PCM
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PCMとは
- パルス符号変調 Pulse-Code Modulationの略。本項で詳述。
- タンパク質カロリー栄養失調症 Protein-Calorie Malnutritionの略。
PCM(Pulse-Code Modulation:パルスコードモジュレーション、パルス符号変調)は、音声などのアナログ信号をパルス列に変換する方法(パルス変調)の一つである。アナログ信号を標本化(サンプリング)・量子化し、得られた信号の大きさを二進の数値データとして表現する。このため、他のパルス変調法に比べ、計算機による処理を行いやすい利点がある。音声記録用には線形量子化以外にも、折線量子化(NT)、対数量子化(DATのLPモード)が利用されており、これらは人間の聴覚系の特性を利用して実用性を維持しながらデータ量を削減している(マスキング効果ともWeber-Fechnerの法則とも解釈できる)。差分符号化と量子化幅の適応的制御により品質を落とさずPCM信号のデータ量を圧縮するものにADPCMがある。
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[編集] 用途
[編集] 関連項目
[編集] PCMプロセッサ
音声信号をビデオ信号に、あるいは逆に変換する装置。音声信号のPCM符号化と、PCM信号のNTSC等への変換を行う。統一規格があり、かつては民生用機器も発売され、ビデオテープレコーダと組み合わせて高忠実度音楽録音等に用いられた。DATは機能的にはPCMプロセッサとビデオテープレコーダを小型化し一体化したものである。
[編集] PCM音源
PCMデータをDA変換装置によって変換することで音を再生する装置をPCM音源という。サンプラー、サンプリング音源と呼ばれることもある。
[編集] ソフトウェアPCM
音声データをソフトウェア的に加工・合成する技術。1チャンネルしかないハードウェアでも複数チャンネルの再生が、再生周波数・音量が固定されているハードウェアでも任意周波数・音量の再生が可能である。ソフト側から見ると、任意の個数・性能の仮想PCM音源を鳴らすようなものである。 CPUのクロックが数MHzしかないような時代から存在する技術(高度なプログラム技術による)であるが、近年CPUの大幅な処理速度向上により、よりリッチな表現が可能になった。DirectXで音声データに音階を付与する機能、ソフトウェアMIDI音源などは、いずれもこの技術により成り立っている。かつてはCPUパワーの100%近くを必要としたが、現在では環境によっては1%未満でも可能である(CPUの速度向上による)。家庭用ゲーム機でソフトPCMを利用しているものの代表としてゲームボーイアドバンスがあげられる。一方ソフトPCMをほとんど利用しないのはプレイステーション2などである、これはPS~PS2においてハードウェアPCMまたはストリーミング再生というスタイルがほぼ固定化しているためである。
[編集] 非PCM音源によるソフトウェアPCM(シンセサイザー)
MSXなど標準でPCM音源を持たないハードでもBEEPやPSGなどでソフト的にPCM再生を実現することもあった。X68000のYM2151(FM音源)を利用したソフトPCMも存在し、45KHzというCD-DA以上の高サンプリング周波数を実現している。