ZABADAK
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ZABADAK | ||
---|---|---|
基本情報 | ||
ジャンル | プログレッシブ・ロック | |
活動期間 | 1986年- | |
レーベル | 東芝EMI MMG BIOSPHERE RECORDS ポリスター ネビュラプロジェクト GARGOYLE |
|
共同作業者 | 小峰公子 | |
公式サイト | ZABADAK OFFICIAL HOMEPAGE | |
メンバー | ||
吉良知彦 | ||
旧メンバー | ||
松田克志 結成時~1987年 上野洋子 結成時~1993年 |
ZABADAK(ザバダック)は、日本のポピュラー音楽のユニット。
1985年、吉良知彦・上野洋子・松田克志の3人でZABADAK結成、翌86年に東芝EMIよりLP「ZABADAK-I」でデビュー。
目次 |
[編集] 略歴
1985年、いわゆる「ハコバン」(ライブハウス付きのバンド)で活動していた吉良がケイト・ブッシュの「DREAMING」にインスピレーションを受けてデモテープを制作。旧知の上野洋子らとともに結成。1986年にアルバム・デビュー。
1987年に松田克志が脱退。3枚目のオリジナルアルバム「Welcome to Zabadak」発売後1989年にレコード会社を移籍(松田在籍時のアルバムは「ZABADAK-I」、「銀の三角」およびこの二枚を後に再編集した「WATER GARDEN」のみ)。
上野洋子の透明感ある歌声と、吉良知彦の様々な要素を含んだ秀麗かつメロディアスな楽曲で、1989年-1993年は後に「黄金期」と呼ばれるほど人気を博した。手掛けたCM曲多数(「飛行夢」「遠い音楽」「私は羊」「桜」)。
1993年の「のれん分け」前には、吉良と上野は険悪な状態に陥っており、アルバム「桜」のレコーディング時には喧嘩の連続であったと言う噂もあるが、そんな中制作されたアルバム「桜」は最高傑作と言われることも多い。
1993年には「decade」も発売される。タイトルにふさわしく10年間の活動の総まとめの感が有るアルバムである。なお、このアルバムは初期ZABADAKの主要曲をカバーしていることもあり、初めてZABADAKを聞こうとする人に「最初の一枚」として薦める者が多いアルバムでもある。
1993年「のれん分け」を行い、吉良知彦のソロユニットとなる。暫く音楽的には「迷走」と評される時期が続くことになる(セールス的にも落ち込む。特にポリスター時代はそれが顕著)「LIFE」「SOMETHING IN THE AIR」「はちみつ白書」などの時期である。
そんな中で、biosphere recordsとポリスターから作品を発表する傍ら、演劇集団キャラメルボックスの音楽も担当。独特の世界観が演劇と合い、幅を広げて行った。ZABADAKの持ち味とキャラメルボックスの感覚が、相乗効果を高めた。
2000年に発表したIKONは、初期ZABADAKのテイストの横溢する傑作として復活を印象づけ、多くのファンに安堵と喜びを与えた。2001年に独立、新事務所Penelope、新レーベルGargoyleを設立する。
2006年に至って一層プログレ色が高まりつつ、新しい音楽を模索している一方、ファンタジー色を残す作品もある。以前よりの根強いファン層は健在である。また若い世代が、吉良氏プロディースの音楽に触れたり、「発見」的にZABADAKの楽曲に出会ったり、ZABDAKファンによる推薦などで耳にすることになり、引き寄せられる事は後を絶たず、ファンは静かに増えている。
[編集] 音楽性
「のれん分け」までのZABADAKは吉良と上野がインスピレーションを受けたというケイト・ブッシュのフォロワー的な世界から出発し、レコーディングで訪れたアイルランドでの体験から、民族音楽(主としてケルト音楽)の要素を強め、独自の音楽を作り上げていった。「のれんわけ」後は、上野はさらに民族音楽的な要素を強める一方で、クラシック音楽的要素(現代音楽的要素や古楽的要素も含めて)も打ち出していき、個性的な音楽を構築していくことになる。
一方吉良のソロユニットとなったZABADAKは、迷走の時期を経て、もともと吉良のバックボーンであるプログレッシブ・ロック的要素(EL&Pやマイク・オールドフィールドなどから、それらの吉良へ与えた影響を聴き取る事ができるだろう)やギタリストとしてのロックな要素を強め、それらを基盤としつつも民族音楽的要素も混じったメロディアスで叙情的な独特の世界を創造していく。
そのメロディ・サウンドが生み出す世界観は間違いなく「唯一無二」。吉良は、PSゲーム「クロノ・クロス」でギター・ブズーキの演奏を担当、NHK「おかあさんといっしょ」に楽曲を提供、上野もアニメの音楽やソロユニットで活発に活動している。今もマスメディアには出てこないが、多方面に活躍し影響を与えているアーティストだ。サポートで参加したミュージシャンも数多い。
曲は、日本のグループにしてはめずらしくインストも多く、たまに(やはりプログレらしく)10分を超えるようなえらく長大な曲を入れてきたりする。Polandの5拍子も有名で、ZABADAKのファンはどんな変拍子にも平気で手拍子でついてくる、という伝説がある。
[編集] ファン層
当初から特にサブカルチャー方面の人々の間で話題となっており、伝えられ広まっていった。ケルト音楽の影響やプログレッシブ・ロックの影響により世界が広まるに従って、その傾向の音楽のファンも取り込んでいった。
[編集] 廃盤問題
現在、「のれんわけ」以前のアルバムが軒並み廃盤となっており、「のれんわけ」直前のコンサートを収録した「prunus」以外は新品で手に入らない状況となっている。この中には「飛行夢」「遠い音楽」「Live」「私は羊」「桜」という、言わば二人ZABADAK時代の絶頂期の作品群が含まれており、特に「遠い音楽」「Live」「桜」は中古市場でも5000円前後の価格で取引されている。
[編集] 音楽
[編集] アルバム
なお、複数のレーベルからアルバムが出ている事を初めとしたいくつかの理由でアルバムの枚数の数え方には諸説ある。
- 回転劇場 [2007.3.14 GARGOYLE]
- 空ノ色
- Wonderful Life [2004.1.22 GARGOYLE]
- SIGNAL [2002.11.7 GARGOYLE]
- ブリザード・ミュージック [2001.11.24]
- COLORS [2001.11.1 GARGOYLE]
- 風を継ぐ者 [2001.4.8 ネビュラプロジェクト]
- ザバダック&斎藤ネコ・カルテット [2000.10.1 BIOSPHERE RECORDS]
- 『IKON』〜遠い旅の記憶〜 [2000.1.20 BIOSPHERE RECORDS]
- STORIES [1999.9.15 ポリスター]
- はちみつ白書 [1998.9.2 ポリスター]
- LIFE [1997.9.18 ポリスター]
- TRIO [1997.8.25 ポリスター]
- Pieces of The Moon [1996.10.25 MMG]
- 光降る朝 [1996.10.14 ポリスター]
- SOMETHING IN THE AIR [1996.9.11 ポリスター]
- remains [1996.8.25 BIOSPHERE RECORDS]
- 賢治の幻燈 [1995.9.21 NTT出版/ポリスター]
- 音 [1994.10.25 BIOSPHERE RECORDS]
- prunus [1994.8.20 BIOSPHERE RECORDS]
- decade [1993.9.25 MMG]
- 桜 [1993.1.25 MMG]
- 十二月の午後、河原で僕は夏の風景を思い出していた。 [1992.7.13 BIOSPHERE RECORDS]
- 創世紀~ザ・ベスト・オブ・ザバダック~ [1992.6.24 東芝EMI]
- 私は羊 [1991.10.25 MMG]
- ライブ [1991.4.25 MMG]
- 遠い音楽 [1990.10.25 MMG]
- 飛行夢 [1989.11.1 MMG]
- ウェルカム・トゥ・ザバダック [1987.11.5 東芝EMI]
- WATER GARDEN [1987.8.26 東芝EMI]
- 銀の三角
- ZABADAK-I
[編集] CM曲
- A DAY(JR東日本)
- Videokid(キヤノン)
- RECIENTE(資生堂 91'春のキャンペーン)
- 水のルネス(ルネス金沢)
[編集] 楽曲提供
- 有坂美香 「月迷風影」(テレビアニメ「十二国記」エンディングテーマ)
- 大塚明夫 「おやすみ天使達」(イメージアルバム「BE HAPPY!」(原案:橘皆無)より)
- 川村万梨阿 「Lavender Boat」
- 岸祐二
- 桑島法子 「cocoon」(作詞:工藤順子)(ラジオ「CLUB db」オープニングテーマ)
- 子安武人 「透明な窓」「天空の底」「風の図鑑」
- 桜井智 「2ミリ先は永遠」
- 鈴木真仁 「蒼の部屋」(※ アルバム「IKON」にてセルフカバーされている。)
- 千葉進歩 「終わりのない旅」(テレビアニメ「仙界伝 封神演義」より)
- 保志総一朗 「Secred Sacrifice」(テレビアニメ「無限のリヴァイアス」より)
- みとせのりこ 「Nacht」「小さな光」
- 皆口裕子 「何故…」(イメージアルバム「BE HAPPY!」(原案:橘皆無)より)
- 吉岡忍 「春の風」(作詞:及川眠子・吉岡忍)
[編集] 影響
- アニメ「灰羽連盟」の第一話タイトル「繭・空を落ちる夢・オールドホーム」は、ZABADAKの「飛行夢(そら・とぶ・ゆめ)」を原作者の安倍吉俊が高校時代に聞いていたことからアイディアを得ている。(灰羽連盟脚本集第一巻 2004年8月15日)
- 西川秀明の漫画「Z MAN」の最終巻(第11巻)で「休まない翼」が引用されている。
[編集] 参考
- ZABADAKのバンド名が命名された由来は、バンド結成時、吉良・上野・松田のメンバーでバンド名が決まらず、レコードを適当に探していたところ、ZABADAKという曲名のレコードが見つかり決まった。ZABADAKは、Dave Dee, Dozy , Beaky , Mick & Tichによる1967年のヒット曲。
- ZABADAKは理想郷を意味する語。
[編集] 関連
- ミュージシャン一覧 (グループ)
- 工藤順子 (作品提供)
- 新居昭乃
- 原マスミ
- ZABADAK (小惑星)(ZABADAKに因んで命名された)