保護区の指定条件を改訂(国有地の割合等による基準を削除)、狩猟者登録制度の整備。
- 種の保存法が制定される。
- 特定鳥獣保護管理計画制度が創設される。
- 第 9次鳥獣保護事業計画の基準にて、鳥獣保護区の目的に生物多様性の保全を明記する。
- 設定区分に「生息地回廊の保護区」が追加される。
[編集] 参考文献
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 国設鳥獣保護区の設定状況などの資料が開示されている。