アマルガム
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アマルガム (amalgam) は、水銀と他の金属との合金の総称である。
広義では、混合物一般を指す。ギリシャ語で「やわらかいかたまり」を意味する malagma を語源とする。水銀は他の金属との合金をつくりやすい性質があり、常温で液体になる合金も多い。
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[編集] 歯科治療用のアマルガム
アマルガムは歯科修復材料として知られる。アマルガムが歯科修復材料として使われだしたのは1826年のフランスといわれる。現在はあまり使われていない。
[編集] 銀スズアマルガム
現在使われているもので、銀とスズの合金に銅や亜鉛を添加した粉末を、水銀で練ったものである。歯質との接着性はないが、硬化時に膨張するためぴったり患部をふさげることや、なにより手軽で安価なことが長所であるが、見た目が金属色(銀灰色)で目立つこと、そして水銀が溶け出すおそれがあることが短所である。
銀スズ合金と水銀との反応はアマルガメーション(amalgamation)と呼ばれる。反応は銀スズ合金粉末内に水銀が拡散し、合金の表面と水銀が反応する過程を経て中心に未反応部分を残しながら結晶化する。
[編集] 銅アマルガム
銅と水銀の合金に少量の錫か銀が添加されている。銅や水銀の溶出などの問題があり、現在は使用されていない。
[編集] アマルガムめっき
銅の表面を磨き上げてから金アマルガムを塗り加熱すると、水銀のみが蒸発して表面に金が残る。日本では古墳時代以来使われているめっき法で、「消鍍金(けしめっき)」などとよばれた。
奈良の大仏の金めっきにおいてもこの方法が用いられたが、水銀蒸気による中毒が作業者に多発したものと想像される。
[編集] 広義のアマルガム
[編集] 軍事史におけるアマルガム
1792年のフランス革命戦争勃発により、フランス革命政府は、軍隊を増強するために大量の志願兵を受け入れる必要に迫られた。このとき、軍隊の規模を一挙に拡大しつつ質を維持する目的で採用されたのがアマルガム制度である。熟練兵からなる1個大隊と未熟練の志願兵からなる2個大隊とを合わせた部隊を「半旅団」とし、それまでの連隊制度に代わるものとした。