まちづくり
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まちづくりとは、文字通り「まちをつくる」ことであるが、明確な定義はなく、都市開発あるいは地域社会の活性化など、論じる人によって、様々な文脈で使われているのが実情である。街づくり、町づくりなどとも表記されるが、ひらがな表記が多く使われる傾向にある。
一応の定義としては「ある地域(まち)が抱えている課題に対して、ハード・ソフト両面から課題の解決を図ろうとするプロセスのこと」と捉えることができるだろう。まちづくりは住民が主体となって、あるいは行政と住民とによる協働によるもの、と捉えられることが多い。ただし、民間事業者が行う宅地開発なども「まちづくり」と称している場合がある。
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[編集] まちづくりの課題
地域の課題には様々なものがあり、地域ごとの特色が現れる。たとえば次のようなものがある。
- 商店街が衰退している
- 老朽家屋が密集している
- 日照など環境が悪化している
- 大規模工場跡地の処理方針が決まっていない
- 道路など都市基盤整備が遅れている
- 交通ネットワークが不十分である
- 交通施設や建築物のバリアフリー化が不十分である
- 住民が高齢化しており活気が乏しい
- 防犯上の不安が大きい など
[編集] 合意形成のプロセス
一般にまちづくりにおいては、地域の合意形成が重視される。上記のような課題を共通で認識するために、ワークショップなどの手法が用いられることも多い。ワークショップは住民の合意形成を図るため有効な一つの手段であるが、全ての住民が参加することは(ほとんどの場合)不可能であり、参加しなかった住民が後から異議を唱える事例も見られる。
そこで、多くの住民の声をよりまちづくりに繁栄させるために、インターネット上での議論を可能とするIJTの活用や、まちづくりの議論に参加していない、あるいはできなかった人々のところに出向き、意見を聴取するアウトリーチなど様々なまちづくり技術の組み合わせによって、多くの意見を汲み、住民間の合意形成が期待される。
[編集] まちづくりの諸相
- 「福祉のまちづくり」といった場合、バリアフリー化、ユニバーサルデザインなどのハード志向の話が出る場合と、ボランティア育成などのソフト面の話になる場合がある(いずれも必要な点である)。これは現代日本のニュータウンの抱える問題そのものである。
- 高層マンションの計画や自然環境を破壊する開発計画に対する反対運動などをきっかけに、まちづくりが考えられることも多い。建築基準法や都市計画法だけでは、住みやすい町をつくることができないのではないか、という反省につながり、自治体独自の条例が検討される場合もある。
- 近年、「まちづくり条例」と称する条例を作る自治体が多くなっている。内訳を見ると、自治体行政への市民の参加を規定するもの、景観を規制しようとするもの、地区計画作りを支援しようというもの、開発許可の際に周辺住民が関与できるようにするもの、自治体独自の開発・建築規制を行うものなど、様々なものが見られる。
- 歴史的建造物の保存も、単に美術的に優れている、という観点だけでなく、町の個性を作ったり、コミュニティの核になる、というまちづくりの観点から捉えられることが多くなってきている。(必ずしも芸術的に優れている建物でなくとも、地域で親しまれている建物であれば保存する価値がある)
[編集] 参考
- 国土交通省では都市開発関係の補助金を統合し、「まちづくり交付金」を創設した。(まち交ネット)
- 国土交通省の地域振興情報ライブラリーには、地方公共団体のまちづくりに関するプロジェクト情報が多数登録されている。
[編集] 関連項目
- 都市計画
- まちづくり戦士
- コンパクトシティー
- 合意形成
- ワークショップ
- KJ法
- オルタナティブ
- IJT
- アウトリーチ
- 防災まちづくり
- 自治体学会
- 地域力
- ソーシャル・キャピタル
- コミュニティガバナンス
- エンパワーメント
- 地域振興情報ライブラリー
- 健康づくり