Il-78 (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Il-78(イリューシン78;ロシア語:Ил-78イール・スィェーミヂスャト・ヴォースィェミ)は、ソ連のイリューシン設計局で開発された空中給油機である。北大西洋条約機構(NATO)が用いたNATOコードネームでは、「マイダス」(Midas)と呼ばれた。1987年から納入が始まり、これまでにおよそ20機が運用されていると見られている。また、2003年にはインドから、2005年に中華人民共和国から発注を受けている。
[編集] 概要
Il-78は、当時のソ連で標準的大型ジェット輸送機であったIl-76の発展型として設計された。胴体後部左側および両主翼の3箇所に空中給油のためのポットが設置されており、そのからホースが伸びることで同時に3機の航空機に給油することが可能である。このプローブ・アンド・ドローグ方式の空中給油はアメリカ合衆国のKC-135から実用化されていたが、ソ連ではIl-78で初めて導入された方式である。それまでソ連では独自の方式を採用していたうえに、必要に応じて爆撃機へ空中給油装置を装着したことはあったものの、専用の空中給油機を配備することは無かった。
[編集] スペック
- 全長:46.59 m
- 全幅:50.50 m
- 高さ:14.76 m
- 翼面積:300 m²
- 最大離陸重量:190,000 kg
- エンジン:アヴィアドヴィガーテリ製 D-30KP ターボファンジェット ×4
- 推進力:118 kN (26,500 lbf)
- 乗員:6 名
- 燃料積載重量:48,000 kg
- 巡航速度:850 km/h
- 航続距離:7,300 km
- 実用最大上昇高度:12,000 m
[編集] 外部リンク
カテゴリ: ソ連・ロシアの航空機 | 空中給油機