UNIVAC
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1950年、エッカート・モークリ社(ENIACを開発した2人の技術者が設立した会社)を買収したレミントンランド社が商用コンピュータ部門として発足させたのが始まりである。 UNIVACという名称は、UNIVersal Automatic Computer の略。
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[編集] 歴史
ジョン・エッカートとジョン・モークリーは、ENIACコンピュータを製作後、特許権を管理するために Electronic Computer Corporation 社 (ECC) を設立した(後にエッカート=モークリー・コンピュータ・カンパニー (ECC) に改称)。同社はまず BINAC (Binary Automatic Computer) をノースロップ社のために製作した(実際にはほとんど使われなかった)。その後、UNIVACの開発に着手。UNIVACは当初、アメリカ合衆国統計局のために開発された(開発資金のほとんどを負担)が、その後製品化された。ECCは American Totalizator 社(競馬掛け率計算器を製造)の子会社であったが、経営上の判断でレミントンランド社に売却された。レミントンランド社は ECC を UNIVAC部門と称した。
- 1951年 UNIVAC I メインフレームコンピュータをリリース。翌年のアメリカ大統領選挙の開票予測に使われた。
- 1953~1954年 タビュレーター部門と科学技術計算用コンピュータ部門をUNIVAC部門に統合
- 1955年 レミントンランド社はスペリー社と合併し、スペリーランドと改称。これに伴ってUNIVAC部門は、スペリーUNIVACと改称。
- 1960年代 UNIVACはメジャーなコンピュータ企業8社のひとつとなる(汎用コンピュータの項を参照されたい)。
- 1963年、沖電気工業はスペリーランドとコンピュータに関する技術提携契約を結んだ。しかし、その際の条件として合弁会社設立があったため、「沖ユニバック」を設立。結果として沖電気本体はメインフレーム事業から撤退することになった。
- 1978年 スペリーランド社は、旧態依然とした複合企業(コンピュータ、タイプライタ、オフィス家具、乾草梱包機、肥料散布機、ジャイロスコープ、アビオニクス、レーダー、電気かみそり)であったが、コンピュータに集中することを決定し、関係のない部門は売却した。このとき社名をスペリー・コーポレーションとした(スペリー側から見れば元に戻した)。
- 1986年 スペリー社はバロース社と合併しユニシス社となる。
- この後、ユニシスはコンピュータ製造からコンピュータサービスとアウトソーシングへと業態を変えていく。
ユニシスは現在もメインフレームクラスのマシンを設計製造し続けている。
[編集] 開発した機種
- UNIVAC I (UNIVersal Automatic Computer I) : 米国での最初の商用コンピュータ
- UNIVAC II(1958年): UNIVAC I の改良版。
- UNIVAC III(1962年): UNIVAC I および II の後継機。ただし二進数マシン。
- Remington Rand 409(1949年): 配線盤でプログラムするパンチカード式計算器。
- UNIVAC 418: 卓上コンピュータ開発の最初の試み。完成品は確かに一般的なオフィス机の上に載るサイズだった。ある意味でパーソナルコンピュータの先駆者である。
- UNIVAC 490: 30ビットワードマシン。メモリは16K/32Kワード。
- UNIVAC 492: 490の後継機。メモリを64Kワードまで拡張可能。
- UNIVAC 494: 492の後継機。高速化。メモリ131Kワード。
- UNIVAC 1004(1962年): 配線盤プログラム方式、パンチカード式計算機。メモリ961×6ビット。
- UNIVAC 1005(1966年): 1004の後継機。配線盤プログラムを内部に読み込むことができた。アメリカ陸軍が最初に戦場で使用したコンピュータ。
- UNIVAC 1101、または ERA 1101: Engineering Research Associates (ERA) の設計。
- UNIVAC 1102、または ERA 1102: ERAがアメリカ空軍のために開発。
- UNIVAC 1103(1953年): 1101の後継機。改良版の1103Aもある。
- UNIVAC 1104(1957年): 1103の30ビット版。
- UNIVAC 1105(1958年): 1103Aの後継機。
- UNIVAC 1106(1969年): 命令セットは1108と同じ。初期の1106は1108の半分の性能。
- UNIVAC 1107(1962年): レジスタに Thin film memory(薄膜メモリ、コアメモリの一種)を使用。
- UNIVAC 1108(1964年)
- UNIVAC 1110(1972年): 6ウェイまでのマルチプロセッサ。
- UNIVAC 1100/60(1979年)
- UNIVAC 1100/90
- UNIVAC 1100/2200シリーズ: 36ビットコンピュータのシリーズ。今日もユニシスで ClearPath IXとしてサポートされている。
- UNIVAC 9200: 1004の後継機。メモリは4K~16K。
- UNIVAC Solid State
[編集] オペレーティングシステム
1107は初の36ビット、ワード指向マシンで、アーキテクチャは 1100シリーズとして知られるものとよく似ている。 オペレーティングシステム (OS) としては1960年代中盤では一般的なバッチ向きの第二世代OSである EXEC II が動作した。 1108 では EXEC II と EXEC 8 が動作。1108 は 1107 の上位アーキテクチャともいうべきもので、複数のCPUが動作してメモリ容量も増えている。 複数CPUを搭載したモデルではスレッド同期命令を持っていて、オプションとして I/Oコントローラ (IOC) と呼ばれる拡張筐体があった。 1108のいくつかのモデルはワードを4×9ビットに分割する機能を持っていてASCIIキャラクタを扱うことができた。 また、EXEC 8はリアルタイムアプリケーションとタイムシェアリングシステムとバックグラウンドのバッチジョブを複数同時に実行することができた。 TIPというトランザクション処理環境はプログラムをCOBOLで記述できた。当時他社の同様のシステムではアセンブリ言語で記述するのが一般的だった。 後のシステムでは EXEC 8 は OS1100 および OS2200 と改称され、互換性を保障していた。 1108 上で動作していた他のOSとして RTOS がある。
[編集] 特撮とUNIVAC
『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊のシーンでしばしばUNIVACのコンピュータが登場した。このため特撮ファンの間では地球防衛軍御用達メーカーとして知られている。もっとも登場したのはマシン本体ではなくMT装置のみであった。
UNIVAC® は登録商標として以下の企業で使われている