BMX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
BMX (bicycle motocross) は、自転車におけるモトクロス用の車種である。モトクロスとはMX=moto-cross=荒地用のモーターサイクルのことである。
目次 |
[編集] 歴史
広大な国土を利用したオフロード大国のアメリカで大人のMXのマネをして少年たちが自転車のカゴや泥除けなどを取って土の上などで走ったことからBMXが誕生した。
これによってアメリカではエンジンがついたMXを大人用、BMXが子供用と位置付けられた。この為、本来はBMXが荒地用の自転車となる筈であったが、あくまでもBMXコースという特殊な状況下の子供用のBMX競技専用自転車という枠を出なかった。
本格的な大人用の荒地用自転車が登場するには、1980年代前半にオフロードバイク(通称MTB)としてフィッシャーとリッチーらのビーチクルーザーダウンヒラーから進化するのを待たなければならなかった。
[編集] BMXのカテゴリ
BMXはBMXレーサーとBMXフリースタイルの二系統に大別される。前者はジャンプやコーナーなどダート(土)の上で競争して順位を競う。後者は色々な技を競う。現在フリースタイルはエクストリームスポーツ、X-Gamesの一つとして知られる。世界的に見るとストリート、ダート等、ジャンプや技を競うものが人気だが日本は施設が不十分な為、平らな土地が有ればどこでもできるフラットランドが人気。X-Games13からダートが外され、ちょっとした問題になっている。
[編集] BMXレーサーの特徴
BMXレーサーは,速さを競うため、ある程度の強さは確保しつつも、他のBMXと比較して最も軽量に作られている。このため、ブレーキはレース中にほとんど使うことがないため、後ろにしかついていない。
フレーム素材は、クロモリ鋼とアルミが主流で、この他、主に体重の軽い子供や女性用にカーボンやチタンを用いたものもある。フォークは、クロモリ鋼か、カーボンの脚をアルミのフォーククラウンで支えたものが良く用いられる。フレームのジオメトリは、高速での安定性のために,他のBMXよりも若干長めに作られている。
クランクは、クロモリ鋼かアルミの3ピースが主流で、近年ではヨーロピアンタイプのボトムブラケットを持つフレームが増えてきたので、マウンテンバイク用のクランクもよく流用される.またスタートダッシュのスプリント力が重要である為、175mmや185mmなどの長大なクランクが利用され、0から30m程度までのダッシュ力は自転車競技の中でも最速だと言われている。
ホイールサイズは、通常BMXといえば20インチをさすが、この他、「クルーザー」と呼ばれる24インチを持つレーサーもある。レースの際は,基本的に20インチと24インチで混走することはなく、別々の種目として競われる。
[編集] BMXフリースタイルの特徴
一方で、BMXフリースタイルの特徴は前輪が左右に幾らでも回転できるようにしてあることである。前ブレーキのワイヤーはステムを貫通し、後ブレーキのワイアーはヘッドパーツとステムにジャイロという仕組みが組み込まれ、ヘリコプターのヘッドの制御同様に、回転させながらのブレーキ操作が可能となっている。
また前後のハブやフォークにステップが装備され、そのステップ上に乗り、ポゴダンス(飛び跳ねる)などトリック(技)に使えるようになっている。
[編集] 日本とBMXの関連
日本でBMXブームが起こったのは1978年-1982年の間である。島野工業もその当時DXにてアメリカ市場を席捲した。(ちなみにBMXにも2段変速程度の変速機は製品化されていた。)
1984年の映画『E.T.』で使用されたBMXは、日本(大阪)のクワハラ社製。当時ワークスチームが大活躍しており、出演者の子供たちにどのバイクに乗りたいかと聞いたところ、「KUWAHARA」との返答があったといわれている。大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンにはレプリカが展示されている。
[編集] BMXフリースタイル競技の詳細
フリースタイルの競技は大別して、フラットランド、ヴァート、ストリート、パーク、ダートジャンプなどがある。
フラットランドは自転車を使って驚くようなトリック(技)を披露したり競ったりする。足を地面につけないことが一番大前提のルール。あとは何をしてもよいのだが、基本的に二輪で走っている状態から一輪の状態でバランスをとり(技に入る)、二輪状態に戻る(技の終わり)というイメージ。
ヴァートはヴァーチカルランプと呼ばれる両側が垂直に立ち上がっているU字型に組まれた大きな台を、ブランコのように往復して台から飛び出す瞬間の空中で技を繰り出す。台の上(デッキ)やコーピングと呼ばれるランプの角で滑ったり一時的に止まったりするリップ技などもある。
ストリートは、街の段差を利用して飛んだり、壁を走ったり(本当に垂直の壁を走る)階段の手すりにペグ(車輪の車軸に取り付けられたステップ)をひっかけて一気にすべり降りたりする。
パークは大小様々なランプや街に存在する縁石を真似た台などを配置したスケートパークという施設で行われる競技。ヴァートとストリートのどちらの要素も含まれ、ルールは存在せず、好きなように走り回り技を入れてよい。パーク競技をフラットランドと対比して「ストリート」の一種と語られる事も多く、ストリートの大会というと大抵の場合スケートパークで開催される大会を指す。
ダートジャンプは、土を掘り起こしてジャンプできるように盛り、そこでジャンプして空中で技を披露する競技。