アウトリーチ
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アウトリーチ(Outreach)とは、英語で手を伸ばすことを意味する意味である。福祉などの分野における地域社会への奉仕活動、公共機関の現場出張サービスなどの意味で多用される。
[編集] アウトリーチの必要とされる分野
- 社会福祉事業などにおいて、医療・福祉関係者が直接的出向いて心理的なケアとともに必要とされる支援にとりくむこと
- 美術館・博物館が裾野を広げる契機として施設訪問など対外的な広報活動をすること、マイノリティの人々が自らの存在を周知させるための活動
を指して用いられることが多い。近年では、地方自治において住民主体のまちづくりの取り組みが盛んとになりつつある中で、まちづくりに対する地域住民の声を収拾したり、関心を高めたりする活動をアウトリーチとしている。
[編集] まちづくりにおけるアウトリーチ
近年、地方自治分野において盛んとなりつつある、住民主体のまちづくりにおいて、自由参加・自由テーマで地域の将来を考えるワークショップや電子会議室などのIJTを活用することにより、地域の課題についての学習や意見交換、合意形成が図られている。しかし、ワークショップは基本的に自由参加であり、関心がある人しか集らない。また、参加の意欲はあっても都合がつかず参加できないという人も多く、まちづくりにおいてワークショップへの参加者が得られにくい。よって、電子会議室などのようなIJT技術を用いて、行政のホームページに電子会議室を開設することで、ワークショップに参加しなかった人々或いは参加できなかった人々に対する参加と情報収集の機会提供が図られている。今日、世界的にもインターネットの普及率が高まる中、こうした電子会議室はワークショップなどに参加できない人に対してもまちづくりへの関心と参画意欲を高めるための機会提供がなされている。しかし、インターネット普及率も100%ではなく、IJTとてすべての住民の意見を収拾できるわけではない。そこで、アウトリーチはワークショップやIJTに参加しなかった、或いはできなかった住民の意見を十分にまちづくりに反映させようと、実際に住民のもとに行政ないしまちづくり関係者が出向き、直接的に意見募集を行うことが期待される。これがまちづくりにおけるアウトリーチである。 アウトリーチの効果としては、ワークショップなど多様な議論の機会に加われなかった人々の意見をもらさず聞くことができるという点、後はアウトリーチ活動を展開する行政職員やまちづくり担当役員が直接的に住民と対話することで行政・地域と住民一人一人の親睦と交流が深まり、ソーシャル・キャピタルの充実に貢献が期待できるという点にある。
[編集] 関連項目
- パブリックインボルブメント
- ワークショップ
- IJT