T-43 (航空機)
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T-43とはアメリカ空軍が運用している機上航法訓練機・練習機。ボーイング737-200を基にしたものであり、主に機上航法・電子装置操作の訓練に用いられる。
[編集] 概要
第二次世界大戦後、電子航法装置と電波航法は格段の進歩を遂げていた。機上の航法装置は複雑になり、その操作教育・訓練についても充分な機材が必要とされるようになった。1970年代のアメリカ空軍においてはT-29を用いていたが、旧式化したために、これを更新することとなった。ボーイング737-200とDC-9が比較検討され、1971年5月にボーイング737-200の採用が決定された。T-43Aと命名され、1973年に初飛行が行われ、部隊配備が開始された。
機体の外見は、アンテナが増備され、窓が減った以外は737-200からほとんど変化はない。ただし、燃料タンクは増量されている。機内には訓練生用のコンソールが12席と他に錬度が異なる訓練生用のコンソールが4席ある。通常の訓練生のコンソールは4席が背中合わせに一組となっており、その真ん中に教官が位置し、各訓練生を指導することとなる。
訓練機材はINS、LORAN、VOR、TACAN、電波高度計、地上走査レーダーなどであり、現在は訓練に使用されないものの天文航法用のペリスコープ型の六分儀も5基備えてある。
1973年から1974年にかけて19機が製造され、1機がアメリカ南方軍向けのCT-43輸送機に改装されている。
なお、1996年4月3日にアメリカ商務省長官のロン・ブラウンが搭乗したCT-43がクロアチアで墜落している。
[編集] 要目
- 全長:30.48m
- 全幅:28.2m
- 全高:11.8m
- 自重:31.1t
- エンジン:P&W JT8D-9C(推力 6.5t)2基
- 最大速度:904km/h
- 航続距離:4,830km
- 乗員:2名 教官3名+訓練生12名+他4名