ことわざ
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諺(ことわざ)は、鋭い諷刺や教訓・知識など含んだ、世代から世代へと言い伝えられてきた簡潔な言葉の事である。英語のProverbはラテン語のProverbiumが語源である。
ことわざは、観察と経験そして知識の共有によって、長い時間をかけて形成されたものである。その多くは簡潔で覚えやすく、また、真実を言い当てている。
ある文化のことわざは、その文化に属する者の思考に、意識的にあるいは無意識的に影響を及ぼす。ヨーロッパのそれぞれの文化のことわざは非常に似通っている。一方、異なる文化の間でも同等の意味を持つことわざ・慣用句があることも多い。例えば、「船頭多くして船山に登る」と "Too many cooks spoil the broth."、「覆水盆に帰らず」と "It is no use crying over spilt milk." 、「日光を見ずして結構と言う勿れ」と"See Naples and then die."などの例である。
ことわざの中にはしばしば、反対の意味を持つものも含まれる。例えば、「三人寄れば文殊の知恵」と「船頭多くして船山に登る」、「蛙の子は蛙」「瓜のつるには茄子はならぬ」と「氏より育ち」あるいは「とんびが鷹を産む」がある。
同じことわざでも文化背景が異なることによってまったく別の意味に受け取られるものも少数ではあるが存在する。例えば、"A rolling stone gathers no moss."(転がる石にコケは生えない)は、イギリスでは「落ち着きなく動き回っているものには能力は身につかない」という意味である。一方、アメリカでは「いつも活動的に動き回っている人は持っている能力をさび付かせることはない」という意味になる。日本においても、「情けは人の為ならず」が相反する2つの意味に受け取られ、本来の意味を理解している人よりも現代風の解釈をする人が僅かに多い(参照:情けは人の為ならず)。
日本では、日本で発生したものや単なる語呂合わせなどがあるが、仏典・漢籍・英文学・聖書など国外の原典に由来するものが日本独自のものと誤解されているものも多い。特に中国古典の具体的な物語等から派生した言葉は故事成語という。
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