鳩の休日
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鳩の休日(はとのきゅうじつ)は、日本テレビが地上アナログテレビジョン放送の放送開始・終了時、1日の基点時間に放送するジャンクションである。1953年8月28日、放送開始。ただし、2000年1月17日から2001年9月30日までは、未明にNNN24が放送されるのに伴って不定期に放送された。諸事情により、2001年10月1日からは放送を休止している。
なお、この映像に使用されているBGM(作曲:深井史郎)の曲名も「鳩の休日」である(詳しくは、後述の「BGM」を参照のこと)。
目次 |
[編集] 概要
モノクロ版とカラー版とがあり、前者は日本テレビが開局した1953年8月28日から1972年6月30日まで放送され、1972年7月1日から後者の放送に切り替えられた。また、カラー版にはモノラル版と音声多重版とがあり、前者は1972年7月1日から1978年9月27日まで放送され、1978年9月28日から後者の放送に切り替えられた。
切り絵によってかたちどられた3羽の鳩が、美しいBGM「鳩の休日」(作曲:深井史郎)に合わせて羽を広げる様子が印象的で、多くの視聴者に感動を与えてきた。日本テレビの社史でも取り上げられており、同局の歴史を語る上では、欠かすことのできない存在となっている。また、同局内では「日本テレビオープニング」として正式に設定されているという。映像に登場する3羽の鳩は、途中で消えていく2羽がNHK、ラジオ東京テレビ(KRT、現在のTBS)を表し、最後に残った1羽が日本テレビを表しているといわれている。ただし、KRT開局(1955年4月1日)前から3羽おり、またカラー版になっても、フジテレビなどに相当する分は増えず3羽のままであった。
諸事情により、2001年10月1日から放送を休止し、代わりに15秒のジャンクション(ナレーション:井田由美アナウンサー)を放送している。放送終了となったわけではないという。開局当初から長期にわたり放送され、同局の象徴的存在とされていたため、放送の再開を要望する視聴者が多い。
[編集] モノクロ版
1953年8月28日~1972年6月30日
[編集] 概要
1953年8月28日午前11時20分、日本テレビが開局し、それとともに「鳩の休日」の放送が開始された。この当時は全番組がモノクロで、「鳩の休日」ももちろんモノクロであった。日本テレビは1971年に番組のほとんどをカラー化したが、唯一これだけはモノクロであった(テレビのカラー放送開始は1960年9月10日)。1972年7月1日、周波数の単位が「メガサイクル」から「メガヘルツ」に変更されるのに伴い、同年6月30日をもってモノクロ版の放送を終了した。
1953年8月28日の開局からしばらくの間、映像の最後の部分は、丸で囲まれた「NTV」の文字(当時の社章)の下に「東京」の文字を入れたものであった。日本テレビでは創立当初の1952年、NHKのように自前で日本各地に放送局を建設し、各放送局をマイクロウェーブで結び、自社製作の番組を全国に放送するという計画があった。そのため、日本テレビが在京のテレビ局であることを日本各地に知らせる必要があり、わざわざ「東京」の文字を入れたものと思われる(詳しくは、「日本テレビ放送網」の「沿革」の項を参照のこと)。
モノクロ版の静止画は、日本テレビが1978年に出版した、創立25周年記念誌『大衆とともに25年』の「写真集」や、同局が2003年に社員、OB、OG向けに出版した、創立50周年記念誌『テレビ 夢 50年』の中に掲載されている。
モノクロ版の動画は『テレビ 夢 50年』の付録DVDに収録されている。
[編集] 放送時間
- 80秒
[編集] 映像の流れ
- 1953年8月28日~?
- ブラックバックに「NTV」、「JOAX-TV」の文字が表示される。
- 鳩小屋が映り、そこに止まっている3羽の鳩がBGMに合わせて羽を広げる。
- 鳩小屋が消え、右の1羽、左の1羽の順番に鳩がフェードアウトし、最後に残った1羽にズームアップする。
- 鳩が消え、ホワイトバックに表示された黒い「NTV」の文字にズームアップする。やがてバックと文字の色が反転する。
- 「日本テレビ放送網」の電光文字が右から左に流れはじめるのと同時に、「NTV」の文字が消える。後半、「NTV」とナレーションが入る。
- 「第4チャンネル」、「映像周波数171.25メガサイクル」、「音声周波数175.75メガサイクル」、「JOAX-TV」、「日本テレビ」の文字が書かれた矢印が、下から上に流れる。それと同時に、「第4チャンネル、映像周波数171.25メガサイクル、音声周波数175.75メガサイクル、JOAX-TV、こちらは日本テレビでございます」とナレーションが入る。
- ブラックバックの上に「JOAX-TV」の文字、中央に丸で囲まれた「NTV」の文字(当時の社章)、下に「東京」の文字が表示される。
- ?~1972年6月30日
- 上記6までは同じ。最後の部分のみブラックバックの左上に「JOAX-TV」の文字、中央に丸で囲まれた「NTV」の文字(当時の社章)、右下に「日本テレビ」の文字が表示される。
[編集] ナレーション
- 1953年8月28日~?
- 結城雅子アナウンサー
- ?~1972年6月30日
- 男性アナウンサー
[編集] カラー・モノラル版
1972年7月1日~1978年9月27日
[編集] 概要
1972年7月1日、周波数の単位が「メガサイクル」から「メガヘルツ」に変更されるのに伴い、カラー・モノラル版の放送を開始した。60秒の放送時間と後半の映像がモノクロ版と異なっている。
1978年1月1日、開局25周年に先立ち、社章が「NTV」を丸で囲ったものから、地球を模した「日」の字に変更されたため、社章が表示される、映像の最後の部分が変更された。
同年9月28日、音声多重放送実用化試験放送の開始に伴い、同年9月27日をもってカラー・モノラル版の放送を終了した。
[編集] 放送時間
- 60秒
[編集] 映像の流れ
- 1972年7月1日~1977年12月31日
- ブラックバックに「NTV」、「JOAX-TV」の文字が表示される。
- 鳩小屋が映り、そこに止まっている3羽の鳩がBGMに合わせて羽を広げる。
- 鳩小屋が消え、右の1羽、左の1羽の順番に鳩がフェードアウトする。
- 最後に残った1羽にズームアップし、フェードインで星々の煌めきに転換する。
- 星々が集まって環となり、やがて鳩の群れの輪となる。
- 輪の中央で星が光り、そこから「NTV」の文字がズームアップする。それと同時に輪が消え、背景がブルーになる。
- 「日本テレビ」の電光文字が右から左に流れはじめるのと同時に、「NTV」の文字が消える。
- 橙色のタイルをバックに、「JOAX-TV」の文字が表示される。バックが青いタイルに切り替わり、「4チャンネル」の文字が表示される。橙色のタイルと青色のタイルが集まりあって、「日本テレビ」の文字が表示される。これらと同時に、「JOAX-TV、第4チャンネル、こちらは日本テレビです」とナレーションが入る。
- ブラックバックの左上に「JOAX-TV」の文字、中央に丸で囲まれた「NTV」の文字(当時の社章)、右下に「日本テレビ」の文字が表示される。
- 1978年1月1日~1978年9月27日
- ~1977年12月31日の8までは同じ。最後の部分のみホワイトバックの左上に「JOAX-TV」の文字(赤色)、中央に地球を模した「日」の字(社章、紫色)、右下に「日本テレビ」の文字(灰色)が表示される。
[編集] ナレーション
- ?
[編集] カラー・音声多重版
1978年9月28日~、放送休止:2001年10月1日~
[編集] 概要
1978年9月28日、音声多重放送実用化試験放送が開始されるのに伴い、カラー・音声多重版の放送を開始した。BGM(詳しくは後述する)のアレンジが変わり、また左チャンネルと右チャンネルとで異なるナレーションが放送されるようになった。映像は1978年1月1日から同年9月27日までのカラー・モノラル版と同じである。
1992年8月28日、開局40周年に先立ち、シンボルマーク「なんだろう」が新たに制定されたが、このときは映像の最後に表示される、社章の部分は変更されなかった。ちなみに、「なんだろう」は同局のシンボルマークで社章ではない。
2000年1月17日から、未明にNNN24(現在の日テレNEWS24)が放送されるようになり、1日の基点時間に「鳩の休日」が放送されなくなった。その代わりに、NNN24の開始・終了を知らせる15秒のジャンクション(ナレーション:平川健太郎アナウンサー)が放送されるようになった。ただし、放送開始・終了時、NNN24が放送されない日は、従来通り「鳩の休日」が放送されていた。
諸事情により、2001年10月1日から放送を休止し、代わりに15秒のジャンクション(ナレーション:井田由美アナウンサー)を放送している。放送終了となったわけではないという。
[編集] 放送時間
- 60秒
[編集] 映像の流れ
- ブラックバックに「NTV」、「JOAX-TV」の文字が表示される。
- 鳩小屋が映り、そこに止まっている3羽の鳩がBGMに合わせて羽を広げる。
- 鳩小屋が消え、右の1羽、左の1羽の順番に鳩がフェードアウトする。
- 最後に残った1羽にズームアップし、フェードインで星々の煌めきに転換する。
- 星々が集まって環となり、やがて鳩の群れの輪となる。
- 輪の中央で星が光り、そこから「NTV」の文字がズームアップする。それと同時に輪が消え、背景がブルーになる。
- 「日本テレビ」の電光文字が右から左に流れはじめるのと同時に、「NTV」の文字が消える。
- 橙色のタイルをバックに、「JOAX-TV」の文字が表示される。バックが青いタイルに切り替わり、「4チャンネル」の文字が表示される。橙色のタイルと青色のタイルが集まりあって、「日本テレビ」の文字が表示される。これらと同時に、左チャンネルで「JOAX-TV、第4チャンネル、こちらは日本テレビです」、右チャンネルで「JOAX-TAM、こちらはNTV、テレビジョン音声多重放送です」とナレーションが入る。
- ホワイトバックの左上に「JOAX-TV」の文字(赤色)、中央に地球を模した「日」の字(社章、紫色)、右下に「日本テレビ」の文字(灰色)が表示される。
[編集] ナレーション
- 1978年9月28日~?
- 女性アナウンサー(左チャンネル、右チャンネルは不明)
- ?~
- 青尾幸アナウンサー(左チャンネル、右チャンネルともに)
[編集] BGM
[編集] 曲名
- 鳩の休日(作曲:深井史郎)
[編集] アレンジの相違
モノクロ版、カラー・モノラル版、カラー・音声多重版でそれぞれ異なるアレンジのBGMが用いられた。
- モノクロ版
- 主旋律をサックスが寂しげに奏で、他に木管楽器や鉄琴・シンバルが使われているもので、演奏時間は80秒。これが原曲である。
- カラー・モノラル版
- モノクロ版と同一の楽器構成だが、演奏時間が60秒に短縮された。
- カラー・音声多重版
- 原曲とは打って変わり、金管のリードのもとストリングスを豊かに織り交ぜた、哀調を交えつつ華やかなオーケストラ。1970年代の曲調を色濃く湛えている。演奏時間は60秒。
[編集] 補足
- 開局50周年を記念して2003年8月28日の開局50周年の日に発売した、日本テレビの人気番組やおなじみのテーマ曲を集めたオムニバスCD『日本テレビ開局50年記念 TV GENERATION 日テレGOLDEN BEST』の一番最後にこの曲が収録されている(なお、『日テレGOLDEN BEST』より選りすぐって集めた、2005年5月25日発売の『TV PARADE~日テレ テーマコレクション~』にも一番最後に収録されている)。カラー・モノラル版で使用されたアレンジのものが、ステレオで収録されているのが特徴である。
- 「伊東家の食卓」の「大発見」のコーナーで、「黒鍵だけで演奏できる曲」としてこの曲が取り上げられたことがある。もちろん、カラー・音声多重版の映像も一部抜粋で紹介された。ただし黒鍵だけで演奏できるのは、原曲のト長調を嬰ヘ長調に転調させたときである。なお、同番組の同コーナーで「切り絵が簡単にできる方法」でカラー・音声多重版が再現されたことがある。
[編集] エピソード
- 1993年1月17日に放送された「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」で、ダウンタウンの松本人志が鳩に扮し、「鳩の休日」を再現したことがある。これは、1992年12月20日放送の同番組で行われた「紅白勝敗予想対決」に負けた松本に対する罰ゲームである。「鳩の休日」の冒頭部分が放送された後に「番組」として放送され舞っていた。その後、「早見優のアメリカンキッズ」のオープニングの部分が流れた。このとき、画面の左上に長方形で囲まれた時刻表示がなされていたが、これは放送当時の時刻ではない。また、長方形で囲まれたのは、時刻の誤解を防ぐためと思われる。ちなみに、松本は同番組の罰ゲームで日本テレビのカラーバーの一部になったこともある。
- 実は同年に東京放送でも、この「鳩の休日」が放送されたことがあった。萩本欽一(欽ちゃん)が「TVジェネレーション」にゲスト出演した際に、この「鳩の休日」の事を語ったのである。欽ちゃんが「一日の仕事の終わりに家に帰ると楽しみはテレビを観る事くらいなのに、『鳩の休日』で一方的に終わらされて寂しすぎる」といった趣旨の事を語った後に、「鳩の休日」が一部抜粋で放送された。内容は、カラー・音声多重版であったがモノクロで放送され、さらに「JOAX-TV」や「日本テレビ」と出るシーンには「ただ今、TBSで放送中!」とテロップが入った。そして最後の社章の部分はテレビ受像機をイメージしたフレームに納められ、そこで突然「砂嵐」に切り替わった(当時の状況の再現である)。