イラガ
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イラガ(刺蛾、Monema flavescens)は鱗翅目イラガ科に属する昆虫である。別名「蜂熊」「オキクサン」「シバムシ」とも言う。
柿やバラ科の木に多く発生する。幼虫はライムのような緑色や薄茶色をしており(ウミウシに似た外観をしている)、多くの棘を持ち、触れると蜂に刺されたような痛みを生じる。外敵を察知した幼虫が、全身の棘の先から毒液を一斉に分泌するためである。体を光にかざすと、すべての針の先から液体が分泌されていることがわかる。刺激はかなり強く、場合によっては皮膚に水疱状の炎症を生じる。しかし、症状は長く続かない。
刺された場合、まず、棘が残っていれば粘着テープなどで棘を除去する(患者はかなりの痛みを感じているので配慮が必要)。その後、市販の虫刺されの治療薬を塗るとよい。症状が酷い場合は皮膚科を受診する。ヒスタミンやさまざまな酵素を成分とした酸性ではない毒なのでアンモニア水を塗っても意味は無く(蟻酸のように中和されないため)、抗ヒスタミン剤を塗布するのが有効であるとされる。葉の裏側に大量に生息していることが多く、市販の殺虫スプレー(ゴキブリ用など)による駆除が効果的である。卵をつぶしたり触れたりしてもかぶれるので注意が必要。
冬には鶉の卵(鶉の4分の1程度)のような、独特の茶色い線の入った殻(スズメノショウベンタゴと呼ばれる)の中で蛹になり、春を待つ。蛹は釣りの餌に用いられることもある。
羽化した後の成虫の開張は30mm程度。
[編集] 近縁種
仲間として、ナシイラガ、アオイラガ、アカイラガ、ヒメクロイラガなどがある。
食樹の樹幹についている繭はヒロヘリアオイラガ(Parasa lepida)のものであることが多い。ちなみに、ヒロヘリアオイラガに限っては繭にも毒がある。
[編集] 関連項目
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