DMF15系エンジン
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DMF15系エンジン（-けいえんじん）は、旧国鉄（→JRグループに継承）の気動車に走行用として搭載され、また客車・特急型気動車の発電用エンジンとしても用いられるディーゼルエンジンである。国鉄キハ40系気動車 (2代)用に大量に採用された。
JR北海道キハ150形気動車のN-KDMF15HZA、JR東日本キハE130系気動車のDMF15HZは直噴式アフタークーラーつき過給の小松製（同社の商品名はSA6D140H）で、本形式とはまったく関係がない。
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[編集] 解説
このエンジンは、水平対向12気筒ターボ付のDML30の片バンクを切り落とした直列6気筒で、ターボチャージャーを搭載（インタークーラーは非装備）。排気量は約15リットル、連続定格出力は220馬力である。
[編集] 歴史
昭和20年代後半から国鉄の気動車の標準機関として大量に製作されていたDMH17系エンジンは、その試作段階でさえ技術陣の間では既に時代遅れのものとの認識があった。昭和30年代に入り、DMH17系エンジンを2機搭載した国鉄キハ80系気動車やキハ58系がそれぞれ特急、急行として全国の高速輸送体系に使われ始めると、エンジンの出力の低さに由来するスピードの低さが際だってきた。
その解決のためにさらなる大出力機関が計画され、国鉄DD13形ディーゼル機関車に搭載されているDMF31系エンジンを横型にアレンジして搭載したキハ60系が1960年初頭に製作された。しかし、この車両はエンジンや駆動装置に解決すべき問題が多く、まったく新しいエンジンを企画することとなった（その経緯についてはキハ60系の項に詳しい）。そこで製作されたのが本シリーズである。
まず国鉄は、1962年（昭和37年）に液体変速機DW3形を製作。翌年にはDMH17系より2気筒数減としながらも、ボアを10mm拡大し、過給器を加えることで出力を3割以上高めたDMF15HS形を製作した。過去に起きたトラブルを抜本的に解決する構造を持った「新系列」と国鉄自ら呼ぶエンジンであった。さらに翌年には中間冷却器を備えた300馬力のDMF15HZを製作。それらの機関と液体変速機で試験を重ね、1966年（昭和41年）には同エンジンを改良して搭載したキハ90と、や、中間冷却器のないDMF15HSを水平対向12気筒に展開した500馬力のDML30系エンジンを搭載したキハ91を試作し、急行列車で長期試験を行った。
試験の結果や経済性の検討の結果、500馬力のDML30系エンジンのみを展開することになり、昭和40年代には走行用エンジンとしてではなく、キハ181や12系客車等の分散型電源方式の客車の発電用エンジンとして量産された。
昭和50年代に入り、キハ10系の老朽化対策としてキハ40系気動車が製作されることになった。ここでようやくこのエンジンが車両に搭載されるようになり、発電用のDMF15HS-Gを元にDMF15HSAが製作され、のちにキハ183系にも搭載された。
しかし、国鉄がJRとなったのちにはキハ40系もキハ183系も、頑丈で重い車体とあいまってスピードアップのためにはこのエンジンは出力不足と見なされるようになり、のちにより小型・軽量・ハイパワーのエンジンへの換装が広く行われているほか、エンジンはそのままに直噴化改造された車両も存在する。
[編集] 特記事項
- 冷却水容量は400リットル前後
- 潤滑油容量は80リットル前後
- クランクケースとシリンダは一体構造
- DMF15HSAのシリンダヘッドは気筒ごとに独立。DML30HSHと共通
- DMF15HSAの弁は吸気2、排気2
[編集] 諸元
- 6気筒4ストロークディーゼルエンジン
- 燃焼順序 1-4-2-6-3-5
- DW82形発電機は180kVA
| DMF15HS | DMF15H-G | DMF15HS-G | DMF15HSA | DMF15HSA-G | DMF15HZ | DMF15HZA | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な搭載車種 | 試作 | キハ181 1〜6 | キハ181 7〜、スハフ12 | キハ40系 | キハ183、184 | 試作 | キハ90 |
| 形式 | 過給、予燃焼室式 | 予燃焼室式 | 過給、予燃焼室式 | 過給、予燃焼室式 | 過給、予燃焼室式 | 過給・中間冷却、予燃焼室式 | 過給・中間冷却、予燃焼室式 |
| シリンダ径×行程(mm) | 140×160 | 140×160 | 140×160 | 140×160 | 140×160 | 140×160 | 140×160 |
| 排気量(l) | 14.77 | 14.77 | 14.77 | 14.77 | 14.77 | 14.77 | 14.77 |
| 圧縮比 |
14 |
||||||
| 定格出力(PS/rpm) | 240/1600 | 180/1500 | 230/1500 | 220/1600 | 230/1800 | 300/1600 | 300/1600 |
| 定格時ピストン平均速度(m/s) | 8.54 | ||||||
| 定格時平均有効圧力(kg/cm2) | 8.36 | ||||||
| 定格時燃料消費率(g/PS/h) | 185 | ||||||
| 最大出力(PS/rpm) | 250-2000 | ||||||
| 最大時ピストン平均速度(m/s) | 10.65 | ||||||
| 最大時平均有効圧力(kg/cm2) | 7.6 | ||||||
| 起動電動機 | DC24V-7PS×2 | ||||||
| 組み合わされる液体変速機または発電機 | DW3 | DW10 | DM82 | DW3B | |||
| 長さ×幅×高さ(mm) | 2630×1880×935 | ||||||
| 乾燥重量(kg) | 2720 |
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